公益財団法人 日本ユニセフ協会
パートナーシップで目標を達成しよう

パートナーシップで目標を達成しよう

“世界のすべての人がみんなで協力しあい、
これらの目標を達成しよう”

たとえば、こんな問題が…

国際協力がますます必要とされている一方、2018年に政府開発援助(ODA)に使われたお金は、前年に比べて、2.7%(およそ40億ドル)減少しました。

国際協力がますます必要とされている一方、
2018年に政府開発援助(ODA)に使われたお金は、
前年に比べて、2.7%(およそ40億ドル)減少しました。

※政府や政府関係機関が、開発途上国の経済や社会の発展、福祉の向上のために、開発途上国や国際機関に資金・技術提供を行うこと。

開発協力のための資金は増えている?

取り残されている国ぐにの状況の改善には、国際社会が協力して、より多くのお金を出し合って援助するように呼びかけられていますが、2018年に開発協力のために各国政府が支出した援助のためのお金(ODA)は、2017年よりも減ってしまいました。

開発協力のための資金は増えている?

2018年に、ODAの総額は世界全体の合計で1,490億ドル(約16兆2400万円)にのぼりました。しかしこれは、2017年から2.7%減少しています。
ODAを支出していたヨーロッパの国ぐになどで、難民の受け入れなど国内の負担が大きくなったことが主な要因です。
ODAの半分以上を占める二国間援助(支援する国と支援される国の二国間で行われる援助)は、2017年から2018年にかけて実質で1.3%増加しました。多国間組織への貢献は、ODAの総額の約3分の1を占め、安定していましたが、人道援助は8%減少しました。

ODA資金額の推移(2000~2018年)(単位10億ドル)

ODA資金額の推移(2000~2018年)(単位10億ドル)

ODAは特に開発が遅れている後発開発途上国にとって、最大の資金源となっており、それに頼っている国が多く、少しずつ増加傾向にありましたが、2018年には、後発開発途上国への二国間援助は3%減少し、アフリカへの援助は4%減少しました※1。開発途上国でSDGsを達成するための資金は、年間2.5〜3兆ドル不足すると推定されています※2

目標17のターゲット

「17-1」のように数字で示されるものは、それぞれの項目の達成目標を示しています
「17-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を示しています

  • 17-1

    開発途上国の、税金やその他の収入を集める能力を向上するための国際的な支援などによって、国内の資金調達を強化する。

    開発途上国の、税金やその他の収入を集める能力を向上するための国際的な支援などによって、国内の資金調達を強化する。
  • 17-2

    開発途上国に対する政府開発援助(ODA)※1を国民総所得(GNI)※2の0.7%に、もっとも開発が遅れている国へのODAをGNIの0.15~0.2%にするという多くの先進国が約束している目標の達成をふくめ、先進国は、ODAに関する約束を完全に実行する。もっとも開発が遅れている国に対するODAは、GNIの少なくとも0.2%を目標にかかげることを検討することが望ましい。

    ※1 政府開発援助(ODA):先進国の政府などが、開発途上国の経済や社会の発展、福祉の向上に役立つために、資金・技術を提供すること。

    ※2 国民総所得(GNI):その国に住む人が1年間に得た所得の合計のこと。

  • 17-3

    複数の財源から、開発途上国のための資金をもっと集める

    ※お金の出どころ。

  • 17-4

    国の借金による資金調達や、借金の取り消しや減額、期間の延長などの借金の返し方の再検討をすすめるための、協力的な政策を通して、開発途上国の借金が、長い期間にわたって、やりくりし続けられる形になるように支援する。外国から多くのお金を借りている貧しい国の借金について、返済が困難な状況を軽くするような対応をとる。

  • 17-5

    もっとも開発が遅れている国への投資をすすめるための仕組みを取り入れ、実施する。

  • 17-6

    科学技術イノベーションとその活用に関する南北協力、南南協力や地域的、国際的な三角協力を強化する。また、国連をはじめとして、すでにあるさまざまな協力の仕組みをさらに良いものにすることや、全世界的な技術を進める仕組みなどを通して、お互いに合意した条件で知識の共有をすすめる。

    ※南北協力:主に北に位置する先進国が主に南に位置する開発途上国に協力すること。南南協力:開発途上国同士で、ある分野で開発が進んだ国が他の国に協力すること。三角協力:先進国や国際機関が、南南協力を支援すること。

    科学技術イノベーションとその活用に関する南北協力、南南協力や地域的、国際的な三角協力を強化する。また、国連をはじめとして、すでにあるさまざまな協力の仕組みをさらに良いものにすることや、全世界的な技術を進める仕組みなどを通して、お互いに合意した条件で知識の共有をすすめる。
  • 17-7

    開発途上国に対して、環境にやさしい技術の開発や移転、普及をすすすめる。そのとき、互いに合意した、開発途上国にとって有利な条件のもとですすめられるようにする。

    開発途上国に対して、環境にやさしい技術の開発や移転、普及をすすすめる。そのとき、互いに合意した、開発途上国にとって有利な条件のもとですすめられるようにする。
  • 17-8

    2017年までに、もっとも開発が遅れている国ぐにが、科学技術イノベーションに関する能力を高められる仕組みや、技術バンクが完全に運用されるようにし、特に情報通信技術(インターネットなど)をはじめ、さまざまなことを実現できる技術をより使えるようにすすめる。

    2017年までに、もっとも開発が遅れている国ぐにが、科学技術イノベーションに関する能力を高められる仕組みや、技術バンクが完全に運用されるようにし、特に情報通信技術(インターネットなど)をはじめ、さまざまなことを実現できる技術をより使えるようにすすめる。
  • 17-9

    SDGsにかかげられたすべてのことを実施するための国の計画を支援するために、南北協力や南南協力、三角協力などを通じて、開発途上国において、効果的で的をしぼった形で能力を高めていけるように、国際的な支援を強化する。

  • 17-10

    ドーハ・ラウンド※1で話し合われた結果をふくめ、世界貿易機関(WTO)のもとで、すべてに共通し、ルールに基づいた、差別のない公平な多角的貿易体制※2をすすめる

    ※1 ドーハ・ラウンド:ラウンドは、WTOに加盟する国が参加する貿易交渉の場。開催場所(カタールの首都ドーハ)にちなみ、「ドーハ・ラウンド」(正式には「ドーハ・開発・アジェンダ(DDA)」)と呼ばれる。

    ※2 多角的貿易体制:WTOのもと、多くの国が参加、交渉してつくるルールにもとづく世界的な貿易の仕組み。

  • 17-11

    開発途上国からの輸出を大きく増やす。特に、もっとも開発が遅れている国ぐにの世界の輸出にしめる割合を2020年までに2倍に増やす。

    開発途上国からの輸出を大きく増やす。特に、もっとも開発が遅れている国ぐにの世界の輸出にしめる割合を2020年までに2倍に増やす。
  • 17-12

    すべての、もっとも開発が遅れている国ぐにが、継続して無税・無枠で市場を利用できるようにする対応を、タイミングよく実施する。これは、それらの国ぐにからの輸入について定められる有利な決まりを、簡略でわかりやすく、市場への参加をすすめるものにすることをふくめ、世界貿易機関(WTO)の決定にそった形でおこなう。

    ※無税・無枠:輸入されるものに関税をかけず、関税割当枠(輸入する量によって関税を免除したりかけたりする基準)を設けないこと。

  • 17-13

    各国が政策の足並みをそろえたり、一貫した政策をとったりすることによって、世界の経済全体がより安定するようにする

  • 17-14

    持続可能な開発のために、一貫した政策がとられるように強化する。

  • 17-15

    貧困をなくすことと、持続可能な開発のために、政策を作ったり実施したりするときには、それぞれの国が決められる範囲や各国のリーダーシップを尊重する。

  • 17-16

    すべての国、特に開発途上国でのSDGsの達成を支援するために、持続可能な開発のための世界的なパートナーシップ(協力関係)を強化する。知識、専門知識、技術や資金を集めて共有する、さまざまな関係者によるパートナーシップによって、これを補う。

    すべての国、特に開発途上国でのSDGsの達成を支援するために、持続可能な開発のための世界的なパートナーシップ(協力関係)を強化する。知識、専門知識、技術や資金を集めて共有する、さまざまな関係者によるパートナーシップによって、これを補う。
  • 17-17

    さまざまなパートナーシップの経験などをもとにして、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップをすすめる。

    ※官民のパートナーシップ:政府や自治体などの公的機関と民間の企業などによる協力

    さまざまなパートナーシップの経験などをもとにして、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップをすすめる。
  • 17-18

    2020年までに、もっとも開発が遅れている国ぐに、開発途上の小さい島国をふくむ開発途上国に対して、能力を高めるための支援を強化して、収入、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障がい、居住地、その他その国に関係する特徴別に分けることができる、質が高く、信頼できる、タイムリーなデータを、はるかに多く利用できるようにする

    2020年までに、もっとも開発が遅れている国ぐに、開発途上の小さい島国をふくむ開発途上国に対して、能力を高めるための支援を強化して、収入、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障がい、居住地、その他その国に関係する特徴別に分けることができる、質が高く、信頼できる、タイムリーなデータを、はるかに多く利用できるようにする。
  • 17-19

    2030年までに、持続可能な開発がどれだけ進んだかを測るための、国内総生産(GDP)以外の測り方を開発する取り組みをさらに進め、開発途上国における統計に関する能力を高めるための支援をおこなう。

    2030年までに、持続可能な開発がどれだけ進んだかを測るための、国内総生産(GDP)以外の測り方を開発する取り組みをさらに進め、開発途上国における統計に関する能力を高めるための支援をおこなう。

もっと深めよう!世界にあるこんな問題

一人ひとりの力が、国際協力をすすめる

世界の子どもたちのためのユニセフの活動も、多くの国の人の力が集まって支えられています。以下のグラフは2018年の国民ひとり当たりのユニセフへの拠出額を示したものです。経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)に入っている国の①政府から出された拠出金と、②各国のユニセフ協会を通じて拠出された民間の募金を足して、各国の人口で割って算出しています。

国民一人あたりのユニセフへの拠出額(単位:米ドル 2018年)

国民一人あたりのユニセフへの拠出額(単位:米ドル 2018年)

出典:ユニセフ年次報告 2018※PDFがダウンロードされます

SDGsの達成を測るデータがない!

ユニセフは、SDGsの多くの目標の推進に深く関わる国連機関です。SDGsの17の目標のもとには169のターゲットがあり、そのもとにさらに、達成の度合いを測るための232の指標が示されています。このうち、44の指標が子どもと直接関係しています。しかし、2016年時点でユニセフはその指標に関するデータがひどく不足しているとうったえました。

以下の円グラフは、子どもの権利の5つの側面(生存と発達、教育・学習、子どもの保護、環境、公平な機会)から、関連しているSDGsの指標について各国の状況を示しています。多くの国で、特に暴力からの保護や貧困に関するデータがありません。これは、日本も例外ではなく、「多次元の貧困」に関して比較できるデータがないと指摘されていました※1

子どもに関わる5つの分野のSDGs指標から見た各国のSDGs達成への取り組みの度合い

子どもに関わる5つの分野のSDGs指標から見た各国のSDGs達成への取り組みの度合い

ユニセフが発表した報告書※2によると、2018年時点で、9億4500万人の子どもたちが、子どもに関連したSDG指標の少なくとも3分の2に関して、データがまったくない国、あるいは、状況の改善を評価するために十分なデータが足りない国に暮らしています。つまり、この子どもたちは、どんな状況にいて、何が必要か、「調べられていない」状況で取り残されていることになります。たとえば、2019年にユニセフが発表した報告書『静かに窒息するアフリカ』※3によると、アフリカで大気汚染を正確に測定できている地域に暮らす子どもはわずか6%にすぎず、5億人の子どもたちは、どんな大気のもとで生活しているのか分かっていません。深刻な健康被害を起こし、ときに命もうばう大気汚染は、その統計データがないために、問題としてきちんと認められてこなかったのです。

データや統計なしに対策や活動を計画することはできません。すでにあるデータをSDGsと突き合わせ、新たにどんな調査が必要か見きわめてデータを取ること、そのために資金を集め、技術協力を進めることが、状況を変えるために欠かせません。

「パートナーシップ」をすすめる「オープンデータ」

ロシンの農業がうまくいく理由(英語字幕)

農業を営むロシンさん。ここのところ、農作物の収穫量が増え続けています。そのわけは…
最新の気象情報を確認できるおかげで、いつ収穫するとよいか、計画が立てられるようになったから!

国連機関、通信事業者、そして、一般の人々が協力して、正確で、タイムリーな気象予報を提供する取り組みが行われています。気象観測所から集められたデータは、ショートメッセージなどを使って、オンラインで人々に届けられます。
これが、ロシンさんの収穫量が増えた理由です。

持続可能な世界への道のりをふさぐたくさんの課題。政府、国際機関、企業、研究機関、NGO、個人、それぞれの持つ強みや得意とすることを生かしながら、さまざまな方向からその課題解決に取り組んだとしたら、その相乗効果でより早く解決にたどり着けるでしょう。それがパートナーシップです。

パートナーシップを進める
「オープンデータ」

では、どうしたらパートナーシップを効果的に進めることができるでしょう?
一つの方法は、課題を共有することです。SDGsができたのもそのためと言えるでしょう。そして、さらにくわしく課題を知ったり、解決のさまたげになっていることを見つけたり、解決方法を考えたりしたいときに、参考にできるのは様々なデータや統計です。政府や地方公共団体、国際機関、企業、研究機関など、それぞれが持っている様々なデータや統計を共有し、だれでも使えるようにする「オープンデータ」という取り組みが注目されています。データや統計の共有が、パートナーシップを進める力にもなります。

日本での取り組み

日本では、2016年に官民データ活用推進基本法という法律ができて、「オープンデータ」を広げようとしています。都道府県のオープンデータへの取り組みは2018年3月時点で100%に到達しました。また全1,741の市区町村のうち、2022年1月時点で1,176の市区町村がオープンデータに取り組んでいます。

オープンデータ取組済み(※)の市区町村数の推移

地方公共団体のオープンデータ取組み済み(※)の推移

※ 自らのホームページにおいて「オープンデータとしての利用規約を適用し、データを公開」又は「オープンデータであることを表示し、データの公開先を提示」を行っている市区町村。

オープンデータ取組済自治体一覧
※エクセルがダウンロードされます

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