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公益財団法人日本ユニセフ協会
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フィリピン台風緊急募金 第30報
フィリピン台風から1年
復興と長期的な成長の兆し
被災前よりも“よい”復興を目指して

【2014年11月8日 マニラ (フィリピン)発】

フィリピン中央部を襲った史上最大規模の台風30号(英語名:ハイエン)から1年。地域や国、国際社会の取り組みを受けて、被災地では復興と長期的な成長の兆しが見えています。

台風から1年

7月時点で、フィリピン政府指導のもと、ユニセフを含めた人道機関は、緊急支援物資の提供から、子どもの健康を促進するための持続的なシステムの構築や、ほかの災害に見舞われた際に起きる同様の被害リスクの軽減へと、活動の方向性を転換しました。より長期的な復興の取り組みは全体的な成長支援に統合され、コミュニティとコミュニティを構成するしくみの回復する力(レジリエンス)の育成に焦点が絞られます。

ユニセフ・フィリピン事務所代表のロッタ・シルワンダーは「この1年子どもたちのために成し得てきたことを持続させ、今後の災害に備えてコミュニティを災害に強くしなければなりません。被災した地域は、自然災害が起きやすい地域です。被災から1年が経ちましたが、今後も支援を継続していきます。そして、今後起きるあらゆる自然災害は、同様の被害・破壊レベルとしてはならないのです」と述べました。

台風30号は、子ども600万人を含む約1,400万人の命と生活に甚大な被害を及ぼしました。自宅を失った人は約400万人で、そのうち170万人が子どもたちです。

この1年、ユニセフはより強くより回復力があるコミュニティと社会構造を作るべく、クリエイティブなパートナーシップと革新的な活動を通じて、支援活動を行ってきました。以下は、取り組みの一部です。

ユニセフの支援活動

© UNICEF Philippines/2014/Joey Reyna
  • 最困窮世帯に財政支援を実施。対象となった1万5,801世帯に、6カ月間、毎月100米ドルの現金を無償で支給。支給した額の50%以上は食費に使われ、子どもの栄養支援に。ほかの主な支出は、教育、医療、仮住居など。
  • より健康なコミュニティをつくる:ユニセフはコミュニティを支援し、衛生習慣の変化とごみ処理の支援を実施。56の村(barangays:バランガイ)が、屋外排泄ゼロに承認。トイレの建設と維持管理、家庭への衛生的で正しいトイレの説明などの支援を行う。
  • 予防接種活動の支援:ユニセフは、フィリピン保健省とともに、効率的なワクチンの供給と利用に不可欠なコールド・チェーン(ワクチン保冷システム)の復旧と強化を優先課題として取り組む。これまでに、災害や気候に対応できるような備品の提供を含め、被災地の150の保健施設の再建を支援し、別途250施設の再建支援を予定。これらの取り組みにより、最近実施された5歳未満の子ども約130万人を対象にしたはしかの予防接種の支援も実現。

この1年間のユニセフの主な活動は以下の通りです。

数字で見る概況

被災した人 1,410万人
被災した子ども 590万人
避難した子ども 170万人

これまでのユニセフの取り組み


水と衛生
130万人 50万4,209人 31万17人
清潔な水を利用できるようになった人 学校用衛生キットを受け取った子ども トイレを利用できるようになった人

保健
130万人 1万5,707人 150自治体
はしかと風疹の予防接種を受けた 5歳未満の子ども 定期予防接種をすべて受けた 1歳未満の子ども 災害にも対応できるワクチン保冷システム(コールド・チェーン)を提供された自治体

教育
62万4,783人 21万3,200人 3,470人
学用品や物資を受け取った 就学前および学齢期の子ども 仮設学習スペースで学習した子ども 緊急下ならびに災害リスク削減の教育について研修を受けた教育関係者

栄養
51万6,960人 6万8,858人 2万104人
栄養状態の検査を受けた 生後6カ月〜5歳未満の子ども 乳幼児の適切な食事について カウンセリングを受けた 2歳未満の保護者・保育者 鉄と葉酸サプリメントの 必要量を摂取した妊婦

子どもの
保護
4万60人 2,244人 153カ所
「子どもにやさしい空間」を通じて、 心のケアを受けた子ども 子どもの保護に関する研修を受けた ソーシャル・ワーカー、警官、コミュニティの人 設置された「子どもにやさしい空間」

<水と衛生>

清潔な水への安全なアクセス、水キットや水処理用品の提供、巨大な貯水用タンク、家庭用の貯水容器の提供で130万人を支援。
© UNICEF Philippines/2014/Joey Reyna
清潔な水への安全なアクセス、水キットや水処理用品の提供、巨大な貯水用タンク、家庭用の貯水容器の提供で130万人を支援。
  • 清潔な水への安全なアクセス、水キットや水処理用品の提供、巨大な貯水用タンク、家庭用の貯水容器の提供で130万人を支援
  • ユニセフの支援で、31万17人が継続的なトイレの使用が可能に
  • ユニセフとパートナー団体は、学校に通う子どもたち50万4,209人に衛生用品を提供

<教育>

  • 台風30号以降、就学前と学齢期の子ども62万4,000人に、学用品や通学に必要な物資を提供
  • 臨時学習スペースを2,132カ所に設け、21万3,000人以上の子どもたちが教育を受けられるように
  • 仮設教室の設置や教室、デイケアセンターの復旧作業を1,700カ所で実施
  • 緊急事態下での教育や災害リスク削減などの研修を約3,500の教育関係者に実施
対象地域で1歳未満の子ども1万5,000人以上に、定期予防接種活動を通して、必要な予防接種すべてを接種。
© UNICEF Philippines/2014/Giacomo Pirozzi
対象地域で1歳未満の子ども1万5,000人以上に、定期予防接種活動を通して、必要な予防接種すべてを接種。
最困窮の1万世帯に、毎月100米ドルを、6カ月間、無償で給付。
© UNICEF Philippines/2014/Joey Reyna
最困窮の1万世帯に、毎月100米ドルを、6カ月間、無償で給付。

<保健>

  • 130万人以上にはしかの予防接種を実施
  • 対象地域で1歳未満の子ども1万5,000人以上に、定期予防接種活動を通して、必要な予防接種すべてを接種
  • 災害に対応できるアプローチに重点を置き、特に災害に対応できる備品(保冷室、保冷装置、発電機、保冷庫、ワクチン運搬用の箱、保冷庫の温度計)を提供し、被災した150の保健施設のコールドチェーン(ワクチン保冷システム)を復旧

<無償現金給付>

  • 最困窮の1万世帯に、毎月100米ドルを、6カ月間、無償で給付(全6回の給付を終了)
  • 東サマールでは、全6回のうち3回までの給付を終了
  • これらのプログラムは、社会福祉開発省との緊密な調整によって実施

<子どもの保護>

  • ユニセフとパートナー団体は「子どもにやさしい空間」を153カ所設置し、4万60人の子どもたちに心のケアを実施
  • 8,779人の養育者が、心のケア支援活動を利用
  • ユニセフは政府やコミュニティ、パートナー団体とともに、子どもの保護システムを強化し、家族とはぐれた子どもたちを探し出し、弱い立場にある子どもたちへの支援を実施
  • ユニセフとパートナー団体は、移動型のアウトリーチサービスを通じて、出生登録8万件の再発行を実施

<栄養>

生後6カ月から5歳未満の子ども51万7,000人が栄養状態の検査を受けた。
© UNICEF Philippines/2014/Joey Reyna
生後6カ月から5歳未満の子ども51万7,000人が栄養状態の検査を受けた。
  • ユニセフとパートナー団体は、2歳未満の子どもの養育者6万8,800人以上を支援し、乳児幼児の食事のカウンセリング支援を実施
  • 保健や栄養サービスを提供する人や団体など4,300以上が、緊急事態下での栄養に関する研修を受講
  • 生後6カ月から5歳未満の子ども51万7,000人が栄養状態の検査を受け、1,372人が重度栄養不良と診断されて治療食による治療を受け、446人が退院
  • 妊婦2万人以上が、鉄と葉酸のサプリメントを必要量摂取し終える

シルワンダー代表は「ユニセフとパートナー団体は、子どもたちの命を守り、子どもたちがより強くなれるよう、取り組んできました。台風30号(ハイエン)のような大きな災害下では、どのようなことが起きなかったか認識しておくことも重要です。我々の懸命な取り組みと国内外からの大きな支援により、大きな被害が起きたにもかかわらず、コレラやはしかなどの感染症が発生しなかったことは、誇れる事実です」と述べました。

* * *

ユニセフの支援要請に対し、国際社会からあたたかい支援が多く寄せられました。これにより、災害発生から1年となる2014年11月までの重要な活動資金はすでに確保されています。あたたかいご支援をお寄せくださったみなさまに、心より感謝申し上げます。

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