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ネパール大地震緊急募金 第16報
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ネパールを襲った最初の大地震から今日で1カ月。ユニセフ(国連児童基金)は、被災した子どもたちの栄養状態の悪化を食い止めるため、およそ7万人の5歳未満児に緊急の栄養支援が必要であると発表しました。
© UNICEF/PFPG2015-3053/Panday |
被災したバクタプルの町を歩く親子。 |
最も被害の大きかった14郡では、およそ1万5,000人の子どもたちが重度の急性栄養不良に陥っており、栄養治療食(栄養価が高く、すぐに口にすることができるピーナッツを原料としたペースト状の食品等)の支援が必要だとみられています。さらに、中度の急性栄養不良状態にある5万5,000人の子どもたちにも、栄養補助食品とケアによって、再び健康に成長・発達できるような支援が必要です。
「地震が起きる前から、ネパールの子どもの10人に1人以上が急性栄養不良に、およそ10人に4人が慢性的な栄養不足によって発育阻害に苦しんでいました。今回の震災によって、過去数年をかけて達成してきた栄養分野の改善が後退し、子どもたちの栄養状態が更に悪化してしまうことを、大変心配しています」とユニセフ・ネパール事務所代表の穂積智夫は報告しています。「私たちは、子どもたちの命を守り、まもなくやってくる雨期に心配される、汚水に起因する病気などに負けないよう、通常の2倍のスピードで栄養支援を展開しています」
ユニセフは、ネパール国内外のパートナー団体や政府とともに、下記のような包括的な栄養支援を行っています。
© UNICEF/PFPG2015-3067/Karki |
ボランティアの保健員が栄養状態の検査をする様子。 |
地震で被災した20以上の郡では、170万人の子どもたちが依然として緊急の人道支援を必要としており、長期にわたって身体的および精神的に影響を受ける危険が高まっています。
「ユニセフは、既に都市部や農村部で、瓦礫から舞い上がる埃による呼吸器系疾患など、慢性疾患の増加を確認しています」と穂積代表は続けます。「また、地震による怪我により、長期にわたって障がいを抱える子どもや、精神的に不安定になる子どももいるでしょう」
この1カ月にわたり、ユニセフは子どもたちを救う緊急の支援として、以下の支援を実施しています。
© UNICEF/NYHQ2015-1199/ |
ユニセフが支援する「子どもにやさしい空間」で笑顔を見せる子どもたち。 |
穂積代表はまた、「多くの支援を行いましたが、まだ更に多くの支援ニーズがあります。ネパールの復興への道は、長く、困難です。しかしユニセフは、どんなに長くかかっても、ネパールの子どもたちがよりよい生活と明るい未来を取り戻すまで、この地で支援を続けます」と語りました。
「私たちは、あらゆる手を尽くさなくてはなりません。なぜなら、私たちが今実施する支援は長期的な成果をもたらすものであり、更には次の世代にも影響を与えるものだからです」
ユニセフの支援活動分野 | ユニセフが活動する対象人数 | これまでに支援を提供した人数 |
水と衛生 | ||
最も被害を受けた地域の住民に対して、飲用、料理、衛生に適切な安全な水を提供 | 84万人 | 30万5,109人 |
最も被害を受けた地域の住民に対して、衛生的な環境と手洗い場の提供 | 84万人 | 4万5,201人 |
最も被害を受けた地域の住民に対して、衛生に関する研修や教材の提供 | 84万人 | 22万5,585人 |
栄養 | ||
急性重度栄養不良の6〜59ヶ月の子どもに対して、すぐ口にできる栄養治療食を提供 | 2,910人 | 継続中 |
子どもの栄養障害を防ぎ、栄養状態を改善するための微量栄養素パウダーを6〜59ヶ月の子どもに対して提供 | 27万1,500人 | 5,000人 |
0〜23ヶ月の子どもの母親に対して、母乳育児や離乳食に関する情報やカウンセリングを提供 | 12万6,000人 | 10万1,000人 |
保健 | ||
最も被害を受けた地域の子ども6〜59ヶ月に対して、はしかの予防接種を実施 | 50万4,000人 | 3,027人 |
最も被害を受けた地域の5歳未満の子どもに対して、下痢症への治療を提供 | 28万人 | 継続中 |
最も被害を受けた地域の新生児の母親に対して、緊急支援の提供 | 4万6,500人 | 継続中 |
子どもの保護 | ||
最も被害を受けた地域の子どもに対して、地域に根ざした心理社会ケア、および専門家による心理社会ケアサービスの提供 | 20万人 | 8,687人 |
最も被害を受けた地域の住民に対して、ジェンダーに基づく暴力、人身売買などの暴力、虐待、搾取を未然に防ぐため、地域ボランティアによるケアの提供 | 50万人 | 8,687人 |
地震によって家族や保護者と離れ離れになってしまったり、保護者が伴わずに避難したと登録された子どもを、家族と再会、もしくは適切な代替的ケアの提供 | 登録された子どもの60%以上 | 100% |
教育 | ||
最も被害を受けた地域の子どもに対して仮設の学習環境を提供 | 8万人 | 3,600人 |
最も被害を受けた地域の教師に対して、心理社会ケア、被災時の救命に関するメッセージなどについて研修を実施 | 2,000人 | 1,142人 |
「学校に戻ろう」キャンペーンの一環で、学習教材、学校に必要な備品を被災した子どもに提供 | 150万人 | 1万500人 |
その他 | ||
最も被害を受けた地域の住民に対して重要なメッセージの共有 | 332万人 | 継続中 |
最も被害を受けた地域の住民に対して、U-reportを活用した支援のフィードバック | 10万人 | 継続中 |
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