|
|
HOME > ニュースバックナンバー2015年 > ストーリーを読む
|
|
東日本大震災復興支援 第255報
|
© 日本ユニセフ協会/2015 |
2011年11月、みなさまのご支援で完成した、三宝保育園のプレハブ園舎。 |
日本ユニセフ協会は、震災後、地震や津波により被災した自治体からの要請を受け、岩手・宮城・福島各県で、保育園・幼稚園園舎をはじめとする教育・保健関連施設の再建(建設)および大規模修繕支援を実施しました。
震災から4年。関係者の希望で施工・設置期間が非常に短いプレハブ構造の仮設園舎を支援した岩手県内では、昨年までに、4園全てが自己資金や補助金等を活用して新たな園舎を再建。今年に入り、宮城県亘理町と福島県いわき市の保育園でも新園舎が竣工し、新しい一歩を踏み始めました。
© 日本ユニセフ協会/2015 |
新装なった宮城県亘理町の吉田保育所。右奥は、長瀞小学校。「もしも」の時、吉田保育所の子どもたちは、3階建ての小学校校舎に避難する。4年前の「あの日」も、吉田保育所の園児たちは、近隣の小中学校に逃れ、全員無事だった。 |
いわき市の三宝保育園は、地震で園舎に大きなダメージを受けました。自治体から「使用不可」とされながらも、一日も早く保育活動を再開させるため、被害が殆ど無かった小さな部屋に子どもたちを集め、震災から約2週間後の3月27日に保育を再開。しかし、地震による被害が大きかったいわき市内はもとより、原発事故などによって住む場所を追われた多くの方々がいわき市に避難されたため、入園希望が増加していました。こうした折、園の関係者が、当協会がスタートさせた幼稚園・保育園再建支援の取り組みを当協会のホームページでご覧になり、支援を要請。いわき市からも当協会による支援が必要との意見書を戴き、2011年11月、プレハブ園舎を提供しました。
そして今年1月、三宝保育園は、3年あまり使われたプレハブ園舎から新園舎にお引越し。「東日本大震災の折には、先がまったく見えない恐怖にも似た不安でいっぱいでした。そのようなときに、仮設園舎を建てていただいたときはありがたく、希望が見えてきて涙が出そうになりました」。保育園からは、新園舎落成のご報告とお礼のお手紙が届きました。「支援がなければ、今の三宝保育園、ここに働く職員、通園する園児と保護者の存在はなかったと思います。ただただ、感謝、感謝です」(お手紙から)
© 日本ユニセフ協会/2015 |
吉田保育所新園舎の調理室。災害時は、近隣避難者の方々への炊き出し拠点にもなるという。 |
海岸線から1.2キロ程の場所にあった亘理町立吉田保育所の建物は、3月11日の津波で全壊。4キロ程離れた同町内の吉田西児童館に間借りした形で保育が再開されましたが、吉田西児童館を含めた亘理町全体の保育環境を一日でも早く回復・復興させたいとの亘理町の要請を受け、日本ユニセフ協会は、吉田西児童館敷地内に吉田保育所に通っていた子どもたちや近隣の子どもたちを対象にした児童福祉施設の建設を支援。同施設は、2013年1月完成しました。
その後、亘理町は、まち全体の復興計画を策定する中、被災した吉田保育所を、もとの園舎があった地区に建つ小学校の隣接地に再建することを決定。4年前の経験を踏まえ、新しい園舎には、災害時には炊き出しもできる調理室が設置された他、「あの日」もそうだったように、いざという時、子どもたちは、隣接する3階建ての小学校にすぐ避難できるようになっています。
© 日本ユニセフ協会/2015 |
亘理町立吉田保育所の新園舎落成式。新たな1ページが開かれました。 |
日本ユニセフ協会が建設を支援した児童福祉施設は、今後、一時保育やファミリーサポートセンターの拠点として引き続き、亘理町の児童福祉行政サービス拡充のために使われます。大都市の仙台市に隣接する亘理町では、待機児童も少なくありません。町のご担当者は、「将来的には、また保育所として活用したい」と話します。
震災後の混乱や不安の中で子どもたちを守り、育て、子どもに関わる方々を支え続けた“仮”の施設は、すべてその務めを終えました。一部役目を代えて残る施設や恒久の施設は、復興が本格化する中、引き続き子どもや周囲のおとなを支え続けます。