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ネパール大地震緊急募金 第20報
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© UNICEF/PFPG2015-3075/Karki |
母親のシタさんに兄のラムさんがコルセットをはめる様子を見つめるラミタさん。 |
4月25日、ネパールを大地震が襲ったとき、ラミタ・ギリさん(11歳)はシンドゥーパルチョーク郡のジャミレにある自宅のベランダでお昼ご飯を食べていました。怖くなり、母親を探しに家の中へ駆け込みました。
「『お母さん!お母さん!』と、声を限りに叫びました。そのとき、突然家が崩れ落ちてきて、下敷きになったのです。4時間後、お兄ちゃんが私を瓦礫の中から助け出してくれました」と、ラミタさんがそのときの様子を思い出しながら語ります。
ラミタさんは気を失い、瓦礫の下敷きになっていたときのことはほとんど覚えていません。ラミタさんを助けるため、木の梁を何人かの人たちが必死にどけようとしている姿をうっすら覚えているぐらいだといいます。
この大地震で8,000人以上が命を失い、その3倍ほどの人々が負傷しました。ラミタさんのほかにも5人の家族が家の中に取り残され、傷を負っています。ラミタさんは打撲や怪我を負い、ラミタさんの母親のシタさんは脊髄を損傷する重傷を負いました。
カトマンズ渓谷のちょうど東に位置するカブレという町の脊髄損傷リハビリセンターのテントで、ラミタさんとシタさんは1台のベッドをふたりで使いながら治療を受けています。依然として余震が続くなか、患者たちは屋内で過ごすことを怖がっています。ユニセフの医療用テント2張を含め、次々と搬送されてくる脊髄を損傷した患者たちの治療やケアを行うことができるようにするため、追加でテントが届けられています。
© UNICEF/PFPG2015-3079/Karki |
脊髄損傷リハビリセンターのテントのベッドで横になるシタさんとラミタさん。 |
「52台のベッドがあるこのセンターには、地震が起こる前、平均40人ほどの患者が入院していました。地震発生直後は患者数が倍になり、現在は3倍ほどにまで膨れ上がっています」と、脊髄損傷リハビリセンターの代表、エシャ・タパ・ドゥンガナさんが語ります。
今後、多くの患者たちがこのセンターに搬送される見込みだと、現在首都のカトマンズにある別の病院に派遣されている脊髄損傷リハビリセンターの保健員たちからの報告もあがっています。ユニセフは増え続ける患者数に十分対応できるよう、医療用テントや毛布を提供し、このセンターを支援しています。
「ユニセフから提供されたテントは、リハビリを終えた患者や、ある程度自分の力で動くことができるようになった人たちのために使用されます」と、ドゥンガナ代表が話します。
脊髄を損傷した人々は、入院して長期にわたるケアや治療を受ける必要があります。
「ユニセフから提供されたテントで、リハビリセンターのスペースを確保できるだけでなく、限られた物資を効果的に使い、患者たちにできる限りよいサービスを提供することができます」(ドゥンガナ代表)
ネパールでは地震で400以上の保健施設が倒壊し、700以上がダメージを受けています。医療用テントは、この脊髄損傷リハビリセンターだけでなく、病院、診療所、分娩施設、妊婦や出産した母親たちのための施設などに届けられ、重宝されています。
地震の影響を受けた地域で暮らす100万人以上の子どもたちのニーズに対応するため、ユニセフは既に100以上の医療用テントや多くの毛布を保健所や病院に提供しています。
何週間にも及ぶ治療を受け、ラミタさんとシタさんは、ゆっくりとですが歩くことができるようになりました。そして、ふたりの未来への希望も、少しずつ膨らんでいます。
「いつか、新しい家が建てられるようになればいいな!」と、ラミタさんが微笑みながら話しました。
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