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ユニセフ協会からのお知らせ

Happy Birthday!
11月20日は、 「子どもの権利条約」満18歳の誕生日

日本ユニセフ協会 記念シンポジウム開催

【2007年11月19日 ニューヨーク・東京発】

2007年11月20日、「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、採択18周年を迎えます。

18歳未満の子どもの権利を規定した条約が「成人」を迎えます。現在、世界に22億人いると推定されている子どもたちは、世界193カ国が批准し、世界で最も普遍的な内容を持つこの条約によって、「子どもの権利」を保障されています。

この18年の間に、5歳未満児死亡率は低下し、危険な労働を強いられている子どもの数も減少しました。しかし、そうした成果に取り残されている子どもたちもまた数多く存在します。

 ■「子どもの権利条約」の成果

「子どもの権利条約」が具体的に子どもたち一人ひとりにどのような成果をもたらしたのかを知ることは困難ですが、何百何千万もの子どもやその周囲の人々の生活を大きく改善したことは間違いありません。「子どもの権利条約」が採択されて以来、ユニセフは、この条約をその全ての活動の指針としていますが、この18年、特に、次の4つの分野において、目覚しい進展が見られました。

1)医療・保健や教育などの基本的社会サービスへのアクセス(利用率)の改善

  • 先住民・少数民族の子どもたち:
    二つの言語を使った教育や文化的背景に配慮した教育法・教材が開発され、例えば、中南米のアンデス地域やアマゾン盆地などの僻地に住む先住民族の子どもたちの生活環境を改善するための支援が実施されています。
  • 医療・保健サービス:
    こうしたサービスへのアクセスが改善し、5歳未満の子どもの死亡率を減少することに貢献しました。2007年9月、世界の5歳未満の子どもの死亡数が年間970万人となり、初めて1000万人の大台を切りました。
  • 女子教育:
    就学率や退学率などにおける男女間格差の解消のための世界的な取り組みが進められています。
  • 紛争や災害地での緊急事態:
    今日では考えられないことですが、ほんの10年前までは、教育支援は緊急支援活動に必要な活動として考える人は殆どいませんでした。「子どもの権利条約」の考え方をこうした状況に当てはめることにより、ユニセフは、以下のような具体的な教育支援をするようになりました。

    © UNICEF/ HQ05-1698/Josh Estey
    1)子どもに優しい空間づくり — 子どもたちが集まり、ゲームをしたり、仲間と触れ合える場所、すなわち子どもたちが安心できる場所を提供することで、心のケアを提供しています。

    2)スクール・イン・ア・ボックス — 1〜2クラス分の教材や学用品が入った教育キット。緊急事態の発生後、72時間以内に、被災地で学校活動を再開させることができます。

2)基本的な社会サービス、特に教育の質の改善 

ユニセフは「子どもに優しい学校」というコンセプト(考え方&取り組み)を進めています。子どもたちに、安全かつ健康的で女の子にも配慮した学習環境を提供し、親と地域の人々が学校の運営に参加し、十分な質を確保した教育内容や、子どもたちが健康的に生活するために必要な知識や技術を学ぶ所。「子どもに優しい学校」は、「子どもの権利条約」の精神を教育に反映させたものです。現在90以上の国々で試みられ、54の国で、「国家標準」として採用されています。

3)特に困難な状況に置かれている子どもたちの保護問題の進展

  • 出生登録:
    世界各地で、往々にして予防接種や教育など、基本的な社会サービスを享受する前提条件となる出生登録。以前よりも多くの子どもたちが出生登録されるようになりました。
  • 特に危険な環境下での児童労働
    「子どもの権利条約」は、こうした労働を撲滅するための強固な後ろ盾となっています。世界各地で、児童労働撲滅のためのアドボカシーや、法律の整備、保護政策の導入などが進んでいます。
  • 脱施設化:
    世界的に「施設」に収容される子どもの数は未だに増加傾向にありますが、こうした施設を必要とする状況を防ぐための施策や、代替ケアの提供などの模索が進んでいます。
  • 有害な伝統的慣習:
    かつて口にすることすら憚れていた女性器切除(FGM/C)や早婚など問題が、公の場で議論され、その解決のための取り組みが、多くの国で始まっています。
  • 触法児童:
    罪を犯した大人と同じ扱いをされていた青少年に対する処遇が、多くの国で見直され、変更されてきています。

4) 紛争下の子どもたちの保護の拡大

© UNICEF/HQ01-0087/Stevie Mann
  • 子どもを兵士として徴用することを防止し、子どもの兵士の武装解除・社会復帰のための国際法やガイドライン、支援活動が拡充しています。
  • 国際的な平和構築や治安問題への取り組みの中で、「子どもの権利」は、明確な地位を占めるようになりました。
  • 混乱の中で保護者を失ったり、離れ離れになった子どもたちを「養子縁組」や「里親」などの名目で、最も適切な環境(多くの場合、生まれ育った地域や親戚など)から子どもたちを引き離すことの「不当性」が、より一層理解され、またそうした行為を防止する取り組が進んでいます。

 ■ 取り残された課題

18年前に「子どもの権利条約」が誕生して以来、こうした成果が生まれた一方、私たちには、いまだに多くの「課題」が残されていることも忘れてはなりません。

© UNICEF/HQ06-2401/Susan Markisz
  • 2003年現在、毎年5000万近くの新生児が出生登録されていません。南アジアにいたっては、半数近くが登録されていない状況です。
  • 最新(2002年度)の統計によると、毎年世界で、約120万人の子どもたちが人身売買の被害にあっていると見られています。
  • 1億3000万人以上の女性が、女性器切除(FGM/C)の被害に遭っているとみられています。
  • 2002年度の統計によると、1億1500万人の子どもたちが学校に通っていません。その53パーセント以上が女の子です。

 ■ 私たちに出来ること

この状況を変えるために、私たち一人ひとりには何が出来るでしょうか?ユニセフは、次のように考えます。

© UNICEF Programmes in Sudan - 2006

「子どもの権利」を知ろう!

「子どもの権利条約」は、世界中の全ての子どもが持つ権利を規定しています。「子どもの権利条約」は、しかし、単なる法律ではありません。「子どもの権利を守ることは、全ての人の責任である」という考え方を反映した条約なのです。

声を上げよう!

世界の殆どの国が、「子どもの権利条約」を批准しています。子どもの権利を実現し、促進するように努力しなければなりません。子どもたちの権利を守る義務があることを、政府に訴え、政治的リーダーに働きかけてくだい。

自分の役割を果たそう!

子どもの権利の実現のためには、私たち一人ひとりが役割を果たさなくてはなりません。世界中の人々が、それぞれに課せられた責任を果たした時、世界は、初めて子どもにとっても大人にとっても、より良い世界になるでしょう。私たちの行動が、子どもたちにどれほどの影響力を持っているかを考えれば、「子どもの権利条約」の考え方を、日々の生活の中に活かし反映させることができるはずです。

「潮流」を創ろう!

経済状況の如何に関わらず、世界の多くの国で、子どもの権利を保障し、子どもたちを保護するための様々な活動が広がっています。こうした潮流を止める事無く、応援し、さらに強化するために、一人ひとりができることをすれば、次の世代のために、世界を変えることができるでしょう。

主人公の一人に!

この18年の間に、「子どもの権利」を実現するための活動は、急速に発達し、拡大しています。世界中で、何百万・何千万もの人々が、子どもたちのために立ち上がっています。子どもたちにふさわしい世界をつくるために、世界中が立ち上がっています。あなたも、是非その「主人公」の一人になってください。

「取り残された子どもたち」
・・・ユニセフ・シンポジウム開催

日本ユニセフ協会は、「子どもの権利条約」採択満18年を記念し、本日(19日)夜、東京・有楽町で、ユニセフ・シンポジウムを開催します(定員に達したため、参加お申し込みは、既に締切らせていただいております)。

1973年からユニセフ職員として、世界各地の現地事務所に勤務し、1990年の「子どものための世界サミット」や2002年の「国連子ども特別総会」の開催に中心的な役割を担った、ユニセフのクル・ゴータム事務局次長や、アグネス・チャン日本ユニセフ協会大使の基調講演・報告に続き、NHK教育テレビの「できるかな」のノッポさん役などで知られる高見ノッポ氏らを迎えたパネルディスカッションを通じ、世界の子どもたちの現状を変えるために、私たち一人ひとりができることを考え、訴えて参ります。

シンポジウムの模様は、後日、本ホームページの「報告会・イベントレポート」のページでご紹介する予定です。

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