第4回アフリカ開発会議(TICAD IV 5月28日〜30日)
ユニセフ 『アフリカ子供白書 2008』を発表
アフリカの子どもの生存のために国際社会の団結を訴える
【2008年5月28日 東京発】
第4回アフリカ開発会議(TICAD Ⅳ)初日の28日(水)、ユニセフは、同会議の開催地 横浜で、『アフリカ子供白書 2008』を発表しました。ユニセフは、白書を通じ、未だに基礎的な保健サービスすら受けられない状況にあるアフリカの子どもたちのために、国際社会による大規模な投資を求めています。とくに子どもの死亡率の高いサハラ以南のアフリカの各国・地域が持続的に発展するためには、子どもの生存のための国際社会による団結した取り組みが不可欠です。
「毎年、1,000万人近い子どもたちが5歳になる前に命を落としています。その半数はアフリカの子どもたちです。子どもたちが日々生活を営むコミュニティーに根ざした基礎的な保健サービスさえあれば、失われずにすむ命なのです。」(ユニセフ アン・ベネマン事務局長)
白書は、主にサハラ以北のアフリカ5カ国(アルジェリア、エジプト、リビア、モロッコ、チュニジア)では、子どもの死亡率が1990年から2006年の間に少なくとも45パーセントも減少させることに成功したと報告。これらの国々は、2015年までに5歳未満児の死亡率を(1990年時点の数値の)3分の2にするという、子どもの生存に関するミレニアム開発目標の達成が見込まれるとしています。
一方、サハラ以南のアフリカでも、同期間に14パーセントの減少が見られたものの、いまだに6人に1人が5歳の誕生日を迎える前に死亡しているのです。つまり、サハラ以南のアフリカは、子どもの生存にとって世界中でもっとも困難な状況にある地域なのです。
『アフリカ子供白書 2008』は、この大陸の子どもたちが置かれている現状に関する数値的なデータと様々な分析とともに、近年各地から報告されている「成果」の概要を紹介。子どもたちの死亡率の低減に繋がる実証された方法や施策を提案しています。
子どもの命を守るために・・・近年の成功例
28日に発表された『アフリカ子供白書 2008』は、次のような「成功例」を報告しています。
- 「最も開発が遅れている4カ国」とされるエリトリア、エチオピア、マラウイ、モザンビークでも(地域に根ざした基礎的な保健サービスの拡充により)、5歳未満児の死亡率は、1990年以後、40パーセント以上減少した。
- サハラ以南のアフリカにおける「はしか」による死亡は、2000年から2006年にかけ、91パーセントも低減された。
- 2000年以降、マラリア対策用の防虫剤処理済の蚊帳の普及率が、アフリカ16か国で3倍に拡大した。
- サハラ以南のアフリカの全ての国・地域で、母乳による育児の普及率が、1996年の22パーセントから2006年には30パーセントに向上した。
- 微量栄養素補助食品の利用率が増加した。
- HIV陽性の母親と子どもに対する治療サービスの普及が始まっている。
- 2004年から2006年の間に、HIVの母子感染予防のための抗ウィルス治療の普及が、東部・南部アフリカ地域で3倍に拡大した。
いつでもどこでも利用できる保健サービスを
白書はまた、アフリカの人々、特に子どもたちが、何時何処にいても受けることができる基礎保健サービスの必要性を強調しています。アフリカの持続的な発展のためには、女性の妊娠から出産、産後と、子どもの新生児期から成長期にいたるまで、そして家庭やコミュニティーレベルから地域の保健所、そして病院など、あらゆる場所で、また必要に応じた内容の基礎的な保健サービスが途切れることなく受けられるような体制を整備することが必要なのです。
「アフリカの子どもたちの命を守るために必要なサービスや方法は、既に私たちの手中にあるのです。予防接種や防虫剤処理済の蚊帳、ビタミンA補給の普及。白書は、こうした活動が全て、ここ何年かの間で子どもたちの死亡率の低減に成功した確かな方法であると報告しています。」(アン・ベネマン事務局長)
『アフリカ子供白書 2008』は、政府や国際機関、NGO、市民社会や民間団体など、全ての関係者が力を合わせて、妊産婦と乳幼児の命を守るために取り組むよう訴えています。
|トップページへ|先頭に戻る|