1986年から毎年、ユニセフの干支年賀はがきに、ボランティアで作品を書き下ろして下さっている書家の矢萩春恵氏。はがきという限られたスペースの中に、多彩な線と色で生き生きと表現した作品は、例年私たちを魅了します。それは、作品が持つ躍動感やぬくもりはもちろんのこと、世界の子どもたち皆が幸せな新年を迎えられるように、という矢萩氏のメッセージが込められているからにほかなりません。
現在@カードとギフトでご紹介している2002年用の年賀はがきは、第16作品目にあたる「羊の象形文字」。金色と紅白を背景に、光沢を帯びた白い羊が映えており、祝賀の雰囲気を出していることから大好評です。これまでの15作品とあわせて全国のユニセフ・サポーターの方々からお申し込みいただいた年賀はがきは、450万枚にのぼり、ユニセフの援助活動を大きく支えています。
矢萩氏は女流書家の視点から、「人間愛」をライフワーク・テーマとして書に託しています。この度、東京・銀座で、財団法人日本ユニセフ協会後援のもと、年末にふさわしい作品展が開催されることとなりました。
同展は、 “社会的弱者”である主人公らが社会正義を実現した出来事として、長く日本人の心をつかんできた「忠臣蔵」がモチーフです。矢萩氏は、開発途上国に比べ、物質的な豊かさと引き替えに精神的に貧しくなりつつある日本の現代社会に向けて、「人間の心とは」「人間にとって大切なものは何か」を作品を通して訴えかけます。また、ちょうど300年前に起こったこの歴史的な事件にまつわる女性の心を象徴する語句を選び、書での表現を試みた意欲的な作品展となっています。
会期中は、会場にて年賀はがき「羊の象形文字」も紹介されます。人間の力強さを伝える語句を表した約50作品をご堪能ください。
《矢萩春恵展「書、そして、忠臣蔵」》 |