イサ・ディアロさん(シアカ君のお父さん)

シアカを小学校に行かせなかったことは失敗でした。シアカは我が家の長男で、どの学年にシアカを入学させればいいのか分からず、自分たちの失敗に気付いたころには、遅すぎたのです。そこで、町に住む妹にシアカを預けました。妹は責任を持ってシアカに勉強をさせると言ってくれました。彼女は夜間学校にシアカを通わせてくれましたが、夜間学校での教育は私たちが望んでいたものとは違いました。毎晩2-3時間ほど授業がありましたが、それだけでは足りないのです。ソコロニ村にできた職業訓練校の話を聞いて、村にシアカを連れ戻しました。シアカにこのチャンスをうまく利用して欲しかったのです。

私自身は学校に行ったことがなく、教育を受けていないために困ることがあります。例えば、隣国マリの市場へ農作物を売りに行きますが、国境には税関があり、入国審査を受けます。審査官はフランス語で質問してきますが、私には全く理解ができないのです。店に行っても、商品についている値札が読めないので、店員に値段を教えてもらわなければなりません。高い値段で買わせるため、店員が私にうそをついているのではないかといつも思っています。自分と同じ目にあって欲しくありませんから、自分の子どもには学校に行ってもらいたいのです。

私は、シアカが職業訓練校で学んでくれているのをとても嬉しく思っています。実のところ、小学校より職業訓練校の方がいいと思っています。というのも、職業訓練校では、基礎教育に加えて職業に就くための技術を身につけることができるからです。我が家は農作物を育て、それを売って生計を立てていますが、その収入は十分ではありません。学校に行くことで、シアカはさらに家族に貢献してくれると思います。仕事で稼いだ収入だけではなく、学校で日々勉強してきたことを、私たちと共有してくれるでしょうから。