日本ユニセフ協会

ユニセフ現地レポート

現地で活躍する日本人スタッフより 関根 一貴(せきね かずたか)ネパール事務所 保健専門官 地震から1年半、ネパールの子どもたちを守るために 震災前から 深刻だった 栄養不良
今も続く厳しい避難生活 ネパールの国民の10人に1人が被災し、9000人近くが犠牲となった大震災から1年半以上がたちました。現地では今も2万人を超える人々が避難生活を強いられています。また、震災の影響で70万人〜100万人も貧困層の人口が増え、多くの家庭で子どもに十分な食事を与えることが難しくなっています。ネパールの子どもたちの栄養状況は、震災以前から深刻でした。母乳育児の普及率が低く、離乳後も米や豆類など偏った食材しか口にできない子どもが多いため、乳幼児の約4割が、慢性栄養不良からくる発育不全に陥っていました。このような状況の子どもたちを襲ったのが、2015年春の大地震です。ユニセフは、国内に備蓄してあった栄養治療食や衛生キット、医療用テントなどを駆使して全力で子どもたちの救命に当たりました。
「子どもの栄養週間」で守られた命
栄養検査を受ける子ども 子どもたちのための栄養支援のなかでも特に重要な役割を果たしたのが、2015年夏に14郡の被災地で一斉に開催した「子どもの栄養週間」です。保健員やボランティアに栄養不良の検査方法を研修し、37万人以上の子どもに検査を実施した結果、命が危険な状態と診断された1000人以上にすぐに治療を行なうことができました。会場では、ビタミンAの投与や微量栄養素の配付、母乳育児や食材選びの指導が行われ、今も被災地の母子の健康を支える大きな力となっています。ネパール政府は現在、「子どもの栄養週間」を被災地だけでなく全国で年2回開催することを検討しています。
生きのびるための環境を整備
ヒマラヤを望む被災地の村で ネパールでは、都市部から高山地帯までさまざまな地域で多数の民族が暮らしています。
そこに住む子どもを栄養不良から守り、必要な支援を届けていくためには、医療システムの再構築や保健員の育成など、多くの取り組みが必要です。子どもたちの笑顔と雄大な自然に励まされながら、これからも幼い命を守る仕事に打ち込んでいきます。
厳しい日常のなかでも栄養不良に陥ることなく育っていけるようユニセフ募金にご協力ください。
募金の他にも、ご支援方法はあります ユニセフの活動にご興味をお持ちいただけましたらあなたのご家族・ご友人に広めてください。
栄養不良が脅かす、「命」・「成長」・「未来」

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