サハラ砂漠の東に位置する国エチオピアでは、近年、干ばつによる水不足が深刻化しています。ふだんから安全な水の普及率が20〜50%と低く、川や溜め池などの濁った水しか飲んだことのない子どもたちが多くいます。しかも干ばつが起きるとその水さえ干上がってしまい、人々はより遠くの水源を探して10時間以上歩いたり、村を捨てて家族で避難することも珍しくありません。ユニセフは、被害を受けた村々や避難民キャンプでの水の確保に奔走しています。
こうした水不足の地域には、干ばつが起きても枯れない数百メートル級の深井戸が必要です。しかし、掘削地点の割り出しが難しいこともあり、支援に乗り出す機関は多くありません。ユニセフはこの困難な課題に率先して取り組み、ここ数年はEUの人工衛星の協力も得て、ほぼ100%の確率で地下水を掘り当てられるようになってきました。地中から大量の水が噴き出すと、子どもたちは驚きと喜びで大興奮。きれいな水を見たことがない彼らに笑顔をもたらせる、最高の瞬間です。
ユニセフが政府を支援してできた東部ハーシムの深井戸は、2015年の大干ばつの間も地域で唯一、安定的に水を供給し続け、避難民を含む1万人近くの命を支えました。過酷な条件下でも枯渇するリスクが低く、一基で数千人が恩恵を受ける深井戸は、干ばつの多いこの国で子どもたちを守る重要な支援です。
私の主な仕事は、干ばつなどの緊急事態が発生した際に、国連や各国の支援機関をまとめて水・衛生チームを調整することです。安全な水を届けるという共通の目標に向かって方針や情報を共有し、大切な資源を無駄にしないように支援活動を進めています。やるべきことは、まだ沢山あります。