国家再建に向けて、復興の道を歩むアフガニスタン。 しかし、この国の教育制度は依然大きな課題を抱えています。 とくに早急の改善を必要としているのが、女子の教育環境です。
かつてアフガニスタンを治めていたタリバン政権は女の子が 学校に行くことを禁止していました。そのタリバン政権が崩壊し 女の子たちも学校に通えるようになりました。 しかし、校舎に男女別のトイレが整備されていないために 学校に行かなくなってしまう女の子も少なくありません。
ユニセフは、アフガニスタン政府と協力して女の子たちが学校で勉強を続けることができるように、全ての学校に給水設備とトイレを設置するなど、「女の子に優しい学校づくり」を進めています。
「女の子が小学校に行かない理由のひとつは、学校にトイレがないからなのです。」 ユニセフ・ジャジャラーラーバード事務所のパラカシュ・トゥランドハル所長は話します。 「飲料水と適切な衛生施設の設置が、学校の整備計画に含まれていることが 非常に重要です。もし、学校にトイレがなければ、女の子が学校に通わなくなるのは 明らかですから。」
学校にトイレをつくること。その重要性は、単に「用を足す場所」を提供することに留まりません。 なぜなら、女の子と女性の教育は、国の開発と繁栄のための前提条件だからです。読み書きや計算の仕方、衛生習慣、搾取から身を守る方法など、女の子が身につけた生きるための力は、やがて生まれてくるこどもたちにも世代を超えて受け継がれていくからです。
ユニセフがアフガニスタンで実施するもうひとつの活動は、 「健康な学校づくりイニシアティブ」です。これは、子どもたちのための学習環境を整えるだけでなく、子どもたちが家に帰って、 学校で得た知識を家族と共有し、そこから地域の人々に知識を広めていただくことを目的とした活動です。
子どもたちは、適切な歯の磨き方や石鹸での手洗いを教わり、
基本的な応急処置の訓練も受けます。
学校では、このイニシアティブを通じて、子どもたちに飲料水とトイレ、
虫下し剤が提供されたほか、地雷の危険に晒されることなく子どもたち同士で、
安心して遊ぶことが出来る安全な遊び場も用意されました。
「私たちの先生は、衛生と公衆衛生について教えてくれました。
私たちの学校には、きれいな飲料水があります。」生徒のひとり、
ザハラさん(15歳)はこのように説明してくれました。
将来に向けた職業技能、搾取から身を守る方法、
病気の予防法など、女の子たちが身につけた生きるための力は
やがて生まれてくるこどもたちにも世代を超えて受け継がれていきます。
女の子たちが学校に通いだすと、命を守り、自立をめざす前向きなパワーが、
広がっていきます。