こうした命のほとんどが、予防接種で簡単に防げる感染症や下痢による脱水症、栄養不良など、日本などの先進国では考えられないような理由で失われているのです。安全な水やワクチンがあり、適切なケアを受けられていれば防ぐことができるものです。
- チャドのムソロにある栄養不良治療センターで、母親のエタ・ブライムさんに抱かれるイッセンちゃん(1歳6ヵ月)。イッセンちゃんは、このセンターで治療用の食事を与えられている。
もう、泣く力もなく、息の浅いイッセンちゃんを抱いて、お母さんは祈るような気持ちで、先を急ぎます・・・。ずっと歩き続け、やっと栄養治療センターにたどり着いたとき、1歳6ヶ月の女の子、イッセンちゃんは生死の境をさまよっていました。重度の栄養不良のうえに、何日も下痢がとまらず脱水症をおこしていたのです。イッセンちゃんは、栄養の専門家による治療を受け、1週間経った今、ようやく回復に向かっています。センターには、今日も、イッセンちゃんのような子どもが次々と運びこまれてきます。ここに辿りつく前に、お母さんの腕の中で力尽きる赤ちゃんもいます。自分ではどうすることもできない状況に置かれ、短すぎる生涯を閉じる子どもたち。世界では、今この瞬間も約4秒にひとり、幼い子どもが5歳の誕生日を迎える前に命を落としています。