私たちが暮らす日本は、世界平均の約2倍の降水量と、行き届いた水道設備を誇る、水に恵まれた国です。しかし、ひとたび世界に目を転じると、いまだ約7億5,000万人もの人々が、水道も、整備された井戸も利用できず、生きるために欠かせない安全な水さえ手に入れられずにいるのが現状です。
アジアやアフリカでは、水くみのために平均6kmの道のりを歩かなければならず、運び手の多くが女の子。水くみなどの家事労働のために学校に通う時間がない子どももいます。
下痢による脱水症に苦しむパキスタンの男の子
途上国の子どもたちの水源は、泥やごみ、病原菌や寄生虫など、命を脅かすさまざまな危険を含んでいます。
こうした水を抵抗力の弱い赤ちゃんや幼児が口にすると、たちまち下痢を起こし、深刻な脱水症に陥ってしまいます。
汚れた水は、コレラのように発症から数時間で死に至ることのある恐ろしい感染症ももたらします。子どもたちにとって、水は生死に直結する問題なのです。
ORS(経口補水塩)
下痢による脱水症はORSでただちに治療
下痢性の病気で脱水症に陥った子どもは、一刻も早く身体に水分を補給しなくてはなりません。ORS(経口補水塩)を根気よく与え続けることで、下痢による子どもの死亡を最大9割まで防ぐことができます。
※ご寄付の金額は任意です。 ※輸送や配布のための費用は含まれません。 ※2014年2月現在の価格
また、世界のどこで自然災害や紛争が発生しても、いち早く現地に駆けつけて飲料水の供給や浄水、壊れた水道の復旧などを行ない、現地の子どもたちを全力で守り続けています。
私が活動する西アフリカのマリは、世界で最も乳幼児の死亡率が高い国のひとつであり、その大きな要因となっているのが水の問題です。サハラ砂漠が広がる北部をはじめ、国土の約半分は乾燥地に覆われ、水不足やたび重なる干ばつに悩まされています。水道の普及率はわずか1割強で、多くの人が手掘りの井戸やため池など安全性の不確かな水を飲まざるを得ず、毎年1万人近い乳幼児が下痢で命を落としています。
ぬかるんだ避難所の前を歩く男の子
一方、5月から10月の雨季になると、人口が集中する南部などで、ニジェール川が増水し、流域の村々を水没させます。住む家を失った人々は避難生活を余儀なくされ、衛生状態の悪化によりコレラなどの脅威にさらされます。また、水没した井戸は内部が汚染され、洪水が引いた後も安全な水が飲めなくなってしまいます。ユニセフは、浄水剤や石けんの入った衛生キットを配付して、下痢性の病気から子どもたちを守るとともに、水質調査や井戸の復旧、建設などの支援を行ない、安全な水の確保に尽力しています。昨年は、私が住む首都のバマコでも大きな洪水が起き、川岸に住む貧困層を中心に2万人以上が避難民となりましたが、マリ政府やユニセフなどの支援機関が昼夜を徹して救援に当たり、子どもの犠牲を最小限に食い止めることができました。
きれいな水をくむ子どもたち
マリでは紛争が収束し、人々が未来に向けて歩み始めたばかりです。私は、最も弱い存在を支えたいと願って今の仕事につきましたが、この国で活動していると、子どもたちは弱いだけの存在ではなく、国を変えていく原動力そのものであると実感します。これからも支援活動を通じて、子どもたちがつくる未来を、一緒に支えていきたいと思います。
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、乳幼児期から青年期までの子どもたちの命と健やかな成長のために、現在150以上の国と地域で活動しています。保健、栄養、水と衛生、教育、暴力や搾取からの保護、HIV/エイズ、緊急支援、アドボカシーなどの支援活動を実施し、その活動資金は、すべて個人や企業・団体・各国政府からの募金や任意拠出金でまかなわれています。
ユニセフは、世界36カ国・地域にユニセフ国内委員会を置き、募金、広報、アドボカシー(政策提言)活動を行っています。1955年に設立された日本ユニセフ協会は、ユニセフ本部との協力協定に基づく日本におけるユニセフ支援の公式窓口です。日本の民間部門におけるユニセフ募金・広報・アドボカシー活動は、日本ユニセフ協会が窓口を担っています。
世界中で、命にかかわる重度栄養不良の子ども190万人に栄養治療を行なったほか、2,450万人の子どもにはしかの予防接種を実施、93万5,000人に心のケアを行ないました。
紛争下のシリアでは、約37万人の子どもに健康診断や治療を行ない、200万人の乳幼児に予防接種を実施、巨大台風に見舞われたフィリピンでは、2ヵ月間に11万人分の保健キットと12万4,000人分の簡易トイレを提供しました。
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当協会が公益財団法人へ移行した2011年4月以降からの寄付金から、従来の「所得控除」に加えて「税額控除」のどちらか有利な方式を選択できます。「税額控除」を選択されると、多くの場合、従来よりも控除額が大きくなります。
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