先進国ならば、乳児期から学齢期にかけて、学校や病院でさまざまな予防接種を受け、病気から守られて大人へと成長していきます。
しかし世界には、命を守るために必要な予防接種を受けることができない子どもたちが大勢います。
先進国ならば、乳児期から学齢期にかけて、学校や病院でさまざまな予防接種を受け、病気から守られて大人へと成長していきます。
しかし世界には、命を守るために必要な予防接種を受けることができない子どもたちが大勢います。
辺境の村や都市部の貧困地区など、病気を発症しても容易に治療を受けられない環境にある子どもたちにとって、予防接種は命を守る最も大切な手段のひとつです。感染症に対する免疫がない子どもたちは、ひとたび発症すると重篤化して死に至ってしまうことが多くあります。また、周辺の子どもたちにも感染が広がり、最悪の場合、地域全体の子どもの命が危険にさらされてしまいます。
さらに近年は、紛争や災害の影響で、子どもたちの命を脅かす感染症が拡大しています。中東のシリアでは、紛争以前の2010年には8割以上の乳児が基本的な予防接種を受けていました。それが2015年には約4割にまで落ち込み、十数年間発症例のなかったポリオも再び報告されています。
ユニセフは、世界中すべての子どもの命が等しく守られるように、遠隔の村から都市部のスラム、危険をともなう紛争地まで、あらゆる場所で子どもたちのための予防接種を実施しています。
ユニセフの予防接種事業は、50年以上前に開始されました。以来、世界では天然痘が根絶され、ポリオ(小児麻痺)も根絶まであと一息という段階を迎えています。はしかで亡くなる人の数は今世紀に入って8割近くも減り、乳幼児の最大の死亡原因である肺炎を防ぐワクチンも新たに開発されました。現在、予防接種によって守られている命は、年間200万人から300万人と推定されます。
また、予防接種の場は、子どもの命を守るさまざまな活動の絶好の機会です。接種を終えた子どもたちに、免疫力を高めるビタミンAを投与したり、マラリア予防用の蚊帳を配ったり、健康診断や栄養状態の検査なども行なっています。
ワクチンを届けるためには、コールドチェーンとよばれる保冷システムが不可欠です。ワクチンは熱に弱く、一定の温度を超えると使えなくなってしまいます。そのため、都市部の病院から冷蔵庫ごと各地の保健センターに届け、運搬用の箱に詰め替えて、保冷剤を交換しながら目的地まで運んでいきます。 このような支援活動を可能にしているのは、ユニセフが半世紀以上にわたって築いてきた保健拠点や保健員のネットワーク、そしてなにより地域の人々の「子どもを守る」という強い意志です。
冷蔵庫に入ったユニセフのワクチンが保健センターに到着。
ワクチンは保冷箱に詰め替えられ、地域の保健員に託されます。
ワクチンを低温に保ったまま、子どもたちのもとへと急ぎます。
村や町に着いたら、すぐに子どもたちに予防接種を行います。
ユニセフは2017年、アフリカ史上最大規模の予防接種キャンペーンを、パートナー団体とともに実施しました。アフリカ西部・中部の13ヵ国で、1億1,600万人の5歳未満児全員にワクチンを届けるため、19万人以上の保健員やボランティアを動員。40度を超える暑さのなか、1日最長12時間活動を続け、1週間かけて子どもたちの町や村を回りました。
命を奪う感染症、はしかから子どもを守る予防接種用ワクチン98回分に変わります。
熱に弱いワクチンを低温に保ったまま安全に運べる保冷箱3箱に変わります。
子どもたちへの衛生的な予防接種を可能にする使い捨て注射器1,808本に変わります。
最も基本的な3種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳)1,223回分に変わります。
地域保健員15人に子どもの病気への対処法の研修を1日実施できます。
※ご寄付の金額は任意です。※輸送や配布のための費用は含まれません。※2017年10月現在の価格
予防接種デーは幼い命を守るチャンス
アフリカ・ブルンジの市場の一角で、年に2回の予防接種デーが実施されています。母親たちは、予防接種のテーブルを見つけると急いで子どもを連れてやってきます。ここに来れば予防接種をはじめ、子どもを病気から守るビタミンAや虫下し、接種記録や健康状態を記した保健カードももらえるためです。政情不安により医療システムが十分に機能していないこの国では、予防接種デーが幼い命を守る大切な機会になっています。3,000円のご支援が、はしかの予防接種用ワクチン98回分に変わります。
ワクチンを抱えて予防接種に出発!
予防接種を受けられる子どもの割合が近年大きく改善されたインド。その成果に貢献したのが、ワクチンを安全かつ迅速に運ぶ輸送網です。東部のオディサ州では、貯蔵施設でワクチンを保冷箱に詰め替えた後、何台もの三輪タクシーで各地の母子保健センターに運び、待ち受けていた保健員やボランティアの手で一斉に接種会場に届けるしくみを作り上げました。
5,000円のご支援が、ワクチン運搬用の保冷箱3箱に変わります。接種率の上昇に伴い、子どもの生存率も着実に向上しています。
長年続いた紛争でインフラが壊滅的状態にあるコンゴ民主共和国。この国で私は子どもの命を守る保健システムの強化に取り組んでいます。支援活動のため地方に行く機会が多くありますが、広大な国土には舗装道路がほとんどなく、首都から地方都市へ向かった後、さらに数日かけて村にたどり着きます。悪路にタイヤをとられて立ち往生することも珍しくなく、現地の人々の苦労を実感します。
雨季のぬかるみで立ち往生
世界最貧国のひとつであるこの国では、子どもの2人に1人が栄養不良に苦しみ、毎年十万人以上の乳幼児が肺炎や下痢、マラリアなどの感染症で命を落としています。こうした状況で幼い命を守るには、予防接種の実施が不可欠です。ユニセフは道路や電気がない地域でも予防接種を行えるよう、ワクチンを確保し、輸送用のバイクや太陽光を利用した冷蔵庫の調達、保健員への研修などを行なっています。
青空の下でもワクチンを投与
2017年、カサイ中央州で予防接種週間を実施した際は、保健センターなど通常の接種会場に加え、村の集会所や広場、学校、市場など約4,774ヵ所に接種所を設け、1ヵ所につき50〜200人に接種を行いました。
私も毎日異なる接種所を訪問し、昼間は運営を支援、夜は現地のスタッフとデータを集計し、改善策を話し合いました。30年以上も国勢調査が行われていないこの国では、現地で得られるデータが、今後の子どもたちの保健や栄養支援にも大きく役立ちます。
大学時代に一人でアフリカ諸国を旅した時に現地の人々の優しさに触れ、その恩返しをしたい一心で国際協力の道に進みました。コンゴ民主共和国は戦後の荒廃や貧困など今も多くの課題を抱える国ですが、子どもたちに少しでも明るい未来を手渡そうと復興に力を尽くす大勢の人々とともに、私も全力で活動を続けていきます。
子どもたちの笑顔に元気をもらって
ユニセフ(国際連合児童基金)とユニセフ協会(国内委員会)は、世界190の国と地域で、子どもたちの命と健康、権利を守るために活動しています。
活動資金はすべて、個人、企業、法人・団体のみなさまからの民間募金、各国政府からの任意の拠出金に支えられています。民間募金は、全体の活動資金の約3割を占めています。
民間募金は先進34の国と地域にあるユニセフ国内委員会(日本では日本ユニセフ協会)等からユニセフ本部に送られます。ユニセフ本部は、各国の子どもの状況をみて、ユニセフ現地事務所にお金をおくり、各国政府と協力して、子どもたちのための活動を行なっています。
日本の皆さまのあたたかいご支援のもと、日本ユニセフ協会からユニセフ本部への拠出額は毎年、世界34のユニセフ協会(国内委員会)の中でトップレベルを維持しています。収支と活動について詳細をご報告しています。>
※1 新公益法人会計基準に則り、公益目的事業会計に配賦されている、事務運営費(正味財産増減計算書の光熱水費、火災保険料、施設管理料、建物減価償却費、什器備品など減価償却費)及び人件費(給料・報酬、福利厚生費、退職給付費用、賞与引当金繰入額)。
※2 2017年のユニセフ本部への拠出金14,700,000,000円は、公益目的事業会計の経常費用計18,171,741,749円の80.9%、ユニセフ募金17,946,679,349円の81.9%にあたります。
監査報告書
(公財)日本ユニセフ協会は、監事及び会計監査人の監査を受けています。
世界中で、深刻な栄養不良の子ども300万人に栄養治療を行い、病気への抵抗力を高めるビタミンAを2億7,300万人の乳幼児に投与しました。また、71ヵ国で7,000以上の学校を対象に井戸や水道、衛生施設の建設・修理を行いました。
紛争下のシリアや大地震に見舞われたエクアドルなど、108ヵ国で344の緊急事態に対応しました。孤児など保護者のいない5万人以上の子どもの安全を確保し、300万人以上に心のケアを提供、1,170万人の学齢児に教育支援を行いました。
当協会への寄付金は、従来の「所得控除」に加えて「税額控除」のどちらか有利な方式を選択いただくことができます。
税額控除」を選択されると、多くの場合、従来よりも控除額が大きくなります。
例えば、税額控除を選択された場合、10,000円のご協力で、年間最大3,200円の所得税が控除されます。
源泉徴収されている方は、確定申告によって還付を受けることができます。
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