2016年3月、ソマリアの海岸沿いの町が武装勢力に襲われました。政府軍が捕らえた武装勢力の戦闘員には64人の子どもが含まれていました。その子どものなかのひとりがアーデンです。ある日食事に誘われて叔父と一緒に出かけたアーデンは武装勢力に誘拐されました。叔父はまっすぐレストランに向かわず、アル・シャハブの軍事拠点に連れて行ったのです。
武器の使い方を兵士に教えられ、その後アーデンはボートでプントランドに連れて行かれます。ボートに乗らないなら海に投げ入れると脅され、アーデンは殺されるのが怖くて従いました。戦闘が始まり、アーデンは岩陰に隠れてやり過ごしました。夜の間に兵士が逃げ、子どもたちは朝になって捕まり、アーデンは死刑を覚悟しました。
捕えられ一度は死刑を覚悟したアーデンでしたが、その後、ユニセフの交渉によって解放されました。男の子たちはプントランドにあるリハビリセンターでカウンセリングと心理社会的ケアを受け生活しています。ここでは食事だけでなく、社会復帰を支える勉強も充実しています。
ユニセフは、子ども兵士の解放と新たな徴用廃止を紛争当事者へ呼びかけています。2017年までの10年で子ども6万5,000人が武装勢力・集団から解放されました。
解放された子どもたちは精神的トラウマを抱えており、長期的なケアを必要としているため、適切に保護し支援し続けなければ、再び武力勢力に戻ってしまう危険性もあります。
ユニセフは解放された子どもたちに医療ケアや心理社会的サポートを提供し、家族との再会や教育・職業訓練プログラムへの登録を支援しています。
2010年だけでも、ユニセフは11,400人の子どもの社会復帰を支援しました。
1991年、紛争下のシエラレオネで両親と兄弟を失い、13歳の時に子ども兵士として徴用されたイシュマエルは、2年後にユニセフの支援で軍隊から解放され、首都フリータウンのリハビリセンターで8か月間を過ごしました。
これがきかっけで、子どもの権利実現を訴える活動に積極的に関わるようになったイシュマエルは、2007年、子どもの権利条約採択満18年を記念し、ユニセフから「紛争の被害にあった子どものための代弁者」に任命。
世界各地を回りながら、ユニセフと共に紛争下の子どもの権利を守るための活動を続けています。
2015年、南スーダンを訪問したイシュマエルは、こう話しています。
「1週間にわたり、武器を置いた元子ども兵士の子どもたちと会ってきました。彼らは今、未来への明確な希望を持っています。彼らは、平和を、教育を、そして、よりよい未来を望んでいるのです。私は自身の経験から、意思があれば、どんなことも可能だと考えています」
ぼくはジェームス、14歳。
誘拐され、子ども兵士にさせられました。
銃をもたされ、戦う日々。
ようやく自由を手にしたのは・・・