HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > パレスチナ情報 2006/11/8
財団法人日本ユニセフ協会



新たな武力衝突の発生で危機にさらされる子どもたち

【2006年11月8日、ニューヨーク発】

© UNICEF/HQ06-1141/Michael Kamber
かつては隣の家が建っていた場所に残るクレーターを見つめて、瓦礫の中に立つ少年、ガザ地区のガザ・シティにて。少年の住んでいた家の隣の家は、空爆によって破壊されました

ガザ地区で新たに発生した暴動により、子どもをはじめとする、一般市民の生活が再び脅かされています。一週間で、推定68人のパレスチナ人の命が失われました。そのうち18人は、8日未明、ベイトハヌンからイスラエルの戦車が撤退する時の砲撃で犠牲になったと報告されています。

「ガザ北部、特にベイトハヌンの状況は非常に深刻で、悪化の一途をたどっています」ユニセフのパレスチナ自治区事務所代表のダン・ローマン氏は言います。「街には武装した車両が走り回り、絶えず砲撃にさらされ、民家も破壊されています。路上での衝突も続いています。ここに住む人々の生活は日々厳しくなってきています」

「目の前で家族が連れ去られるなど、周りで起こっている出来事に子どもたちは日々脅えながら生活しています」と、ローマン氏は言います。

今回の武力衝突で、ガザ地区では350人以上が負傷しており、14人の子どもが命を奪われました。2006年に入ってからこれまでに、イスラエルとパレスチナの間の衝突により命を落とした子どもは100人以上にのぼり、既に2005年の2倍以上になっています。

不足する食料、水、薬などの物資

約3万人(内半数は子ども)が生活するベイトハヌン市は、現在封鎖されており、外出禁止令が出されています。市の西部では、約1万人が電気と水の使えない生活を強いられています。

市場や小売店も新しく物を仕入れることができないため、食料も底をついています。しかも、援助機関も、もっとも支援の必要な地域に立ち入ることができない状況です。

「人々の健康状態が一番の気がかりです。外出禁止令が出ていること、保健員や医薬品が足りないことが原因となり、現在ベイトハヌンの人々は基礎保健ケア施設を利用することができません。家から診療所までの道のりは非常に危険で、人々は家から出ることを恐れています」と、ローマン氏は言います。

最も支援が必要な地域への支援を可能に

この人道危機に対処するため、ユニセフは国連救済復興機関や世界食糧計画、赤十字国際委員会などのパートナー組織と緊密に協力して活動しています。

© UNICEF/ HQ06-1094/Mohammed Jadallah
ユニセフによって届けられた支援物資を見つめる子ども達。ガザ北部、ベイトハヌン市にて。

これらのパートナー組織は、食料や水の提供に加え、給水システム修復も行っています。ユニセフは、家族用水キット(1キットに10家族分の浄水剤、石鹸、水容器、バケツが含まれている)や赤ちゃん用衛生キットを配布し、安全な水を手に入れることのできない人々や特に保護の必要な幼い子どもがいる家庭のニーズに応えています。

「今最も重要なことは、武力衝突を止め、必要な支援を人々に届けられるように、国連やNGOがベイトハヌンで制限を受けずに支援活動を行える環境を確保するいうことです」とローマン氏はいいます。8日、ベイトハヌンで発生した武力衝突の後、ユニセフは、このような状況下で市民を守ることは国際法上の義務であるという声明をだしています。