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財団法人日本ユニセフ協会

マリ、人と水のストーリー(2)

井戸の周りでは、水を汲みにきている女性や子どもたちの姿を多く見かけました。「男性は水汲みをしないの?」とマリ事務所のトゴタに質問をしたところ、農村部では男女がそれぞれする仕事がはっきりとわかれていると説明されました。一般的に、男性は農業や家を作るなど家の外の仕事をし、女性は子どもの世話、料理、洗濯をするとのこと。
それぞれの仕事をこなすために必要な水を、自分たちで汲みに行くので、結果として料理や洗濯をする女性が、水を汲みに行くことになるそうです。ただし、建築材の泥のレンガを作るための水は、男性が汲みに行くとか。農繁期になると男性は、朝から晩まで寝る間も惜しんで外で働くため、このような分業になっているのではないか、とのことでした。

水の入ったバケツはなんと約20キロ
© 日本ユニセフ協会

日に何度も井戸と家を往復します

© 日本ユニセフ協会

「水汲みをするのは私だけ」

グルンボ村の井戸のそばで会った女性たちに、話を聞いてみました。
家から井戸まで、小さな子どもを連れて、片道20分ほどの道のりを日に平均10往復。おなかの中には赤ちゃんもいるそうです。子どもたちもまだ小さく、水汲みができるのは彼女だけ。
訪問した時期は乾季の5月、農業をする水がないため、私には男性は時間に余裕があるように思えました。場所によっては、ロバや自転車に大きなドラム缶を積んで、水汲みに来ている男性を見かけたので、「農業ができない季節だけでも、男性は水汲みを手伝ってあげられないのかな?」と聞いたところ、「農村では男女分業の価値観が強く、手伝ってあげる男性は少なくないし、女性も面と向かって水汲みをお願いすることはあまりない」とのことでした。

「水も食べ物もたりない…」

今回、新しく手押しポンプ付の深井戸が作られることになったジリジェラ村。
村の周辺には、多くの遊牧民が家畜とともに暮らしています。
これまで清潔で安全な水がなく、多くの人たちが下痢やメジナ虫病に悩まされてきました。

この村に暮らすディッコさん一家に話を聞きました。家族は8人、30年以上前に建てた泥の壁でわらぶき屋根の家に住んでいます。隣や向かいには、親戚の家がありました。家の中は約8畳、半分は穀物を保管するためのスペースで、残りのスペースで8人が寝ているとのことでした。

熟睡していた赤ちゃん

© 日本ユニセフ協会

ディッコさん一家の家

© 日本ユニセフ協会

村には、人手で掘った浅井戸しかなく、日に何度も必要に応じて、水を汲みに行くといいます。農業をするための水も足りず、自分たちで作ったわずかな食べ物(ヒエ・アワなど)を水でといてあたため、おかゆにして日に6回食べるそうです。

料理は外でします

© 日本ユニセフ協会/2007/Hisashi

しかし、いつも同じものを食べ、また量が少ないため、絶えず空腹を感じているとのこと。雨季になると、このおかゆですら、口にできることが少なくなってしまうといいます。

村で使われていた井戸

© 日本ユニセフ協会

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