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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ケニア:体罰に「NO!」の声をあげる子どもたち

【2007年5月31日 ケニア・ナイロビ発】

モスクでよりよい子育てを話しあう父親学級の様子
© UNICEF/2007/Chinyama
国連の「子どもに対する暴力に関する調査」が東部アフリカ地域で発表にあたり、子どもたちとのグループ・ディスカッションに加わる、同研究主任担当官のパウロ・セルジオ・ピニュイロ博士。

国連の「子どもに対する暴力に関する調査」報告書が、ムーディ・アオリ ケニア副大統領の臨席のもと、ケニアを支援する各国政府・ドナー関係者やNGO・国連機関の代表者、そしてケニアの子どもたちが見守る中、ケニアの首都ナイロビで発表されました。

2006年10月に世界発表されたこの報告書は、世界の全ての国が、子どもの保護に必要な行動をおこすよう呼びかけています。今回、こうした報告書のメッセージを東部・南部アフリカ地域の国々に伝えるために、研究の指揮を執ったセルジオ・ピネイロ博士自身が参加し、今回の発表式が開催されました。

発表式に参加したシンシア・カバタさん(12才)は、開会の言葉の中で、「裁判所は、『証拠がない』って私たちの訴えを取り上げてくれないのです」と、ケニアの子どもたちが、家庭でも学校でも暴力の被害を受けていることを訴えました。

ピネイロ博士は、「この報告書の作成にあたって、私たちは、子どもたちの『声』を重視しました。この報告書を通じて、世界の国々が、子どもに対するあらゆる暴力を根絶するための行動を起こすよう期待しています」と続けました。「世界中の子どもたちに会い話しを聞きました。そして、この調査が、今彼らが置かれている状況を改善させるための調査だということを納得してもらえるように努めました。」

子どもたちの声

モスクでよりよい子育てを話しあう父親学級の様子
© UNICEF/2007/Chinyama
ユニセフ ケニア事務所の子ども大使の3つ子のマンデリンさん、マリーさん、マーサさん(13才)と、妹のセラフィーンさん(10才)。民族衣装に身を包み、発表式に訪れた人々を迎えました。

発表会の後、11才から14才の子どもたち10人が、ピネイロ博士とのグループ・ディスカッション(会合)に参加しました。博士は、子どもたち一人一人が語る暴力に対する意見に耳を傾けました。こうした「子どもたちの声」が暴力の問題を解決するために重要なのだと、博士は語ります。

「先生は、生徒をムチで叩いてもいいんだよ」と、ある男の子が言いました。「だって、先生は僕たちを良い子にしようとして殴るんだ。だから、僕たちは犯罪者にならなくてすむんだよ。甘やかせば、子どもがだめな人間に・・・」

その男の子の話が終わらないうちに、他の子どもたち全員が声をそろえて異議を唱えました。

学校での暴力をなくすために

口火を切ったのは、ピント・オモンディ君(13才)。「先生に手の甲をぶたれたら、あまりに痛くて鉛筆が持てなくて、何もかけないんだよ。お尻をぶたれたら、イスにも座れない。びざをぶたれたら、痛くて痛くて、歩けなくなっちゃうだろ。先生たちは、子どもを叩くことは法律に違反しているってことを知るべきなんだ。先生は僕たちをぶつのを止めなきゃいけないんだ」

他の子どもたちもピント君に賛同し、次々に自分たちの意見を言いました。

「法律が守られるように必要なことをするのは、政府の責任ですね」と、子どもたちの話を注意深く聞いていたピネイロ博士は語りかけました。「政府は、先生や親が子どもをしかるときに、暴力じゃなく別の方法を使うよう応援しなければいけないんだよね。」

体罰は、ケニアで禁止されています。しかし、国内の大半の学校で今でも日常的に行われているのが現状です。

家庭での暴力に終止符を打つために

更に議論は続きます。シンシアさんは質問を投げかけました。「女の子が家でお父さんにレイプされたら、私たちは、その女の子に何て声を掛けてあげたらいいの?」

「私だったら、学校で習ったライフ・スキル・・・保健・衛生・栄養など、自らを健康に保つために日常的に出来る方法をまとめたもの・・・を使うようにアドバイスするわ。もしレイプされそうになったら、お父さんの目に砂を投げて、逃げるべきよ」と、アリアン・オゴさん(13)は答えました。

ジョシュア・オンゲタ君(11)は、「不公平」な親に、子どもたちはどのように対処するべきか、ピンセロ博士にアドバイスを求めました。ジョシュア君によれば、お父さんが怒ると、子どもたちを追い出すことがあって、例えば、その子が隣家に逃げ込むと、今度は隣家の大人にレイプされる可能性も出てくるというのです。

これに対し、ピンセロ博士は、子どもたちにトラブルに巻き込まれないように注意し、家を追い出されないように、親の言うことをきくようにアドバイスしました。「確かに、お父さんもお母さんも、もっと色々な事を知ったり、勉強する必要があるよね。でも、子どもとして君たちができるのは、危険な状況に陥る可能性が生まれる状況を作らないことなんだ。」

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