2時間目
よい学級をつくるためには、どの条文が大切?
「子どもの権利条約」をもとにして、どんなクラスをつくりたい?
めあて
自分たちの学級づくりのために特に大切な「子どもの権利条約」の条文を選び、選んだ権利を自分のために、そしてみんなのために、どのように守っていくかを考える。
- 準備したもの
-
- 選択した「子どもの権利条約」の条文カード: 黒板掲示用1セット(A4サイズ)、児童の手元用カード(児童数分)
- 模造紙・色ペン・のり
2時間目からはいよいよ学級目標づくりに向けての具体的な話し合いが始まります。前回の授業のふりかえりのあと、「子どもの権利条約」のカードを見ながら、これからの一年間、一人ひとりの権利が大切にされるクラスをつくっていくために、どの権利が特に大切か、どのようにみんなの権利を守っていかれるか、具体的に考えていきます。先生たちも一緒に、そして各学年の子どもたちの成長過程に合わせて、グループでの話し合いを中心に授業は進みました。
2時間目の授業は、学年ごとに活動の様子をご紹介します。
4年生
4年生は、学級目標をつくるために大事だと思う9つの条文を、子どもたちが中心に選びました。
前回の授業もふりかえりながら、それらの条文をもとにどんなクラスにしていきたいかをグループで話し合い、条文のカードを見ながら画用紙にまとめていきました。
授業の冒頭では、みんなで選んだ9つの条文を一つひとつふりかえりました。なぜその条文をクラスで大切にしたいみんなの権利として選んだのかを、数人の子どもたちも発表しました。
続いて、グループに分かれ、条文カードを見ながら真剣に話し合いを進めます。先生からは 「〜しない、〜のない、という否定形ではなく、なるべくプラスの言葉を使った目標を考えていきましょう」という声がけもありました。
子どもたちは自由に意見を交わし合います。真剣に話し合う中で、たくさんの意見が出てきました。
~子どもたちの話し合いから~
- 第12条:意見を表す権利
- 「みんながそれぞれの意見をもっているから、みんなが意見を言えるとよいクラスになりそう」
「みんなの意見でクラスを進めたい」 - 第2条:差別の禁止
- 「差別される子がいないようにしたい」
- 第31条:休み、遊ぶ権利
- 「あそびは健康にいいし、体がつらい時には休めるクラスがいいね」
- 第24条:健康・医療への権利
- 「第24条も大事。学校でけがをしたり具合が悪くなった時に、手当してもらえなかったら困るから」
- 第19条:あらゆる暴力からの保護
- 「きつく言いすぎないで、やさしく声をかけあえるといいよね」
「相手が嫌がることをしない。それから暴力を防ぐために声をかけあおう」 - 第28条:教育を受ける権利
- 「勉強もだいじ。みんなが勉強しやすいクラスにしたい」
「勉強しないと頭がわるくなっちゃうし、将来も困ると思う」
5年生
5年生は、まず1時間目の授業で学んだ「子どもの権利条約」の13個の条文について復習。その中から、子どもたちが「あまり守られていない」と感じている5つの権利を中心に、それぞれの権利が学校生活の中で、どんなふうに守られていないか、そしてどのようにしたらそれらの権利を守れるようになるか、グループに分かれて話し合いを進めました。
まず授業のはじめには、選ばれた5つの条文についてクラスみんなでふりかえりました。
- 先生:
- 第12条の権利が守られていないと思う理由は何かありますか?
- 児童:
- 他の人の意見に左右されて、自分の意見を言えないことがある。
- 先生:
- じゃあ、みんなはどうすればよいと思う?
- 児童:
- 勇気をつける、勇気を出す!
- 先生:
- 他にはありますか?
- 児童:
- 勇気を出そうと思ってもなかなか出せない…。
- 先生:
- がんばるのは意見をなかなか言えない人だけでいい?
他にも何かありませんか?
- 児童:
- 自分と違う意見も尊重できるようになるといいと思う。
- 児童:
- 相手の気持ちを考えて発言することも大事だと思う。
そしてグループワークです。
担任の先生から、「なぜこの権利が守られていないと思うかを青色で、ではどのようにしたらその権利を守れるようになるかを赤色で、模造紙の上に書いていきましょう」と、取り組み方の見本が示されました。
先生が示してくださった見本を参考に、グループでの話し合いが進みました。
いろいろな意見がすぐに出てくるグループもあれば、言葉にする前にまずはゆっくり考えるグループもあり、それぞれのペースで進みます。見つかった課題やクラスをよくするためのアイディアが、一つだけでなくいくつかの条文に関係することに気づくなど、新しい学びがたくさんありました。先生も各グループを回り、時にはヒントを出しながら、子どもたちと一緒に考えます。
~子どもたちの話し合いから~
- 第2条 : 差別の禁止 ・ 第12条 : 意見を表す権利
- 「クラスで目立っている人が優先されているよね」
「目立っている人が人気者で、他の人が意見を合わせちゃう」
「目立っている人も他の人の意見を聞くようにするといいよね」
「みんながいろんな意見を聞くようにすることが大事じゃない?」
「勇気をもって 自分の意見を言えるようになるといいよね」
「みんながいろいろな人とコミュニケーションを取れるようになるといいな」 - 第19条 : あらゆる暴力からの保護
- 「いやなことや気に食わないことがあるときでも、暴力はだめだよね」
「ちょっとしたことで手を出してしまうこともあるよね」
「まずはいやだと思わせるようなことを、だれかにさせないことが大事だと思う」
「いやなことがあったら、人や物にあたらずにだれかに相談できるといいね」
「相談された人は、これからどうしたらいいか、一緒に考えてあげよう」
6年生
6年生は、これまでの学習から学級目標づくりに特に大切だと思う条文を3つに絞り (第2条:差別の禁止、第19条:あらゆる暴力からの保護、第29条:教育の目的))、取り組みを進めました。まず、選ばれた条文を見ながら、クラスの中にどんな課題があるか、これからの学級づくりのためにどんなことが大切か、みんなで意見を出し合います。その後、グループでの話し合いを進めました。
授業の終わりには、画用紙上に条文ごとにまとめた「こんなクラスにしたい」というみんなの願いを、グループごとに発表しました。
~子どもたちの発表から~
- 第2条: 差別の禁止
- 「みんなの意見を尊重しあえる、仲間外れのないクラス」
「能力の差で差別せず、だれでも平等に接する」
「立場はみんな一緒だから対等に接しよう」
「やられている人の気持ちを考えられるクラス」
「悪口を言わない。ほめ言葉だけを考えられるクラス」
「それぞれの意見を尊重できるクラス」
「あなたが差別をされたらどう思いますか?自分がされて嫌なことは人にしない」
「平等の意識をもつ。お互いを認め合う」 - 第19条: あらゆる暴力からの保護
- 「暴力で自分の意見を押しつけない。言葉には重みがあると意識する」
「自分は関係ないと見過ごさない」
「子どもたちはみんな正当な扱いを受ける権利があるから、やさしく接しあおう!」
「相手の傷つく言葉を使わず、やさしく接しあえるクラス」
「どんなかたちであっても暴力はしない。言葉でも」
「クラス全体をやさしい言葉でつつむ」
「暴力をしている人を見たら、やさしく声をかける」
「お互いに嫌という気持ちを伝えあえるクラス」 - 第29条: 教育の目的
- 「授業中の態度をあらためる(しゃべらない!)」
「それぞれの勉強する環境を邪魔しない」
「自分のためだけでなく、他人のためにも学びを深められるクラス」
「わからない問題で困っている人がいたら助け合えるクラス」
「これからの地球や宇宙に貢献するために勉強できるクラス」
「何事にも全力でとり組もう!」
「教育の目的を知り、自分のため、人のために努力を尽くす」
「今後のことを考えて学び行動できるクラス」