西東京市立保谷小学校での実践記録
私たちの権利を大切にする学級目標づくり
3.目標を書いてみよう

3時間目

みんなで選んだ条文とこれまでの話し合いをもとに、学級目標をつくろう

めあて

これまでの学習をもとに、自分たちの言葉で学級目標を考える。学級目標づくりのために選んだ「子どもの権利条約」の条文をふりかえり、学級目標が条文の内容に沿っているかを考えていくことも大切。

準備したもの
  • 選択した「子どもの権利条約」の条文カード: 黒板掲示用1セット(A4サイズ)
  • これまでの話し合いをまとめた模造紙や画用紙

いよいよ学級目標づくりです。これまでの子どもの権利についての学びや話し合いの内容をふりかえりながら、各クラスで選んだ「子どもの権利条約」の条文に沿って、目指すクラス像を学級目標としてまとめていきます。 子どもたちも先生も一緒に、学級目標に入れる言葉を紡いでいきます。

f

4年生

4年生のクラスは、これまでの話し合いをもとに、グループごとにどんなクラスにしたいか、選んだ条文とその理由を発表しました。少し緊張しながらも、どのグループも一生懸命、自分たちの思いを同級生に伝えていきます。

黒板に張り出された画用紙には、子どもたちの「こんなクラスにしたい」という願いが、たくさんの言葉で書かれています。

子どもたちの発表を聞いて、先生からも「いいものがたくさん出ましたね。みんながクラスをよくしようと思うのがすごいと思いました」と、称賛の言葉がありました。 そして、先生がみんなの思いを拾い上げ、学級目標の言葉にまとめていきます。

~子どもたちの発表から~

第12条:意見を表す権利・第13条: 表現の自由
「いつでもみんなが自由に意見を言えるクラス。理由は、だれかひとりの意見でクラスがまわっちゃうといやだから」
第12条:意見を表す権利
「他の人の意見も、自分の意見も大切にできるクラス」
第19条:あらゆる暴力からの保護
「けんかをしていたらまわりの人が注意をするクラス。理由は、近くの人は見ているだけではいけないし、手を出した人にも伝わるから」
第31条:休み、遊ぶ権利
「みんなで楽しく遊ぶクラス。遊べないとやる気が出なくて勉強もいやになっちゃう」
第2条:差別の禁止
「いじめや差別のないクラス。差別された方もいやだし、得意・不得意に 関係なく、みんなが楽しいクラスがいいから」
第28条:教育を受ける権利・第29条:教育の目的
「学習のルールを守って、みんなが立ち歩きなどしないで授業に集中できるクラス」
第2条:差別の禁止・第19条:あらゆる暴力からの保護
「思いやりのある、みんなが笑顔のクラス」

5年生

これまでの学習のふりかえりのあと、5年生もグループ発表を中心に授業が進みました。2時間目に行われた話し合いをもとに、条文ごとにどんな課題があるか、よいクラスにするためにはみんながどう行動すればよいか、模造紙いっぱいに広がったそれぞれの思いやアイディアを、グループごとに発表していきます。

はじめに先生からどのように発表していくかの提案がありました。

前回までの授業で、守られている権利、 守られていない権利について話し合いましたね。今日は、みなさんが守られていないと考えた権利から、学級目標をつくりたいと思います。
「守られていないことは○○だと思いました。守るためには△△が大切だと考えました」という形で発表してくださいね。

発表を聞きながら、子どもたちから出たキーワードを先生が黒板に書き出していきます。

子どもたちが発表した模造紙の例。たくさんの気づきが模造紙一杯に広がっています。

~子どもたちの発表から~

「守られていないのは 第2・16・19 条です。守るためには体形で差別しないこと、あったかい言葉を使うこと、相手が嫌がることをしないこと、ちゃんとした名前で呼ぶこと、全員の仲を深めることが大切です」
「守られていないのは第2・19条です。そしてそれは第12条にもつながります。守るためには、自分から話しかけること、困ったら誰かに相談すること、そして相談されたら話を聞いてあげることが大切です」
「守られていないのは、第2・12・16・19条です。見た目で決めないこと、何かいやなことがあったら口で言うこと。自分の意見も大切にしながら、ほかの人の意見も聞くよ うにすることが大切です」
「特に守られていないのは第2条です。守るためには、お互いに苦手なことを応援する気持ちをもつこと、わからなかったり、できなくて困っている人がいたら教えてあげることが大切です」
「特に守れていないのは第12条です。守るためには、みんなが意見を言いやすい雰囲気をつくること、そして違う意見も尊重する意識をもつことが大切です」

子どもたちの願いが、クラスの目標としてまとまっていきます。

先生からは「いいアイディアがたくさん出たので、大きな学級目標をひとつ、その下に行動目標をいくつかつくるのはどう?」との提案がありました。 子どもたちも賛成です。

そしていよいよ、みんなの思いのつまった、みんなの権利を大切にする学級目標を、模造紙の上に仕上げていきます。

6年生

6年生は小学校最高学年らしく、クラスの代表委員を中心に子どもたちが主体となって話し合いを進めました。昨年度に続き、語呂合わせで学級目標をつくることになりました。
まず授業のはじめに、担任の先生から「前回の発表をもとに、「子どもの権利条約」の内容に沿って、みんなの思いや願いをこめた学級の目標を決めよう!!」という、今日の授業のめあてが示されました。
その後、グループで話し合ったり、クラス全員でアイディアを出し合ったり、活発に意見が交わされました。これまでの学びをもとに、みんなで知恵を絞って学級目標の言葉を紡いでいきます。

ノートパソコンも駆使しながら考えます。手元には「子どもの権利条約」カードブックも。

先生は時に助け船を出しながら、子どもたちを見守ります。

クラスからは闊達にたくさんの意見が出てきます。司会の2人も、初めての取り組みに試行錯誤しながらも、真剣にみんなの意見をまとめていきます。

昨年度は担任の先生の苗字の語呂合わせで学級目標をつくりました。今年度は、先生の名前の語呂合わせや保谷小学校の「ほうや」を使った学級目標など、子どもたちからは工夫をこらしたアイディアがいろいろ出てきました。
「その言葉よりこっちの言葉の方がいいんじゃない?」「その言葉、すごくいいと思う!」など、子どもたちが率直にお互いの意見を交わします。普段から子どもたち同士の信頼関係が築かれているからこそできる活動となりました。

~子どもたちから出たアイディア~

すけ合い、く学習の本質に目を向け、イナスの言葉をプラスにして、いこうのクラスにしよう。」
がらかな笑顔で、かぶ言葉は全部プラス、さしくみんなで助け合う」
がいの意見を尊重し、げ口を言わない。い日楽しく学習する。きのことを考えて行動できる」