世界のともだち

スタディツアー視察報告

カンボジア  スタディツアー報告  (2009年7月19日〜26日実施)

6. 保健サービス

ユニセフでは、子どもたちが元気に生まれて育っていくように、妊娠しているお母さんと5歳未満の子どもたちの健康を支援する活動を続けています。今回のツアーでは、村へ月に1回お医者さんが検診に出向くアウトリーチとよばれるものから、町の大きな病院まで5ヶ所を視察しました。

メボン保健センター  アウトリーチサービス

メボン保健センターから7kmほど離れている村を訪れました。保健センターが遠くてなかなか通えない人たちがいるので、月に1回、先生が村へ出張して村の中ほどにある民家を借りて診察をしています。こうした形式で行うサービスを「アウトリーチ」と呼んでいます。

主に妊産婦と赤ちゃんの検診を行っていて、お母さんの検診は出産2週間後まで行います。また、出生届けをしていない人には、届け出るように呼びかけています。

診察を受ける子どもたちは一人一枚、黄色い受診票を持っています。票には、名前や生年月日、住所、身長、体重、注射した日などが記載されています。

活動を始めた当初は、予防接種をすると子どもが熱を出したりすることがあり、注射などの保健サービスに対して人々の理解を得るのは大変でした。しかし、今は、少しずつ村人の理解が得られ、自分たちから集まるようになってきています。

受診表。子どもの成長と予防接種歴が
記録されます。
順番を待つ村の人たち
バイクに乗ってお医者さんが
やってきます。
 

メボン保健センター

近隣の14の村がこの保健センターを利用しています。小さい手術であればここで対応しますが、対応が難しいときは、患者を町の病院に運んでいます。
ここでは、月に10人ほど出産しています。保健センターに来るお母さんたちに、避妊グッズを使う家族計画について指導もしています。
私たちが訪れたときには、ちょうど赤ちゃんが健康診断を受けにきていました。

メボン保健センター外観
ワクチンを運ぶための保冷箱
大きくなったかな?
ばね秤を使って、体重を量ります。
 

母親支援グループ

お母さんを支援するために、小学校の校庭を使用して、妊産婦と5歳までの子どもを対象に出産後の指導、保健指導、ワクチン接種(BCG、ポリオ、B型肝炎、DTP、水疱瘡、はしか)などを月に1回、出張サービスで行っています。
1985頃から始まったこのサービスは、当初お母さんたちの理解がなかなか得られず、村のボランティアの人たちが診察してもらうことの重要性を説いてまわっていました。今では、この地域に暮らすお母さんのほとんどが利用しています。
今後は、この学校の出張所から6km離れた保健センターへ、各自が行くことを目標に活動をおこなっていきます。
注射の使い回しで病気にならないように、注射針は使用するたびに捨てています。

村人がたくさん集まりました。
ばね秤で体重を量ります。
黄色い箱は使用済みの
注射針をいれるもの。
一回一回捨てています。
妊婦さんに破傷風の注射をします。

コンポントム州保健センター

コンポントム州保健センターは、出産のための保健センターです。助産師さんが4人いて、シフトを組み、夜中でも対応できるようになっています。月に約20件の出産があります。センターには、診察室や分娩室、薬局はじめ、ビデオなどを用いて親になるお母さんやお父さんに研修を行う部屋があります。
出産用のベッドは1つしかないので、入院できる妊婦の数は限られています。今まで出産で亡くなった子どもはいませんが、10人に1人は難産で、その場合には施設の整ったコンポントム州中央病院へ搬送しています。

コンポントム州保健センター外観
分娩台
父親母親教室を行うビデオルーム
 
薬局
処方箋を渡す看護師さん

コンポントム州中央病院

「子どもに優しい病院」である、コンポントム州中央病院の産婦人科を視察しました。
深刻な病気や保健センターでの対応が難しい病気のときは、保健センターから連絡が入り、患者は救急車でこのコンポントム州中央病院へ搬送されてきます。
「子どもに優しい病院」には10の定義があります。それは、母乳を与える指導、生まれて最初の24時間はお母さんと赤ちゃんを一緒にいさせるなどといったものです。視察したときには3組ほどのお母さんと子どもがそれぞれのベッドで一緒に寝ていました。出産で疲れていましたが、お母さんたちの笑顔はとても輝いていました。

コンポントム州中央病院外観
「子どもに優しい病院」10ケ条

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日本ユニセフ協会