スタディツアー視察報告
カンボジア スタディツアー報告 (2009年7月19日〜26日実施)
8. ユニセフがNGOなどを通して支援する活動
ユニセフの事業は、政府だけでなく、NGOなどの民間団体とも協力しながら行われています。今回のツアーでは、若者が中心となって活動している団体やHIV/エイズ、覚せい剤などの問題に取り組んでいる団体の活動を視察しました。
Self-formed Youth Club
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ラジオを聴きに集まった若者たち。 |
高校生たちが月に1回集まってラジオを聴き、そのトピックに対して話し合う活動を視察しました。
高校生たちが聴いているラジオ番組は「We can do it」と言って、首都プノンペンにあるNGO「Equal Access」が行っている番組です。HIV/エイズや早婚、家庭内暴力、教育などについて放送されています。ラジオの中での事例を聞いて、集まった子どもたちが議論し話し合います。また、ラジオを聴く以外にも、植樹やごみ拾いなどを行っています。学校に通っていない子どもの家を訪れ、本人や親に学校へ通うように呼びかけもしています。
現在、集会には、15歳から23歳までの60人位が参加しています。一番遠い子どもは自転車で30分かけて来ています。
口コミやチラシなどで参加を呼びかけていますが、評判がよく、参加者は増えています。子どもたちは、「一生懸命頑張っていこうと感じるようになった」「日々の習慣が見直せるようになった」「いろいろな知識が得られて楽しい」と話していました。校長先生も学校外の活動だけれど、とても良いことだというお話をもらっているとのこと。子どもたちの心の拠り所となる場所になっていました。
NGO CAMP
子どもたちに人権の大切さを広めたいという青年の願いから、2000年に活動が始まりました。地元の高校生やプノンペンからの大学生が中心となって運営しています。
7歳から13歳までの主に学校に通っていない子どもたちを対象に、土曜日や日曜日に、勉強や踊りを教えています。また、ポスターや絵本を使って、皆で一緒に「子どもの権利」について学んだりすることもあります。高校生たちは子どもたちに優しく温かく教えていました。
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NGO CAMP外観 |
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歌い、踊ってくれた子どもたち |
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「これはどういう権利かな?」 「参加する権利!教育を受ける権利!」 |
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「子どもの権利」のポスターが 貼られています。 |
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Youth Club(Tboung Kropoeu Commune)
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クラブのメンバー |
2008年にコミューンの提案により、コミューン内で起こっているいじめや麻薬の使用、出稼ぎなどの問題を解決するため、若者20名ほどが集まって活動を開始しました。
メンバーがお互いを助け合えるようになることを目的に、有志からお金を集めて資本にし、家畜や種を買いたい人にお金を貸して発生した利子でクラブの活動を行っています。その結果、貧しさから抜け出すことができ、メンバーに加わる人も増えています。また、日本の着物の帯をつくり、日本の会社に売る活動もしています。若者が集まって一緒に何かしようという意識を高める機会になっていて、村が活性化され、いじめなども減ってきています。
僧侶によるHIV/エイズ支援活動
2005年から、コンポントム州宗教局と協力して、HIV/エイズに感染した人の心を癒すための支援をしています。カンボジア人は信仰心がとても厚いので、患者が希望を持って生きることができるように活動を始めました。
具体的には、HIV/エイズになった人に僧侶が説法をしたり、医療サービスを受けるようにすすめたり、青年への道徳教育を行ったりしています。
視察した日は女性が多く参加していました。
お坊さんは皆に、「HIVになっても、今は薬があるのですぐには死にません。でも、人より早く死ぬことになります。けれど、人間はいずれ皆死ぬ運命です。つらいことですよね。ですから、今からでも、他の人のために尽くして徳を積み、良い行いをしましょう。」という説法を行いました。
その後、瞑想の方法の指導を受け、全員で瞑想を行いました。
実際に感染している人たちと説法を受け、瞑想をしたことで、エイズになっている人たちの気持ちが強く伝わってきました。治療だけでなく、心の面からのサポートの大切さを知ることができました。
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お寺の外観 |
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指導を行っている部屋の様子 |
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指導者の僧侶 |
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エンテヌー(HIV/エイズの電話相談)
2000年7月に設立された団体で、電話を使って、HIV/エイズの相談を受け付けています。カウンセラーのほとんどが医者で、平日の11:00〜20:00、3人ずつ3交替で行っています。相談は1日約100件で20〜24歳に集中しています。ユニセフの他に、携帯電話会社やHIVの電話相談等を行っているフランスのNGOであるSIDAも活動を支援しています。
代表のルーンさんは、以前保健省で働いていたとき、HIVの専門的な情報を欲しいという人がたくさんいることに気づいたことがきっかけで、活動を始めました。
電話相談では、どこでHIV/エイズの検査ができるか、どこで治療ができるかなどの情報を伝え、HIV感染者で子どもがほしい人にはそのリスクと子どもを産む権利があることを伝えています。また、感染していて子どもができた場合は保健省に相談するように伝えています。
ポスターの作成やキャンペーンも積極的に行い、バレンタインカードや人気のあるスポーツ選手のカレンダーなどに、相談のための電話番号を掲載したりしています。
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エンテヌーのオフィスの様子 |
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カードやポスターなどの普及啓発グッズ |
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電話対応をするボランティアのお医者さん |
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Korsang(覚せい剤中毒の若者の保護・リハビリセンター)
プノンペン市内で麻薬などを使用する若者を保護し、社会復帰のためのプログラムを提供しているリハビリセンターを視察しました。1日70人から80人くらいが利用しています。
2004年に5人で始められたこのセンターは、現在40人以上で運営されています。
横になって休める場所があり、訪問したときは20人近くが横になっていました。パソコン室では、音楽のソフトをつかって、熱心に曲作りをしている若者もいました。もう少し広いスペースでは、以前に麻薬を使用していた若者が熱心にブレイクダンスの練習をしていました。他の部屋では、若い女性や子ども連れの母親を対象に、売春やエイズについての集会が開かれていました。
施設の外では、スタッフが1日に4回ほど市内を回り、麻薬を使用している若者に声をかけています。町には、麻薬で使う注射器を無料で新しいものに取り替える場所を20箇所程度設けています。注射器を使いまわして、エイズや肝炎に感染する被害を減らすためです。
センターは麻薬常用者の立場で設立されたセンターです。自分たちがやめたくなるように、彼らに麻薬やエイズに関する正しい知識を伝え、更正してもらおうとしています。
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NGO Korsangの看板 |
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簡易ベッドで体を休める人たち |
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