ガンビアにあるキネラ村。ジャメは国に雇われた保健員。小児医療も学んだことがあり、 小国ガンビアのほとんどの地域に赴任したことがある勤務歴17年のベテランです。国のことはすべて見たと思っていた彼が最も驚いたのが2年前のキネラ村の状態でした。一番辛かったのは小さな子どもにあげる薬がなかったということです。
「『病気ですね』と言ってあげるのが精一杯で、その先何も出来なかったのです」と。 しかし、そんな、キネラ村は、2年を経て大幅に変わりました。 今ではジャメも胸を張って保健員の仕事が出来ます。これもACSDのおかげです。
このプロジェクトは5歳未満の死亡率の高い地域で行うものです。
この村の妊婦の63%は専門技能を持った人の介助を受けずに出産していました。そのため多くの子どもが出産時に亡くなっていたのです。子どもだけではありません。
出産時に亡くなる母親も多かったのです。マラリア、下痢性疾患、そのほかの病気で失われた幼い命もたくさんありました。しかし、これも昔のこと。
ACSDのおかげで、たくさんのことが変わったのです。
毎月、検診に来る妊産婦は200人あまり。みんなご主人と一緒に来ます。
2年前は考えられない光景でした。「出産はほかの女性たちに任せればいい」と思って男性はこなかったのです。ユニセフ支援のおかげで、出産時の保健員による立会いも、その後の出生登録も順調に進んでいます。予防接種も目標の80%をクリアしました。 マラリア予防もプロジェクトに入っているため、蚊帳の配布も行われていますが、そのほかにも、マラリア蚊の発生を抑えるために、きれいな環境を保つ運動が、村の女性たちによって立ち上げられました。
© UNICEF video
「マザーズ・クラブ」は定期的に集会を開きます。コミュニティに必要なことや、自分たちに出来ることを話し合うのです。
「彼女たちはマラリア予防の重要性を知っていて、会合を持ったり、歌を歌ったりしているんですよ」とアドバイス役のジャメ。
マザーズクラブ(母の会)も遅れをとっていません。掃除の日を決めて、まわりを掃除し、道にたまった水にも板で蓋をして、マラリア蚊の発生を防いでいるのです。
「ACSDは大きな違いを生み出しています」と語るのはユニセフのガンビア代表。「子どもたちの顔を見るだけで、コミュニティががんばっているのがわかります」
保健センターで診察を受ける乳児 © UNICEF video