▽アグネス
告白します。私、日野原先生が大好きなので、同じ日本ユニセフ協会大使としてそばに座っているだけで片思いが実ったかのように嬉しいです。先生は、医学、たくさんの知恵、いろいろな人間関係、教育面でのアイデアをいっぱいお持ちなので。子どもたちの光になれると思うんですよ。
▽日野原
2000年にね、子どもたちの良きモデルとなるべく、「新老人の会」というのを立ち上げたんです。その活動の中で子どもたちへの思いがどんどん膨らんできて、「95才からの人生を子どもたちのために使いたい。」と思って大使を引き受けました。970万人以上の子どもが5才まで生きられない恐るべき現状を、実際にネパールやガボンで目の当たりにして、私の人生は今9回表だけれど、子どもたちのために15回くらいまで延長戦で頑張ろうと思ったんです。
▽アグネス
そのうち300万人は、5才どころか生後1ヶ月で夢を持つこともなく命を落としているんです。そのほとんどが下痢、肺炎、栄養不良などが原因です。安全な飲み水やワクチンがあれば予防できるのに。人身売買とか、性的な虐待も深刻です。ユニセフでも毎年地震、津波、紛争などで被災した人々に対する緊急支援に加えて、子どもたちの命を守る基本支援、つまり衛生環境、食料、予防接種、医療、教育なども150カ国以上でやっていますが、本当に大変なんです。少しずつ死亡率は減ってはいるけれど、皆さんの協力があればもっと助けられると思うんです。
▽日野原
どんな子どもも生まれながらに平等であるべきだし、どんな子どもたちも私と対等だと思っているんですよ。子どもって対等な目線で付き合うと必ず答えてくれる。子どもの生活を見るとその国に何が足りないか良くわかるから、いろいろな国へ行きたいです。 そして読者の皆さんのお子さんやお孫さんにも世界の子どもたちがどうなっているのか伝えたい。日本の子どもたちに世界の子どもたちの状況を教えてあげることが大切だと思います。
▽アグネス
私も支援現場で活動している一人一人のスタッフも「自分ひとりは小さいけど皆でやれば、大きな流れを作る一滴になれる。」と信じている。いろいろと考えると理屈負けして動けなくなるけど、同じ気持ちの人たちと一緒に活動するのは絶対、有意義なことなんです。
だから皆さんには、途上国の子どもたちを上から見て、かわいそうと思うのではなく、自分と同じという感性をもってほしい。「私も10才の子どもだった」ということを思い出してほしい。その子どもたちが夢を見ることで自分たちも夢を見られる。そうすれば、自分たちが人間として成長する上で大きな生きがいになると思いますよ。実際に私は子どもたちからエネルギーをもらっているんですよ。あと、よその国、外人という考えをやめて、同じ人間として同じ気持ちを持って仲間を尊重するという方向に持っていくべきじゃないかな。
そうそう、私はそれを「愛球心」=地球を愛する心って名付けたんですよ。子どもの世界には国境はないですからね。
先生、これから私たちに、いろんなことを教えてください。
そして一緒に頑張りましょうよ。 子どもたちのために!
▽日野原
日本ユニセフ協会大使として、子どもたちのために頑張りますよ。ますます睡眠時間が短くなりますが、地震が来ても起きないぐらいの深い眠りで乗り切りますよ。こんなオーバーワークは若い人には無理。95才まで長生きしないとできないですね。(笑)
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世界の人口の約3分の1を占める22億人にも及ぶ子どもたちのなかで、食糧不足や薬や予防注射の不足、水の不足、そうして小学校教育も受けられないような、貧困下で暮らす子どもの数は10億人以上にも達しています。特に国際間や種族間の戦争やテロがある地域では、多くの難民であふれ、重い病気を患い、いのちを失う子どもたちの数は、大変な数字を示しています。
日本も、第二次大戦後の数年間は、ユニセフから医薬品や脱脂粉乳などの支援を受けてきたのですが、今や日本はユニセフ本部に年間130億円以上の寄付をしています。日本の国民から寄せられる財源の多くは、毎月自動的に寄付金が差し引かれる継続的な支援に頼っているのです。
一般の人々から寄せられる寄付でユニセフの子供に生きていく権利と健康を保障することがユニセフの使命であり、仕事であります。
この継続的なユニセフ募金協力に、一人でも多くの人が参加されることを私は切望します。 |
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