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公益財団法人日本ユニセフ協会

レポートカードが示す日本の子どもの貧困

日本における子どもの貧困の問題が注目されるようになってきています。日本の子どもの7人に1人が貧困状態にあり、この割合が、先進国の中でも高い方であることが、ユニセフの調査で明らかになっているのです。2013年6月には、子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されないようにすることを目的とした「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立しました。2014年8月には「子どもの貧困対策に関する大綱」が策定され、子どもの貧困対策が本格的に進められることになっています。

ユニセフのイノチェンティ研究所は、先進国における子どもの状況をモニターし比較することを目的として、2000年から、『レポートカード』(「通信簿」の意味)シリーズの報告書を公表しています。テーマは毎回異なりますが、最近では、レポートカード9(2010年)、10(2012年)、11(2013年)、12(2014年)、13(2016年)などが、子どもの貧困問題に焦点をあてています。当協会は、日本の子どもたちの状況を国際比較の観点から明らかにするこれらのレポートの制作に協力し、公表することによって、日本の子どもたちの貧困問題をモニタリングする仕組み作りや、対策の推進に貢献したいと考えています。

ユニセフ報告書が示す日本の子どもの貧困
  • 日本の子どもの約7人にひとり(14.9%)は貧困状態にあり、先進31カ国中でその割合が高い方から10番目。
    (レポートカード11特別編集版。なお、平成25年度国民生活基礎調査では約6人にひとり(16.3%))
  • 子どもの貧困の深刻度を表す「貧困ギャップ」は先進31カ国中で下(深刻度が高い方)から6番目(レポートカード11特別編集版)。リーマンショック後の世界的経済危機の中で更に悪化(レポートカード12)。
  • 日本のひとり親家庭の子どもの貧困率は、経済危機を経て、両親がいる家庭の子どもの貧困率を大きく上回ったまま(レポートカード12)。
  • 子どもの世帯所得の格差を表す「相対的所得ギャップ」の順位では、先進41カ国中で下から(格差が大きい方から)8番目で、所得分布の下から10%にあたる子どもの世帯所得は、分布の中央の子どもの約40%(レポートカード13)。
レポートカード13 『子どもたちのための公平性:先進諸国における子どもたちの幸福度の格差に関する順位表』(2016年)

先進国の子どもたちの間の格差、特に、底辺に置かれた子どもたちが、「平均的」な子どもたちからどの程度取り残されているか、に基づいて各国を順位付けしました。報告書はこれを“底辺の格差”と呼び、所得、学習到達度、主観的な健康状態、および生活満足度に関してそれぞれ分析を行いました。日本は所得に関する“底辺の格差”において、下位(格差が大きいグループ)に位置づけられました。

レポートカード12『不況の中の子どもたち:先進諸国における経済危機が子どもの幸福度に及ぼす影響』(2014 年)

リーマンショック後の経済危機が、先進国の子どもの貧困にどのような影響を与えたのかを分析しました。子どもの状況が大きく悪化した一部ヨーロッパ諸国に比べて、日本は経済危機の前後で子どもの貧困率が改善した*国の一つで、変化に基づく順位は41カ国中10番目でした。ただし、2012年時点でみると19番目と決してよい方ではなく、また、ひとり親家庭の子どもの貧困率が高いことも指摘されました。
*厚労省が発表する子どもの貧困率とは異なる推計方法を用いています。

レポートカード11『先進国における子どもの幸福度−日本との比較 特別編集版』(2013年)

先進国の子どもの幸福度を、5つの分野(物質的豊かさ、健康と安全、教育、日常生活上のリスク、住居と環境)から順位づけしながら考察しました。日本は分野ごとに順位のばらつきが大きく、子どもの貧困に関する指標においてはいずれも下位に位置づけられる結果となりました。
*2013年4月に公表された『レポートカード11』では、日本についてのデータが不足し総合評価の対象とされなかったため、当協会が国立社会保障・人口問題研究所(阿部彩氏・竹沢純子氏)とイノチェンティ研究所との協力をサポートし、日本についてのデータ・考察を加えた『日本との比較 特別編集版』を2013年12月に発表しました。

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