アフリカ干ばつ緊急募金　第60報
ユニセフ最新の報告書発表
アフリカの角地域：前進があるものの前途多難な現状続く

【2012年4月11日　ケニア・ナイロビ発】

2011年、アフリカの角地域で展開しているユニセフの大規模な支援活動は、飢餓の拡大を食い止め、何万人もの子どもたちの命を救いました。しかし、現地の状況はさらに悪化し、これまでの暫定的な前進をも脅かしていると、このたび新しく発表した報告書のなかでユニセフは警鐘を鳴らしています。

「アフリカの角地域での食糧不足の問題は、著しい前進を遂げたにもかかわらず、子どもたちはいまだに生存の危機に晒されています。何百万人もの子どもたちが、今後数ヶ月間にわたる継続支援を緊急に必要としているのです。この支援が受けられなければ、状況はすぐに悪化してしまいます」こう話すのは、ユニセフ東部・南部アフリカ地域事務所のエルハジ・アス・スィ所長です。2011年7月にソマリアの数箇所で飢餓が宣言されてから6ヵ月間のユニセフの人道支援活動をまとめた報告書「アフリカの角地域における緊急事態への対応」の発表にともない、スィ所長はこのように述べました。

「持続可能な復興のための支援活動は、難しくなりつつあります。最近の気候と、今も多くの地域で続く政情不安や暴力により、新たな影響や混乱を生み出す恐れがあります。それはまた、数十万人もの子どもたちを命の危険にさらす危機的な状況へと戻してしまうのです」アフリカの角地域の緊急支援コーディネーターでもあるスィ所長は、こう話しました。

最新の予測によると、アフリカの角のほとんどの地域において、今年の3月から5月にかけての降雨量は、平均を下回る見込みです。現在も続くソマリアでの紛争、ケニヤの一部で勃発している暴力行為や民族衝突は、こうした危機の影響を大きく受けた避難民や地域社会への人道支援も制限してしまいます。

アフリカの角では、今なお800万以上の人々が緊急支援を必要としています。ソマリアでは、人口の3分の1近くに及ぶ約251万人もの人々が、緊急支援が必要な深刻な状況に置かれています。その中の32万3,000人以上は、重度の栄養不良に苦しむ子どもたちです。ケニヤ東北部のダダーブ難民キャンプでは約46万3,000人、エチオピアのドロ・アド難民キャンプでは14万2,000人、ジブチのアリ・アデー難民キャンプでは2万2,000人ものソマリアからの避難民が、さらにソマリア国内で避難している国内避難民135万人が、継続支援を必要としています。

2011年に達成した成果

この度発表された報告書では、以下の項目を含むユニセフの2011年下半期の大規模な人道支援の詳細が記述されています。

• 命を救う緊急支援物資6万トン以上の空路、陸路、海路による輸送
• 35万人近くの重度の栄養不良の子どもたちの治療
• 790万人の子どもたちへのはしかの予防接種
• 320万人に安全な飲料水を供給
• 20万人以上の子どもたちへの「子どもに優しい空間」の設置と安全な環境整備の促進

ドナー、パートナー団体の皆様の支援によって、ユニセフは、飢餓状態であったソマリア6地域で、緊急事態レベルの格下げに貢献し、ケニヤ・トゥルカナ地方の急性栄養不良の割合が3分の1に低下。エチオピアの子どもたちの急性栄養不良率や5歳未満死亡率の画期的な改善に貢献しました。

地域の人々とコミュニティの復興支援

2011年、ユニセフはアフリカの角における人道支援活動のために4億5百万米ドル以上の資金を集めました。これは、必要額の96％に達しました。今年は、同地域における救援活動と復興支援のため、さらに4億1,380万米ドルの追加資金を必要としています。

ユニセフの支援は、コミュニティや各家庭の復興への力を支えることに焦点を当て支援を強化しています。
現金給付、保健移動チームの稼働の増加、地域レベルにおける急性栄養不良の早期調査と治療のための能力強化、リスクの高い地域が十分に危機に備えられるように安全な飲料水と衛生施設（トイレ）の計画立案、学校の授業時間の調整、遊牧民などの支援が届き難い人々への移動式学校の提供、また教員研修プログラムへの平和教育の導入や、自然災害などが二次災害を引き起こすリスクの軽減などを含んでいます。

「今後数ヵ月間、最も弱い子どもたちのいくつものニーズに応え、新たな惨事を回避するための継続的かつ持続可能な支援がどうしても必要なのです」と、シィ所長は訴えました。

「もし支援を継続し続けなければ、飢餓はまた襲ってくるでしょう。しかし、私たちが協力して努力すれば、アフリカの角地域に暮らす何百万もの子どもたちの未来を変えることができるのです」

• アフリカの角地域の最新報告書（英語）はこちらから[1.36MB] »