HOME > 世界の子どもたち > 緊急支援情報 > 中国大地震緊急支援
財団法人日本ユニセフ協会




中国大地震 第21報
ユニセフ、心の傷を抱えた子どもたちのために「子どもに優しい空間」建設を予定
 

【2008年7月24日 中国・北京発】

写真:被災した子どもたちとアグネス大使
© 日本ユニセフ協会
6月26日から7月3日に掛け、中国四川省の地震被災地を訪問したアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使。

ユニセフは、5月12日四川省で発生した中国大地震で被災した子どもたちや、その家族の「心のケア」を継続して実施するための施設を、中国政府と協力して四川省の最大被災地30ヶ所に建設する予定です。集中的な心のケア・トレーニングと基本設備が地元NGOとソーシャル・ワーカーに提供され、地域の復興を勢い付けるでしょう。

2008年8月末までに、「子どもに優しい空間」の多くが四川省の最大被災地(北川、安縣、平武、青川、綿竹、江油の各県)で稼動している見込みです。

「ユニセフは、要請がある限り、支援を提供することを約束しています。子どもたちはとても回復力が強くて、多くは「心のケア」があれば元気を取り戻すことができます。しかし、中には心に深い傷を負った経験が脳裏に刻まれて、子どもたちが反応を示すのに時間が掛かる場合もありますし、回復にはさらに時間が掛かることもあります。」(ユニセフ中国事務所子どもの権利チーフ クリステン・ディ・マルティノ)

写真:被災した子どもたちとアグネス大使
© 日本ユニセフ協会

最大被災地の子どもたちの多くは、いまだに心に傷を負った地震の経験をひとりで克服しようともがいているのです。これは、ユニセフの現地調査で明らかになりました。

四川省の最大被災地のひとつ、北川県で被災したガオ・イシュさんは、こう話します。
「孫娘はとても元気ですが、大きなストレスにさらされているのです。夜、布団にもぐってひとりで泣いていました。」
彼女の孫娘は、倒壊した学校からの生存者です。

「いまのところ、自分たちの経験を他人に進んで話す気にはなれません。他人にはわたしたちを助けられませんし、経験を話せば気分がさらに落ち込むだけです。」
北川県中学校が地震で倒壊して上の娘を失くした母親のひとり、ヤン・ヤンさんは、こう話します。この学校では、地震でおよそ1,200人の教師と生徒が犠牲になりました。

写真:被災した子どもたちとアグネス大使
© 日本ユニセフ協会

「現在、親とはぐれたり身寄りのない子どもたちや、子どもを失くした親、負傷者、障害者や高齢者などの、困難な状況に置かれているひとたちの様子が、とても気がかりです。」と、ユニセフのクリステン・ディ・マルティノは話します。

これまで、ユニセフはテントやプレハブ小屋、おもちゃ、本や衛生施設(トイレ)などの基礎設備を、移転したコミュニティー内で「子どもに優しい空間」を建設できるように、地元NGOに提供してきました。

ユニセフの「子どもに優しい空間」では、子どもたちはゲームや合唱、ダンスやお絵かきなどの集団活動を楽しむことができます。ここで子どもたちは、お互いに絆を築き、安心感を覚え孤独を感じないようになるでしょう。こうした活動により、トレーニングを受けた支援者が、より深刻な心の傷を負っている兆しを見せている子どもたちを見つけ、特別な支援を提供することができるようにもなるでしょう。