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日本ユニセフ協会
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欧州難民危機
「子どもの保護を最優先に」ユニセフら78団体、EU諸国に訴え
子どもの難民申請、昨年以来66万4,500人

【2016年11月29日  ブリュッセル(ベルギー)発】

ブリュッセルで開催されている第10回子どもの権利に関する欧州フォーラムの開会に際して、ユニセフを含む78の機関・団体は本日、EUの諸機関と加盟国は難民・移民の子どもの保護のためにさらなる努力が必要だと唱える声明に署名しました。

欧州難民危機の発生から3年目

一時的な住居となっている、ビニールシートで作られたテントから、顔をのぞかせる男の子(ギリシャ)

© UNICEF/UN012796/Georgiev

一時的な住居となっている、ビニールシートで作られたテントから、顔をのぞかせる男の子(ギリシャ)

欧州における難民・移民危機が始まってから間もなく3年目に入りますが、難民・移民の中で子どもたちの占める割合はこれまでになく拡大しており、その影響により彼らの生活はさらに悲劇的なものとなっています。2015年1月から2016年9月までの間に、66万4,500人の子どもたちが欧州に難民認定の申請をしました。イタリアに到着した子どもの10人に9人には、おとなの同伴者がいませんでした。ギリシャでは、2万3,000人の子どもが忘れ去られた状態で、将来がどうなるかもわからず、教育の機会も失われたままです。

今年だけで、欧州に渡ろうとした子どもたち700人以上が海上で死亡したと推定されています。昨週、ギリシャのレスボス島にあるモリア仮設キャンプで発生した火災では6歳の子どもが亡くなりました。

ユニセフとパートナーNGOは、子どもたちの保護を優先できないことで、子どもたちがさらなるリスクにさらされることを憂慮しています。子ども特有のニーズや彼らの脆弱性への対応は少なすぎます。例えば、スウェーデンにいる子どもたちは、彼らの難民申請の審理が始まるまでに1年待たされることも珍しくありません。ギリシャで足止めされている子どもたちは平均で20カ月も学校に通えていません。多くの子どもが、他のEU加盟国に住む家族のもとに行くのに1年以上待たされ、その間に子どもたちは失踪したり密航業者を頼る危険があります。

子どもの保護を最優先に

EUと加盟各国が、子どもたちを保護し、彼らのニーズや脆弱性に対応するためにできることはたくさんあります。

フォーラムにおいて、子どもの権利に関わる諸機関は、計画的な行動を訴えました:リーダーシップ、公共投資、そして、子どもの保護を唱えるだけでは実現されないことから、目標を定義し進捗を測る手法について合意された政策枠組も必要です。

署名した78の機関・団体は、難民・移民の子どもたちがいま必要とし、また彼らの将来に備えるために、7つの優先されるべき行動を明らかにしました。それらの行動には、移民の子どもたちに対するEU行動計画の早期採択、難民申請中の子どもたちの安全確保の強化、各国内の子どもの保護制度のための予算増加や国境を越えた子どもの保護のための措置の構築が含まれます。

ユニセフらは、これまでEUがとってきた行動は、散発的で不十分だとしています。いま必要なのは、移民の子どもたちに対する統合的な対応、つまりすべての責任のある関係当局が一体となり、各国により良いデータの収集と共有を促すことであると述べています。

EU議会において審議されている欧州共通の難民制度の改定は、子どもたちが保護してくれるおとなや教育、家族との統合を実現するための貴重な機会を提供します。EUはまた、移民・難民の子どもたちの拘留を中止し、その代替措置を明らかにするための行動も求められています。

難民・移民の子どもたちの多くは、将来成長しEU市民となっていきます。彼らは、移民としての状況や立場に関わらず、最優先の存在として配慮されるべきです。各国は子どもたちに投資し、彼らがそれぞれのコミュニティの対等な一員として、その可能性をいかんなく発揮できるように後押しする必要があります。

 

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