子どもの権利条約の締結
各国は、子どもの権利条約を締結することで、条約を守ることを約束します。そして、法律を作り、政策を実施するなどして、条約で定められた権利が実現するようにしなければなりません。日本は1994年に条約を批准*(注1)し、様々な取り組みを進めてきました。
※注1:条約を守ることを国として表明することを、条約を締結するといい、条約が定める方法や各国がとる手続きの違いによって、批准、加入、承継(独立する前の国の立場をそのまま受け継ぐ)等があります。条約を締結している国は条約の「締約国」と呼ばれることが一般的です。
各国による報告書とその審査
条約を締結した国は、最初は2年以内に、その後は5年ごとに、条約に定められた子どもの権利を守るためにどのような取り組みを行ったかについて報告書を作成し、国連子どもの権利委員会に提出します。
国連子どもの権利委員会は、各国による条約の実施状況についてモニタリングをしたり、助言したりする委員会です。世界から選ばれた、18人の専門家がそのメンバーです。2023年11月現在、日本人で弁護士の大谷美紀子さんがメンバーを務めています。
各国の政府が委員会に報告書を提出する時には、ユニセフ、NGOなどの組織も、子どもの権利の状況についての報告書を提出することができます。また、子どもたちの意見をまとめた報告書が提出されることもあります。
委員会はそれらの報告書を読み、必要な時は各国にさらに確認をして、国の代表を交えて会議(報告書の審査)を行います。それをもとに、各国に対し、子どもの権利を実現するために行われた進展を評価し、さらに改善すべき点について勧告する、「最終見解」または「総括所見」(Concluding Observationsの訳)と呼ばれる文書を出します。各国はこれをふまえて、子どもの権利を守る取り組みをさらに強化していきます。報告書の審査は、委員会と各国が対話をすることで、子どもの権利をさらに実現していくための、建設的なプロセスです。
- 2019年2月に公表された日本に関する「最終見解」ついては、こちらでご紹介しています。
- 外務省ホームページ 児童の権利条約
すべての国に向けた指針
国連子どもの権利委員会は、すべての締約国に向けて、子どもの権利がさらに守られるよう、特定のテーマに関する指針(「一般的意見(General Comment)」という文書)を作成することがあります。最近では例えば、デジタル世界と子どもの権利、気候変動と子どもの権利について、たくさんの子どもたちの声も聴きながら、指針を作成しました。
条約の周知・子どもの参加
子どもの権利が守られるためには、おとなも子どももこの条約やその内容についてよく知ることがとても大切で、条約にはそのことも定められています。
また、国の報告書の作成等において、子どもたちが参加することも重視されています。国連子どもの権利委員会や各国は報告書の作成や審査の時に、できるだけその国の子どもたちの意見を聴くようにします。委員会はまた、「一般的意見」を作る過程で、世界の子どもたちから意見を聴いて、そのとりまとめや文書への反映についても、子どもたちと協力しています。そして、子どもにわかりやすい子ども向けの「一般的意見」も作成しています。