ワークショップ #469
AIと子どもの権利:ユニセフの政策ガイダンスの実施
(AI & Child Rights: Implementing UNICEF Policy Guidance)
- 10月10日(火)13:30-15:00(日本時間)
- IGF2023サブテーマ: AI・先端技術、チャットGPT、生成AI、機械学習
人工知能(AI)の急速な発展により、子どもは常に変化する環境に置かれ、生成AIやソーシャルロボット、仮想現実(VR)を活用した新しいアプリケーションが、オンラインとオフラインの生活に影響を与えています。
子どもたちにとって責任あるAIの開発を担保するため、ユニセフは、国際的な専門家、政府、産業界、そして子どもたちからの意見をもとに、「Policy Guidance on AI and Children’s Rights (仮題:AIと子どもの権利に関する政策ガイダンス)」を策定しました。
ユニセフが各機関・団体に向けて、その策定した提言を試験的に実施し、得られた知見を共有してほしいと呼びかけたところ、ホンダ・リサーチ・インスティテュートとEUの欧州委員会共同研究センターがその求めに応じ、さまざまな地域(アジア、アフリカ、欧州、米国)と学術領域(ロボット工学、心理学、教育学)にまたがるマルチステークホルダー・パートナーシップ(学界、産業界、学校、政府間機関)を構築し、提言を実施するための技法を模索しました。この取り組みは、米国電子電気学会(IEEE)によって、子どもたちのための責任あるAI開発の具体的なケースの一つとして取り上げられました。
本ラウンドテーブルでは、実際の課題や成功事例を含め、チームの経験を振り返り、政策立案者や開発者に、子ども中心のAIシステムの実現について具体的な指針を示すことを目的としています。
セッション内では、ユニセフのPolicy Guidanceの概要を説明し、具体的な原則がどのように技術的要件に落とし込まれていくかを示しながら、これまでの実施結果を紹介します。また、ウガンダの教育者、東京の学生、および子どもたちと共同でソリューションを設計するナイジェリアのVR開発者を招き、特定の教育目標を達成しながらAI対応ロボットをデザインする過程で、異なる文化や社会経済的背景を持つ子どもや、技術的対応力の異なる学校の子どもの視点をどのように取り入れるかについて議論します。
この取り組みを世界的な政策策定の場で文脈化し、関連する技術に応用できるような知見を共有し深めるとともに、セッションの最後には、聴衆の参加を得ながら考察を行い、次のステップを提示します。
主催者 |
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登壇者 |
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モデレーター (会場) |
Vicky Charisi, Technical Community |
モデレーター (オンライン) |
Daniella DiPaola, Technical Community, Western European and Others Group (WEOG) |
- 主催者と登壇者は、リモートでの登壇者と会場での登壇者の両方がおり、それぞれの発表はオンラインと会場で交互に行う予定です。モデレーターは会場とオンラインに1名ずつの計2名です。
- フォーラム事務局が提供する設備やツールに加え、Slido.comを利用した参加者による簡単な投票を実施します。
- 会場にはオンライン参加者を映すスクリーンを設置し、テレプレゼンスロボットの使用も検討しています。
政策に関する質問
- AIと子どもの権利に関する勧告やガイドラインを、どのように業界戦略に組み込むか? また、デジタル環境において子どものプライバシーや安全、サイバーセキュリティ、包摂性、非差別を守るとともに子どもの権利を保護するようなAI製品の具体的な技術仕様書に、それら勧告とガイドラインをどのように反映させることができるか?
- 設計、開発、実装、評価の製品サイクル全体において、どのようにすれば子どもの包摂を確保できるか?
- 政府や政府間機関は、どのようにして政策、産業界、市民社会の間の透明な相互作用を支援し、説明責任を担保することができるか?
このセッションから聴衆(参加者)が得られること
聴衆は、ユニセフの「Policy Guidance on AI and Child’s Rights (仮題:AIと子どもの権利に関する政策ガイダンス)」に基づいて開発されたAIシステムのユースケースシナリオを見る機会が提供されます。具体的には以下のとおりです。
- AIと子どもの権利に関するユニセフの政策提言の具体的な実用例(ソーシャルロボットHaru)
- これまでの教訓をどのように自分の仕事に生かすか
- 倫理原則をAIシステムの技術仕様にどのように反映させたか
- 技術的な準備が整っていない遠隔地を含む、世界のさまざまな地域の子どもを取り込む方法に関する教訓
- ステークホルダー(ユニセフ、ヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)、eコマース(EC)、アカデミア、学校、病院)間の協働の方法に関する教訓
- 実践者(教育者)および若い参加者(学生)からの洞察と、教育目標に対するこのプロセスのインパクト
- 生成AIや仮想現実(VR)などのさまざまなAI技術との関連におけるプロセスの考察。
期待される成果
ワークショップ終了後、組織委員会が作成・編集した報告書を発行することを目指します。報告書では、セッションの説明、ケーススタディの初期説明、および政策関連の3つの問いに焦点を当てます。3つの問いとは即ち、責任あるAIの開発における産業界の役割、子どものためのAIの開発の前提条件としての子どもの包摂、異なるステークホルダー間の透明な相互作用のための政府間機関の役割です。また、登壇者からの短いコメントを盛り込み、議事録と討論中に提起される問題を集約することを目指しています。その報告書を、産業界、政策機関、政府、政府間機関、学術界、学校などに広く配布することを目指しています。
関連するSDGsのターゲット
・本ページは、IGF2023公式ページ(2023年9月27日時点)の日本語仮訳です。最新情報は公式ページをご確認ください。