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公益財団法人 日本ユニセフ協会
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公益財団法人日本ユニセフ協会

国際協力人材養成プログラム

海外インターン体験記

氏名 中谷 菜美
派遣先 ウガンダ事務所
派遣期間 2018年9月〜2019年1月

2018年9月から、2019年1月まで、ユニセフ・ウガンダ事務所にてインターンをさせていただきました。ユニセフの仕事の進め方を理解するとともに現場経験を身につけたいという動機で応募し、大学院の専門分野である子どもの保護の部署に配属されました。

ウガンダは、一人の女性が生涯に出産する子どもの数が平均5.4人で、18歳以下の子どもが人口の55%を占めています。人口の半分以上が子どもという状況の中、子どもや女性の支援をするユニセフでは、主に保健、栄養、水・衛生、初等・中等教育、幼児教育、子どもの保護といった課題にウガンダ政府と共に取り組んでいます。ウガンダは、隣国の南スーダンやコンゴなどから約147万人の難民を受け入れていて(2018年6月時点)、ユニセフは難民支援にも大きく関わっています。また、国境を接するコンゴでは、エボラ出血熱が流行しており、ウガンダ国内での感染を防ごうと、国境沿いでの手洗い指導などの活動にも力を入れています。

子どもの保護とは、一言で表現すると、“子どもをあらゆる暴力や搾取から守る”という分野で、ユニセフ・ウガンダ事務所では、暴力を予防し、暴力を経験した子どもが適切なサービスを得られる包括的なシステムづくりを目指しています。具体的には、児童虐待の防止や対応、児童養護制度の問題、少年司法制度の改善、子育て支援といった日本とも共通する分野や、児童婚(18歳以下の子どもの結婚)や、低い出生登録率により子どもが必要なサービスにアクセスできないといった、ウガンダやアフリカ諸国特有の課題があります。私が特に関わっていたのは、児童養護制度の改善、児童虐待の通報の仕組みであるチャイルド・ヘルプラインへの支援、少年司法制度の改善といった、暴力を受けた子どもが支援を受けられる体制を作るための事業でした。国としての仕組みに大きく関わる分野であるため、ユニセフの役割は、カウンターパートである省庁に技術的アドバイスをしながら、取り組みをサポートすることでした。

その中で、インターンとしての私の仕事は、子どもの保護事業の広報記事の作成や、子どもの意見を事業に取り入れていくための戦略づくり、事業管理のための指標の作成などでした。それと併せて、難民に対する子どもの保護事業(チャイルド・フレンドリー・スペースという子どもが安心して遊べる場所にて心理社会的支援を提供したり、親と離れ離れになった子どもに代替的ケアを提供したりする活動)の補助業務にも関わらせていただきました。地方出張にも4回同行させていただき、実際の現場を見ることができたのも大きな学びでした。

中でも印象的だったのは、ユニセフが取り組む“児童婚をなくそう(End Child Marriage)”というプログラムの視察に同行し、ウガンダ北部のユンべ、アルーアという地域に行ったことです。児童婚をなくすキャンペーンを強化するため、児童婚を経験した子どもやその家族にインタビューをするのが目的で、彼らが住む村を訪ねました。ウガンダでは、今20-49才になった女性のうち、49%が18才より前に結婚していますが、若年層の結婚は、妊娠による母子の健康リスクが高まったり、年の離れたパートナーから暴力を受けることが多かったり、学校教育からの中退につながってしまったりと、女の子にとって多くのリスクをはらんでいるため、ユニセフはパートナー団体や地域行政と協力し、その削減に取り組んでいます。取材した、ある14才の女の子は、帰り道に突然21才の男に誘拐され、そのまま一晩を一緒に過ごすことを強要され、強制的に結婚させられたと話してくれました。このような行為は、ウガンダの法律では犯罪となるのですが、特に農村では、結婚前の男女が一晩を過ごせば結婚に相当すると考える習慣があり、また法制度への認識も高くないので、被害者が結婚を余儀なくされる事例が後を絶たないそうです。この女の子は、ソーシャルワーカーの助けもあり、結婚を辞めて家族の元に帰ってくることができましたが、それでも家族が結婚を破棄する代償として牛と現金を支払わなければならなかったそうです。また、別の家族は、自分の子どもには児童婚をさせたくないと考えているものの、農作物を売って得られるわずかな収入で、5人の子どもたちに教育を提供できる保証はなく、教育費を賄えなくなった時に児童婚が手段となってしまう可能性が否定できない状況でした。この出張を通して、児童婚という問題の背景には多くの要因があり、貧困や文化や習慣など様々な面からアプローチしなければならないということを実感しました。また、業務を進める上で、現場を実際に自分の目で見て問題の背景を理解する必要性も感じたため、今後も積極的にフィールドに出て、状況理解に努めたいと考えています。

インターン中は、スーパーバイザーを始めとする子どもの保護部署の職員の方々に丁寧に指導・アドバイスをしていただき、多くの学びを得ました。ユニセフの事業立案や評価の方法、また子どもの保護事業の現状と今後目指すべき方向性について理解が深まったほか、同僚と様々な話をする中で、今後自分がどんなユニセフ職員になりたいかという目標もより明確になりました。また、ユニセフ・ウガンダ事務所の方々と今後に繋がる良い関係性を築けたことも、何よりの成果でした。インターンの機会を与えていただいた日本ユニセフ協会の皆様、温かく声をかけてくれ、多くのサポートをくださったウガンダ事務所の方々に心から感謝しています。今後は、アフリカのマラウイという国で、子どもの保護官として働き始めますが、ウガンダでの経験を最大限活かし、マラウイの子どもたちの環境が少しでも良くなるよう日々の仕事に向き合いたいと思っています。

  • 子どもの保護官の同僚と一緒にフィールドへ。児童養護制度改善にかかるワークショップへ参加しました子どもの保護官の同僚と一緒にフィールドへ。児童養護制度改善にかかるワークショップへ参加しました

  • ウガンダ北部への出張で訪れた村の方と一緒に。日干しレンガでできた壁に藁葺き屋根の家が、典型的なウガンダの農村地域の暮らしです。ウガンダ北部への出張で訪れた村の方と一緒に。日干しレンガでできた壁に藁葺き屋根の家が、典型的なウガンダの農村地域の暮らしです。

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