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氏名 | 角掛 由加里 |
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派遣先 | ヨルダン事務所 |
派遣期間 | 2018年9月〜2018年12月 |
2018年9月から3ヶ月間、中東ヨルダンの首都アンマンに位置するUNICEFヨルダン事務所のユースセクションでインターンをさせていただきました。ヨルダンは、人口の63%が30歳以下という世界で最も若年人口の多い国の一つですが、長期化するシリア危機、それによる難民流入や経済停滞など様々な理由により、19〜24歳までの青少年(ユース)の33%が失業状態にあり、将来的な展望が描きにくい状況に置かれ、そのほか政治的、社会的な参画の機会も十分にないことが問題とされています。特に、経済的な参画率が低い原因としては、労働市場における求人数が不足していることだけでなく、雇用主側の求めるスキルと被雇用者側であるユースの持つスキルが合致しないことが大きな問題となっています。このような状況において、UNICEFヨルダン事務所のユースセクションは、ライフスキルプログラム、ボランティア事業、イノベーションラボ、職業技能教育訓練などを通じ、すべてのユースが社会的、経済的な参画の機会を獲得し、ポジティブな成長を経て大人になることを目指し、特に脆弱性の高いユースを積極的に支援しています。
インターン期間中、私は主に① 職業技能教育訓練プログラムであるAmalunaプログラムの実施促進、② 新規事業の立ち上げ準備、そして ③セクション全体の広報促進の業務に携わりましたが、ここでは特に①に関して報告させていただきます。Amalunaプログラムは、ヨルダン人とシリア人の脆弱性の高いユースに対し、奨学金の給付と共に、雇用市場で求められている特定分野の職業技能教育訓練を提供し、持続可能な雇用につなげることを目的とするパイロット事業として始まりました1。Amalunaとはアラビア語で “Our Hope”(私たちの希望)という意味で、不安定な状況に置かれているヨルダンのユースがプログラムへの参加を通じて必要なスキルを獲得し雇用につなげ、自らが希望を持てる未来を切り開いていくことが狙いです。私は、このプログラムの実施促進にあたり、既存・新規パートナー団体との連携、モニタリング、月次進捗管理、レポーティング、ドナーレポートのドラフト作成など様々な角度からサポートさせていただきました。
その中で印象に残っているのは、ヨルダン各地の事業地へ足を運び、パートナー団体およびプログラム参加者と直接対話をし、事業の効果や改善点などの聞き取りを行った時のことです。合計30人以上の参加者から話を聞く中で、まず気づき驚いたのは、彼らの教育レベル(大卒、高校中退、初等教育のみ、皆無など)と失業可能性の高さが必ずしも相関関係にないということでした。実際に、ヨルダンの統計局の報告によると、2018年の第一四半期時点で、大学を卒業しているグループの失業率が最も高いというデータもあり、教育のバックグラウンドに関わらず、不安定な状態に置かれているユースの不満や不安をよく理解することができました。それと同時に、取材を続ける中で、Amalunaプログラムへの参加を経て「自己肯定感」「自信」「将来展望」を得ることができたと多くのユースが回答していたのが心に響きました。プログラムを通じて、様々なスキルを獲得して雇用へ結びついていく過程で、社会で自立して生きていくために必要な要素が醸成されていく様子を見て取ることができ、このプログラムの効果を確認することができました。
インターン期間中は上司やスーパーバイザーから多岐にわたるタスクを高い自由度と共に与えて頂き、常に自ら積極的に動いて一定のアウトプットを出すことが求められたため、非常に短期間ではありましたがユニセフで働くとはどういうことかについて知見を深め、同時にその大変さと醍醐味を感じることができました。また、セクション内外を問わず、様々な方々とお話をさせていただく中で、貴重な人脈を築き、また今後の自身の課題及び目指すべき方向性や指針を頂いたことも非常に有難く思っています。このような非常に有益な機会を下さった日本ユニセフ協会の皆様、そしていつも暖かく見守り励ましとサポートを下さったヨルダン事務所の皆様に心から御礼を申し上げます。有難うございました。
調理専門学校における技能実習
若手起業家の縫製工場で技能実習中の参加者
ユースセクションの送別ランチ