ピンティちゃんとレンガ工場

モンスーンの季節には、毎日ひどい雨がふります
レンガをはこぶピンティちゃん
ピンティちゃん家族の家
ピンティちゃんと家族
レンガ工場のようす

ピンティちゃんは6さい。バムンガシーという名前のレンガ工場で働く女の子です。私がインドをおとずれた8月は、ちょうどモンスーンの季節なので、毎日ひどい雨がふります。レンガは作っていません。でも、前に作っておいたレンガをトラックに運ぶ仕事ならモンスーンのときでもやっています。ピンティちゃんは、学校に行ったことがありません。だから、自分の名前も書けません。

トラックにレンガを運ぶとき、ピンティちゃんは頭の上に5個のレンガをのせます。レンガは1つ5キログラムなので、合計で25キログラム分を小さな体で運んでいることになります。まず、ベリーとよばれる、タオルをグルグルまいたようなものを頭の上にのせ、その上に板ものせます。その板の上ならレンガもあんていする、というわけです。私もやってみたけど、とても重くて、首が痛くなりました。それに、レンガを足などに落としてしまったら、ケガをしてしまいます。でも、一つでも多くのレンガを決められた時間で運ばなくてはならないため、ゆっくりすることはできません。レンガを運んでみた後に、ピンティちゃんをだっこしてみました。レンガよりも軽かったです。

ピンティちゃんは、お父さん、お母さん、2人の妹と1人の弟と、レンガ工場の敷地内(しきちない)にある「家」に住んでいます。でも、言われるまでは家だと気付かないような小さな小さな建物です。壁はレンガでできており、屋根は低いため、中では腰を少しまげなくてはいけません。おまけに、床がないために、家の中(へやひとつだけ)は地面の上にレンガをしきつめただけです。地面がかわいている季節ならいいのですが、モンスーンのように雨がたくさんふるときだと大変です。また、壁には窓がないので家の中は昼間でもまっくらです。空気の流れも悪いので、息をするのも一苦労(ひとくろう)。この中で家族6人が生活しているのがしんじられません。ごはんは、朝も昼も夜もお米と、お米をたいたときの煮汁(にじる)だけです(インドではお米をゆでてたきます)。

ピンティちゃんがまだお母さんのおなかの中にいるときに、お父さんとお母さんはジャルカン州から西ベンガル州にやってきました。ジャルカン州は、インドの中でもっともまずしい地域のひとつです。両親は自分たちの年齢(ねんれい)を知りません。ピンティちゃんに将来の夢はなく、いちばん好きなことはホーリー祭(インドの大きなおまつりで、知ってる人にも知らない人にもとにかくだれにでも色の着いたこなをまくのです!そして、さわいでわらって、楽しく一日をすごします)。その理由を聞いたら、「その日はごちそうが食べられるし、仕事も休みだし、それに工場の外からたくさんの人がやって来るからおもしろい」とこたえてくれました。

お父さんのラジェスさんにも話を聞きました。頭に布をまいていました。これは、昔仕事中につんであるレンガ(4〜5メートルくらいの高さに積んである)がくずれてきてケガをしたからなのだそうです。ジャルカン州にいるラジェスさんの両親は農業(のうぎょう)をしているのですが、ラジェスさんのお父さんはラジェスさんがまだおさないのにレンガ工場で働かせるようになりました。レンガ工場の外にはどんな世界があるのかも知らないまま、その頃からずっとラジェスさんはレンガを作り続けています。ラジェスさんのおくさんも、同じように工場で働いていました。ピンティちゃんたちが将来子どもをもつようになったら、その子たちにも自分と同じようにレンガ工場で働いてもらいたいと言いました。

ここの工場でいちばん大きな家族は8人です。その8人家族で、お給料は月に1200ルピー(2006年10月13日現在、約3万1400円)だそうです。お米が1キログラムでだいたい15ルピーなので、家族8人が1200ルピーで1カ月をすごすのはとても大変なことです。たとえば、日本のおちゃわん1杯のお米が150グラムですから、それが8人家族になったら…。1日どのくらいのお米を食べいて、いくらかかっているか考えてみると、インドの家族がどれだけ大変か、すこしわかるかもしれませんね。

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