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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

ブルンジ
子どもたちの栄養不良が悪化
命を守るための家庭訪問

【2015年7月14日   ブジュンブラ(ブルンジ)発】

雨不足、不作、住民の避難が続くブルンジでは、子どもたちの栄養不良の脅威が高まっています。

小さな孫娘

「孫娘の姿を見ると、涙が溢れてきます」とアネシエさんは低い声で話します。「まるで生後2カ月くらいに見えるほど小さいのです。食欲が十分になく、咳をしていて、熱もあります」

孫たちの世話をするアネシエさん。キルンド県では多くの住民が近隣国であるルワンダへ避難している。

© UNICEF Burundi/2015/Nijimbere

孫たちの世話をするアネシエさん。キルンド県では多くの住民が近隣国であるルワンダへ避難している。

実際には1歳6カ月の孫娘のケリシアちゃんの健康状態は、ここ数週間で急激に悪化しています。家族が暮らしているコホハ湖付近の地域では、数キロメートル先にあるルワンダを目指す人々が大勢います。悪化する治安とその恐怖から、何千もの同郷の人々が国境を超えるのを、アネシエさんは目にしてきました。

「(首都の)ブジュンブラは非常に危険な状態であるとラジオで聞きました。民間ラジオが放送を中止してから、避難を決めて出て行った近所の人々もいます。しかし、私は孫娘と共にここに留まることを決めたのです」と、アネシエさんは決断を下した時のことを振り返ります。ケリシアちゃんの健康状態が悪化し続けていく中で、行くか留まるかを決めるのは、とても難しい選択だったと言います。

凶作と雨不足、収穫見込みのない中で

避難する住民が特に多く、大きな影響が及んでいるのがキルンド県です。ルワンダの難民キャンプにいるブルンジ人の72%はキルンド県出身です。一連の凶作と雨不足によって、キルンド県は食料不足の危機に晒されています。多くのおとなが一日に一度しか食事をすることができません。

「子どもたちに一日三度の食事を与えることは、今は非常に難しいです。私たちは良い収穫が期待できない中で、作物を植え続けています。ここから30分ほど行ったところにある夫の所有する土地で、ひまわりやトウモロコシ、豆を育てていますが、収穫量は良くありません」(アネシエさん)

キルンド県の住民たちが危機に立たされている中、ユニセフはパートナー団体とともに、各家庭を訪問して子どもたちの栄養状態のチェックを行っています。

上腕周囲径測定帯で栄養不良の検査を受けた1歳6カ月のケリシアちゃん。結果は「レッド・ゾーン」だった。

© UNICEF Burundi/2015/Nijimbere

上腕周囲径測定帯で栄養不良の検査を受けた1歳6カ月のケリシアちゃん。結果は「レッド・ゾーン」だった。(赤い色は栄養不良の可能性がある危険な状態を示す)

「この地域を訪問中、多くの子どもたちが栄養不良に陥っていることを確認しました」とブゾーニでコミュニティ保健員として働くシルベストル・バンバシは話します。「一つの原因は降雨不足ですが、もう一つの理由は他国への人口移動です。私が担当する地域では、多くの子どもたちが『イエロー・ゾーン』です。しかし、ケリシアちゃんは『レッド・ゾーン』なのです。これはつまり、彼女が重度の急性栄養不良であることを意味しています」

命を守るための家庭訪問

バンバシさんなどのコミュニティ保健員は、現在起きている事態の影響を受けやすい家庭を直接訪問し、子どもたちの状態をチェックし、栄養や健康、衛生習慣に関するアドバイスをしています。この活動によって、命を守ることができるのです。MUAC(上腕周囲径測定帯)というメジャーを用いて上腕の周囲を測定し、栄養状態を検査することで、子どもの栄養状態を即時に分析でき、ケリシアちゃんのような栄養不良が確認された子どもを、保健センターに照会することができるのです。

「最近の政治や経済の情勢が、キルンド県の子どもたちの栄養状態をさらに悪化させるリスクをもたらしています」とユニセフ・ブルンジ事務所ジョン・ンタンビ栄養担当官は話します。「この状況のなか、ユニセフは、生後6カ月から5歳未満のすべての子どもたちに対し、健康チェックを行っています。ケリシアちゃんのように重度の急性栄養不良だと確認された子どもたちは、ユニセフが用意している栄養補助食を受け取ることができるようになっています」

ルワンダには、7月7日時点、6万6000人以上のブルンジ難民がいます。人々が国外避難あるいは帰国のための移動を繰り返すなかで、こうした危機への対応へのために、確固とした仕組みづくりが非常に重要になっています。

「私たちはコミュニティレベルでの栄養教育の機会を増やし、これから帰国する人々のためにどのような準備ができるのかを考えています」と、バンバシさんは話します。

栄養不良の治療や、予防方法のアドバイス

ケリシアちゃんを栄養不良の治療のために保健センターへ連れて行くことにしたアネシエさん。バンバシさんのアドバイスのお陰で、ケリシアちゃんの状態が悪化しないようにする方法を知ることができました。

コミュニティ保健スタッフのシルベストル・バンバシさん。

© UNICEF Burundi/2015/Nijimbere

コミュニティ保健スタッフのシルベストル・バンバシさん。各家庭を訪問し、子どもたちの栄養状態をチェック。栄養や健康、衛生習慣に関するアドバイスも行う。

「バンバシさんは孫娘の病状について説明と助言をしてくれました。今では、子どもの栄養不良の兆候を見分ける方法がわかります。ケリシアがまた健康を取り戻してくれたら嬉しいです。私が望むのはすべての子どもたちが健康になることです」(アネシエさん)

キルンド県の子どもたちの栄養不良危機に対応するために、ユニセフはパートナー団体と協力して、保健省による栄養不良の予防や検査、治療を支援しています。その活動の中にはケリシアちゃんのような子どもたちに、すぐに口にできる栄養治療食を提供することも含まれています。

ユニセフは地域のパートナーがユニセフはまた、「ポジティブ・デビアンス/ハース(コミュニティを基盤とする子どもたちのための栄養プログラム)」の立ち上げを支援し、保護者が子どもの栄養不良を予防するために、栄養バランスのとれた食事を用意する方法を学ぶ場を提供しています。

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