【2015年8月24日 ゲナチス(エチオピア)発】
ユニセフと欧州連合の共同栄養プログラムは、モニタリングや治療ケア、栄養に関するアドバイスなどを通して、エチオピアの人里離れたコミュニティで暮らす母親や子どもたちに栄養不良の支援を行っています。
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エチオピアのオロミア州、ゲメチス地区で暮らす1歳半のミキアス・アナケくん。朝早く、お母さんのメセレト・ハイレさんに体を洗ってもらい、とても嬉しそうな笑顔を見せています。メセレトさんは家の近くにあるウォラギ保健所で行われる「地域で子どもたちや母親の健康を守る方法」についての話し合いに参加するため、身支度をしているのです。
エチオピアで実施されている欧州連合とユニセフによる4年間の国家栄養保障プログラムも、終わりが近づいてきました。このプログラムは、5歳未満の子どもや母親の栄養不良率を低下させるための政府主導の取り組みに基づいて実施されています。
アフリカの栄養保障パートナーシップ(ANSP)の支援対象国となった4カ国(ブルキナファソ、エチオピア、マリ、ウガンダ)の約100万人の子どもたちと60万人の妊婦や母乳育児中の女性たちに支援が行われています。エチオピアでは、アムハラ州、オロミア州、南部諸民族州の20の地区に焦点を当てて支援を展開しています。
エチオピアで最大の州、オロミアの人口3,000万人以上のうち、80%以上が農村部で暮らしています。保健普及員のビンティ・モハメドさんは、乳幼児への食事の与え方の改善や、母親や10代の子どもたちの栄養向上のための支援を行っています。
コミュニティを基盤とした栄養プログラムで重要となるのが、毎月の発育測定と発育の促進、コミュニティでの話し合い、妊婦への鉄と葉酸の補充、栄養補助食の現地生産の促進です。
「栄養プログラムが始まる前、コミュニティの人々の認識は十分ではありませんでした。地元で入手可能な食材で子どもたちに食事を作ることができることを、知らない人もいたのです」
現在、政府は保健普及プログラムを通して、3万6,000人以上の保健普及員を派遣しています。普及員たちはコミュニティを基盤とした健康の促進や病気の予防サービスなどを、特に農村部で暮らす人たちに提供しています。
ビンティさんは、発育測定や栄養カウンセリングを受けるため、女性たちが毎月子どもたちを保健所に連れてくるようになったと話します。もし順調に発育を遂げていれば、適切な食事を続けるよう、母親たちを励まします。もし前回の発育測定から十分に体重が増加していない、あるいは、中度の低体重に陥っている場合、可能性のある原因や解決方法などを母親と話し合います。家庭内で食糧の不足、不適切な子どもの食事、適切なトイレや安全な水へのアクセスの欠如、繰り返し起こる干ばつ、有害な社会的・伝統的習慣などのすべてが、栄養不良を引き起こす原因となっています。
「大きな変化が起こっています。もし子どもたちが栄養不良になったら、以前は伝統的な祈祷師のもとに連れて行っていました。そして、命の危険が迫ってくるのを、ただ見ているしかなかったのです。保健施設には決して連れて行きませんでした。保健所で子どもたちが健康を取り戻す姿を見て、今はどの村からも保健所に栄養不良の子どもたちを連れてくるようになりました」と、過去の状況を思い起こしながらビンティさんが語ります。
メセレトさんはウォランギ保健所で子どもへの最適な食事の与え方のコミュニティの話し合いに参加した後、実践的なデモンストレーションを見学しました。
© UNICEF Video |
「午前中にコミュニティで話し合いを行いました。次に、子どもたちのための栄養のある食事の作り方について保健員の人たちが説明してくれました。おかゆには、子どもたちの健康のために野菜を入れる必要があると教わりました」(メセレトさん)
保健員が紹介したおかゆには、小麦や大麦、モロコシ、オート麦、レンズ豆、豆、ピーナッツ、キャベツ、牛乳、卵、じゃがいも、ニンジン、ビーツ、ヨード入りの食塩、油が入っています。
「今日からミキアスのためによりよい方法で食事を作りたいと思います。そうすれば、より賢明な子どもに育ち、学校での勉強の力にもなり、将来より活躍できるようになりますから」と、メセレトさんが話しました。
このプログラムは、コミュニティを基盤とした栄養プログラムを通して、食糧不足に対するコミュニティの回復力の構築を支援しています。そして、コミュニティ自身で栄養不良の原因を突き止める力を強化し、家族やコミュニティ、支援ネットワークの活用を通して栄養不良の子どもに対応することができるようにすることを目指しています。2011年以降、このプログラムに参加する、栄養不良の子どもの人数は半減を遂げました。
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