【2015年12月4日 ジュバ(南スーダン)、ナイロビ(ケニア)ジュネーブ、ニューヨーク発】
2015年11月21日、元子ども兵士でユニセフの「紛争の被害にあった子どものための代弁者」、イシュマエル・ベアが、南スーダンの首都ジュバにある支援センターの子どもたちを訪問しました。
© UNICEF/UNI202922/Holt |
南スーダンへの1週間の訪問を終えたイシュマエル・ベアは、「絶え間ない暴力と残忍な戦闘の影響が子どもたちにもたらす影響は、非常に大きくなっています」と語りました。
ベストセラーとなった「戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった(原題:A Long Way Gone; memoirs of a boy solider and Radiance of Tomorrow)」の作者であるイシュマエル・ベアは、「戦闘の残忍さや直接的な影響を受ける子どもたちは増加の一途をたどっています」と語りました。
1991年、シエラレオネで紛争が勃発し、何百万人もの子どもたちの生活が一変しました。イシュマエル・ベアも、そのうちの一人です。両親や二人の兄弟は殺害され、自身は13歳で強制的に徴用され、子ども兵士となりました。そして2年後、ユニセフの支援で軍隊から解放され、シエラレオネの首都フリータウンにあるリハビリテーションセンターに身を置きました。
イシュマエル・ベアは南スーダンを訪問してさまざまな紛争関係者と共に元子ども兵士たちと面会し、子ども兵士の解放やコミュニティや家族との再統合を訴えました。2013年12月に武力衝突が発生してから紛争状態が続いている南スーダンでは、今年8月に和平協定が結ばれていますが、依然として激しい戦闘が続いている地域があります。2015年のはじめ以降、子どもたちの置かれる状況は悪化しており、現在1万6,000人ほどの子どもたちが武装勢力や武装グループと行動を共にしているとみられています。
ユニセフ南スーダン事務所代表のジョナサン・ヴェイチは、「これは、4年前に南スーダンが独立を果たした際、南スーダンの人々が子どもたちのために夢見た生活ではありません。紛争が勃発して2年が経つなか、失われる生活や機会を考えれば、紛争はあまりにも多くの犠牲を生んでいるということを、我々はみな、十分というほど知っているのです」
2013年12月に戦闘が勃発してから
© UNICEF/UNI202914/Holt |
しかし、希望の光も見えています。
「1週間にわたり、武器を置いた元子ども兵士の子どもたちと会ってきました。彼らは今、未来への明確な希望を持っています。彼らは、平和を、教育を、そして、よりよい未来を望んでいるのです。私は自身の経験から、政治的意思があれば、どんなことも可能だと考えています」(イシュマエル・ベア)
イシュマエル・ベアはピポル郡も訪れ、コブラ派武装グループと行動を共にしていた子どもたちと面会しました。今年始め、コブラ派は南スーダン政府との和平協定を受け、1,755人の子どもたちを解放しました。ユニセフは解放された子どもたちに医療ケアや心理社会的サポートを提供し、家族との再会や教育プログラムへの登録を支援しています。
南スーダンでの紛争が3年目に突入しようとしているなか、ユニセフは戦闘行為の即時停止と共に、すべての紛争関係者に、和平協定を守り、武装グループや武装集団と行動を共にしている子どもたちの解放を改めて求めています。
ユニセフはまた、国際人道法に基づき、支援を必要とする人々の元に人道支援団体が支援を届けられるようにするよう、呼びかけています。
【関連動画】
【関連ページ】
シェアする