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日本ユニセフ協会
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アンゴラ
干ばつと洪水による食糧危機
重度の栄養不良に陥った幼い男の子

【2016年8月  アンゴラ発】

アフリカ地域では今、数百万人もの子どもたちが飢餓や水不足、病気のリスクに直面しています。東部・南部アフリカの状況は特に深刻で、異常気象による食糧の不作や、食糧価格の高騰の影響で状況は悪化しています。アンゴラもまた、干ばつの影響を大きく受けている国の一つです。

重度の栄養不良に陥った幼い男の子

ツハフェニくん(生後18カ月)は重度の急性栄養不良で苦しんでいる。

© UNICEF/UN023952/Clark

ツハフェニくん(生後18カ月)は重度の急性栄養不良で苦しんでいる。

生後18カ月には見えないくらい身体が小さい男の子、ツハフェニくん。重度の急性栄養不良によって消耗症にかかっており、命を落とす可能性もありました。15日前にチウロ保健センターへ祖母のイネスさんに連れられてきました。未だ容態は深刻なままです。

マラリアにかかり、肺炎も併発したツハフェニくんを、近所の小さな診療所では治療することができませんでした。そこで、イネスさんは、50キロメートル以上も離れたこのチウロ保健センターに、ツハフェニくんを連れてきたのです。最初の20kmは懇願してトラックに乗り、そこからはタクシーの運転手を説得して乗せてもらい、遠い道のりをやってきました。

アンゴラでは、干ばつの影響を最も影響を受けている地域で暮らす9万5,977人の子どもたちが、重度の急性栄養不良に陥っています。悲しいことに、イネスさんとツハフェニくんのように、治療を受けるために遠方からやって来るケースも増えています。

干ばつと洪水による食糧危機

保健センターで保健員の診察を受けるツハフェニくん。

© UNICEF/UN023948/Clark

保健センターで保健員の診察を受けるツハフェニくん。

ユニセフは、ツハフェニくんのような命の危機にある子どもたちが、手遅れにならないうちに保健センターに確実に連れてこられるよう、コミュニティーレベルでの取り組み強化に、特に重点を置いています。

ツハフェニくんが暮らす地域では、エルニーニョの影響で幾度となく繰り返される干ばつと洪水によって、特に大きな影響を受けています。そのことが、食糧供給にも深刻な影響を及ぼしており、栄養不良率は過去半年で倍増しています。

チウロ保健センターに到着してすぐ、ツハフェニくんは最も深刻な容態の患者が入院する病棟に入りました。それは時間との闘いでした。

栄養不良が奪う幼い命

ツハフェニくんのような重度の急性栄養不良の子どもを回復させるには、適切なケアとスキルが必要です。子どもの命は、あまりにもゆっくりと、失われていくことがあります。一方で、あまりにも突然、子どもの身体がショック状態に陥ることもあります。

ツハフェニくんの免疫システムは低下し、感染症に感染しやすくなっているとともに、体温を調節する機能も失われていました。もしツハフェニくんが保健センターで必要なケアを受けられなかったならば、重度の急性栄養不良に苦しむ他の子どもたちと同じく、ツハフェニくんの身体も、小さな心臓の鼓動を維持するために、脂肪や筋肉を含むすべての蓄えを使おうとしていたでしょう。そして小さな臓器が一つずつ、その動きを止めてしまっていたでしょう。

適切なケアと栄養を提供

栄養価の高い治療用ミルクを飲むツハフェニくん。

© UNICEF/UN023952/Clark

栄養価の高い治療用ミルクを飲むツハフェニくん。

保健センターへ来てから、ツハフェニくんの体重は、回診時に量られ適切に記録されています。今後、回復の兆しが見えてきたら、ツハフェニくんが現在飲んでいる治療用ミルクから、栄養価が高く、すぐ口にできる栄養治療食に切り替える準備ができているかを保健員が診断する予定です。ユニセフは、治療用ミルクとともに、すぐ口にできる栄養治療食を提供しています。栄養治療食は母親たちに評価が高く、子どもたちも好んで口にしています。

ツハフェニくんの容態は未だ深刻です。保健員は、ツハフェニくんの体重が突然500グラム増加したのは、むくみによるものではないかと心配しています。

アンゴラの子どもたちへのユニセフの支援

あらゆる指標が示しているのは、早急にあらゆる手を尽くして物資を調達し、断固として行動しなければ、ツハフェニくんのような子どもたちの状況は悪化する一方だということです。

ユニセフはアンゴラ政府を支援し、エルニーニョの影響を受けている子どもたちに、命を救う支援を届けています。下記は支援の一例です。

  • 急性栄養不良コミュニティ管理センターが、最も影響を受けている地域で十分に機能し、リスクのある子どもたちが特定され、手遅れにならないうちに確実に治療をうけられるようにする
  • 重度の急性栄養不良の子どもたちの診断、照会、治療を行うための研修をケア提供者を対象に実施
  • 子ども3万7,835人分の「すぐ口にできる栄養治療食」の提供
  • コミュニティレベルでの積極的な取り組みを強化し、危機にある子どもを手遅れにならないうちに保健センターへ照会できるよう、2歳未満の子どもたちのケア提供者70万7,765人を対象に、良好な栄養状態や健康習慣についてのカウンセリングを行う。

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