【2016年10月31日 東京発】
© 日本ユニセフ協会 |
ユニセフは、今年4月、世界銀行グループとともに、国際社会に、乳幼児期の子どもの発達(Early Childhood Development=ECD)分野での施策と“投資”を拡大・強化するよう訴える声明を発表。来年1月に本格的に「ECD世界キャンペーン」を展開するため準備を進める一方、各国のユニセフ現地事務所やユニセフ協会(国内委員会)に、同キャンペーンに呼応した取り組みを展開するよう働きかけています。
この呼びかけに応え、日本ユニセフ協会も、10月5日(水)と13日(木)の2回にわたり、「ECD世界キャンペーン」を推進するにあたってユニセフが制作に協力した映画『いのちのはじまり』の世界一斉上映会の東京上映会を、東京都港区のユニセフハウスで開催しました。『いのちのはじまり』は、ブラジル人のエステラ・ ヘネル監督が8か国で撮影・制作した約90分間のドキュメンタリーで、ユニセフが「ECD世界キャンペーン」を通じて訴えるメッセージ、つまり、乳幼児期の子どもを取り巻く環境が子どもの社会性や人格を形作り、その時期に、親や社会が子どもに対してどのような働きかけをするかが、その後の人生を左右するほど大切だというメッセージを発信する作品です。
©Beginning of Life |
「映画の内容が文章になっていれば、もう一度読み返したい。」 上映会に参加された方から、こんなご感想を頂戴しました。『いのちのはじまり』は、世界各地で子育てに奮闘するお母さんやお父さん方、そして、乳幼児期の子育ての在り方の重要性を説く多くの専門家の言葉がたくさん詰まった作品です。映画に込められたメッセージを、ここに振り返ります。
アフリカには、「子どもを育てるためには村が必要」という諺(ことわざ)があります。子育ての方法は一つではありません。母親、父親、祖父母、それぞれに役割があります。また、家族だけの“仕事”ではありません。近所の人にも、地域の人にも、“役割”があります。子育ては、コミュニティ全体の力を必要としています。
親が絶えず子どもの傍にいることは、乳幼児期の子どもにとって最も大切なことのひとつです。親から子への声掛けや子との会話を多くすることが、子どもの脳の成長を活発化させます。最も貧しい家庭の子どもは、上流階級の家庭の子どもと比べると、4歳になるまでに聞く言葉が3000万語少ないことを示す研究もあります。子どもは「世の中で最も学ぶ能力が高い存在」です。自尊心を持たせ、新しいことに挑戦したり、失敗することを恐れず根気よく取り組む力を養わせることが大切です。子どもたちに、身の回りにあるもので自由に遊べる空間を与えることも必要です。
乳幼児期の経験は、個人の成長は言うまでもなく、市民一人一人の社会参加への積極性を左右し、結果として社会の成長も左右します。もし、子どもと国の未来の在り方を変えたいなら、まず、子どもを育てる親に投資しなければなりません。そうした投資は、子どもの生まれ持った能力を伸ばします。生産性を持った市民として、地域や世界の経済活動に積極的に参加できるようになります。
© 日本ユニセフ協会 |
・ 「2歳の娘がいるので、早く家に帰って娘を抱きしめ話しかけたいと強く思いました」
・ 「子どもとの今を大事にすごしていきたいと思いました。特別なことではなく、今、愛をもって」
・ 「もう一度夫と見たいと思いました」
・ 「私の見えていない、地球の子どもたちのことを知りたい」
・ 「『夢はありません』と答えた少女の未来が少しでもしあわせな未来になるよう、私なりに考えてこれからの人生を送ろうと思いました」
上映会に参加されたみなさまからは、強い思いが込められた数多くのご感想を頂戴いたしました。
※5日の上映会では、日本語字幕の内容や文字の大きさなどに一部不具合があり、ご参加いただいたみなさまにご迷惑をおかけいたしました。この場を借りて、改めてお詫び申し上げます。日本語字幕の不具合については、ユニセフ本部や映画配給元から許可を得て、当協会で13日の上映会までに可能な限り修正を行いました。現在、映画配給元が提供している作品も、同修正版に差し替えられています。
© UNICEF/UNI182274/Schermbrucker |
日本ユニセフ協会とUNICEF東京事務所は、ユニセフECD世界キャンペーンを推進する本上映会に続くイベントとして、12月4日(日)午後、東京・青山の国連大学にユニセフ本部や国内各界の専門家を招き、ECDをテーマにしたシンポジウムを開催いたします(参加無料・先着360名様)。
※上記のイベントは終了しました
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