【2018年10月11日 東京発】
9月28日(金)にスイス・ジュネーブの国連本部で開催された国連子どもの権利委員会の Day of General Discussion(DGD)に、日本の大学生が参加。「インターネット上の脅威から子どもを守るため、年齢が近い若者こそ、大きな役割を果たせる」と訴えました。
©Mikiko.Otani |
世界各国の若者がスピーカーとして参加する今回のDGDのテーマの一つは「Online Space(子どもとインターネット問題)」。世界に先駆け携帯電話(ガラケー)とインターネットを繋げた日本は、“問題”の面のみならず“対策”の面でも、他の国々よりも多くの知見を有すると言われていることから、日本人初の国連子どもの権利委員会委員の大谷美紀子弁護士から、「この貴重な機会に、本問題に取り組んでいる日本人の若者をぜひ」との相談をいただきました。インターネット上の子どもの性的搾取問題をきっかけに、ユニセフ本部とともに長年この問題に取り組んできた日本ユニセフ協会としても、このDGDの機会に、日本の若者が他国の若者とその知見を共有できる機会を創れればとの思いから、『ユニセフ世界子供白書2017』の制作にも協力していただいた「ソーシャルメディア研究会」(代表:兵庫県立大学・竹内和雄準教授)の協力を得て、日頃からスマホ時代の子ども・若者を対象にインターネットの安心・安全に関するワークショップ活動に参加する兵庫県立大学4年生の松村友慎さんをジュネーブに派遣しました。
【松村さんの発表(発表原稿から)】
私たちは、大学生約60名の団体です。子どもたち自身にインターネットの使い方について考えるきっかけを作る取り組みをしています。小学4年生~高校3年生までを対象に、「ネット依存」「ネットいじめ」「ネットの危険(出会い、炎上)」等、子どもたちの身近な問題を扱っています。主な形態は、「出前授業」と「スマホサミット」です。「出前授業」は、学校に直接出向いて行います。携帯電話会社や警察、教育委員会の方々と協力して授業作りを行い、年間約300回実施しています。
「スマホサミット」は、自治体の要請で行う、子ども主体のワークショップです。20~40人の子どもたちが集まり、スマホ等の問題について考えて、対策を講じるためのものです。年間約20か所実施しています。自分たちでルール作りをしたり、対策を考えたりすることは、大人に押し付けられるのと違って、効果があることがわかっています。 最近、特に「自画撮り被害」が増えてきているので力を入れています。先日、高校生自身がこの問題について「なぜ、写真を送ってしまうのか」「どうすれば被害を減らせるか」が考えました。彼らは「私たち高校生は危険性を十分にわかっていないので、この問題を他の高校生にもっと知らせるべきだ」と述べ、大人に啓発の必要性を訴えかけました。 またこれらのワークショップ終了後、子どもたちが学校で講演やワークショップをするなど、一参加者から行動する側に変わっていくという事例もたくさんあります。 このようにスマホサミットにおいて子どもたちが自分たちで真剣に問題について考えられ、解決に向けて行動できるようになるには二つの要因があると考えています まず一つ目は、子どもと大人の間の立場の大学生が支援しているということ。私たち若者は子どもたちと同様ネットネイティブです。さらに今の子どもたちと年齢が近いので、彼らの気持ちがわかります。私たちがサポートすると良く話すようになります。わたしたち若者が関わる効果は大きいです。 二つ目は自治体が予算を組み、事業として話し合いの場を作っているということ。二つ目は自治体が予算を組み、事業として話し合いの場を作っているということ。親が無関心である、親が子どもの声に耳を傾けないなど、非協力的な保護者が多いのが現状です。しかし大人の協力が必要不可欠です。 スマホサミットでは「大人が子どもの意見を真剣に聞いてくれようとしている」、「自分の議論していることはとても大事なこと」と感じられるので子どもたちも真剣に取り組んでくれます。 子どもが危険にさらされるような問題、とりわけオンラインの問題については、まず子どもたちが十分に議論できる機会を自治体が創出し、歳の近い「若者」が「子ども」を支援するという仕組みを世界で広げていくべきだと考えます。 |
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