【2021年7月15日 世界各地発】
新型コロナウイルス感染症ワクチンの公平な分配を目指す世界的取り組み「COVAXファシリティ」において、ユニセフは史上最大規模のワクチン供給・輸送を担っています。状況が刻々と変化する中で、命を守るワクチンを一刻も早く、一人でも多くの人々に届けるために、ワクチン製造企業や航空会社、様々なパートナーと連携し、これまでに世界135の国と地域にワクチンを供給しています。
ワクチンが現地に届けられている様子を、写真とともにお伝えします。
©UNICEF Nepal/2021/LPNgakhusi |
ネパールの極西地域にあるジュムラ郡の人里離れたカンカスンダリは、地理的に孤立しているため、外部からの人の往来が少ない地域です。
そのため、2020年に新型コロナウイルスの感染が世界で広がり始めた当初は、その環境が有利に働いていましたが、近隣国のインドに出稼ぎに行っていた地域住民が帰国し始めたこともあり、感染拡大の可能性と恐怖は住民たちの間で常に存在していました。
©UNICEF Nepal/2021/LPNgakhusi |
「当時は新型コロナウイルスに対する不安が大きく、さまざまな噂が流れてパニックや不安を引き起こしていました」と、この地域の住民で、保健員として働くナンダ・ラール・ラワットさんは言います。ナンダさんは同僚とともに、自分たちが持っている信頼のおける情報をもとに、人々の間で広がる不安や懸念をできる限り和らげる努力をし、外からこの地域に戻ってくる人々に対しても最大限の感染予防対策を続けました。
そして2021年3月、ユニセフがCOVAXファシリティを代表してネパールに供給した新型コロナワクチンにより、この地域の高齢者120人が予防接種を受けることができました。
81歳のチャイティー・ラワットさんさんもその一人です。保健所に出かける準備をしながら、「ワクチンを接種しに行くのがとても楽しみです」とチャイティーさんは嬉しそうに言います。「ワクチンを打てるのに、喜ばないわけがありませんよね」。
カンカスンダリのような遠隔地にワクチンを届けるには、「コールドチェーン」が必要です。コールドチェーンとは、ワクチンを温度管理された環境で、安全に輸送、管理、保管するためのシステムです。特に、カンカスンダリ地域は地形が険しいため、首都カトマンドゥから現地に輸送するには、空路と陸路を用い、さらに車両が入れないところは徒歩で何日もかけて移動しなければなりませんでした。
©UNICEF Nepal/2021/LPNgakhusi |
今回の新型コロナワクチンに限らず、幼い子どもを対象としたポリオやはしかなどのワクチンでも、このコールドチェーンが欠かせません。ユニセフは以前から、遠隔地も含めすべての子どもが命を守るワクチンを接種できるよう、ネパール政府を支援し、コールドチェーンの仕組みを強化してきたました。それにより、今回の新型コロナワクチンの輸送に迅速に対応できたのです。
© UNICEF/UN0436330/Cho Mayak |
2021年4月6日、新型コロナワクチンの予防接種を行う首都ジュバの病院で、ユニセフのスタッフが、着々と準備を進めています。
© UNICEF/UN0433100/Solomon |
この日、南スーダンでは、全国的な新型コロナワクチン接種キャンペーンが開始されました。まずは第一線で従事する医療従事者を接種の最優先対象とし、その後、65歳以上の人々と基礎疾患を持つ人々を対象とします。
南スーダンは、3月下旬、COVAXを通じてアストラゼネカ製の新型コロナワクチンを13万2,000回分受け取りました。ユニセフが2020年から大規模な備蓄を進めてきた注射器(132,500本)と、注射器を安全に廃棄するためのセーフティボックス(1,325個)も届けられました。
南スーダンは人口の40%にワクチンを接種することを目標としており、COVAXファシリティは必要なワクチンの半分を提供することを約束しています。向こう6カ月間でおよそ73万回分のワクチンが、COVAXを通して南スーダンに供給される予定です。
太平洋地域の島しょ国でも、3月~5月を皮切りに、8カ国に新型コロナワクチンが順次届いています。
UNICEFPacific/2021/Vuikadavu |
©UNICEF |
世界各地に届けられているワクチンは、高齢者、基礎疾患を持つ方、医療従事者など、リスクが高い人々やエッセンシャルワーカーを優先に順次接種されています。
ユニセフは「世界におけるワクチンの公平な分配は、人道的に欠かせないもの」と考え、引き続き懸命に取り組んでまいります。
活動を支えてくださる皆様に、心より御礼申し上げます。
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