【2021年10月4日 ポルトープランス発】
ハイチに壊滅的な打撃を与えた地震から1カ月以上が経過したにも関わらず、ハイチ南西部にある全学校のうち約70%がいまだに損傷・損壊したままであると、ユニセフ(国連児童基金)は発表しました。
© UNICEF/UN0532221/Rouzier |
本日(4日)より開始されたバック・トゥ・スクール(学校に戻ろう)キャンペーンの一環として、被災した3県では、徐々にではありますが、約30万人の子どもたちが再び学校に通い始めています。
ユニセフ・ハイチ事務所代表のブルーノ・マースは「今回の地震で、どれだけ多くの学校がつぶれたり、壊れたりしているかを目の当たりにして、ショックを受けています。校舎への被害は、当初考えていたよりもひどいものでした。これらの学校を修復・再建するには、時間と資金が必要です。しかし、学校があってもなくても、授業は続けなければなりません。子どもたちの待つ時間が長くなればなるほど、彼らを学校に復帰させることは難しくなります」と述べました。
学校の再開は、地震の影響により、すでに1カ月遅れています。このまま教室が閉鎖された状態が続くと、ユニセフの推計では、ハイチ南西部に住む23万人以上の子どもたちが中途退学する恐れがあります。
© UNICEF/UN0532226/Rouzier |
地震が発生した結果、現在多くの家族が収入を失い、子どもたちの教育費を捻出するのに苦労しています。教室の外で過ごす毎日は、厳しい状況にある子どもたちを、暴力、虐待、搾取、強制移住、そしてギャングの勧誘へと、さらに追いやることになります。
ユニセフは教育省と協力して、現在使用可能な教室数の減少に対処するために、いくつかの戦略を立てています。例えば、まだ使用できる学校が、損壊した学校の生徒を受け入れ、2部制で授業を行うなどです。
損壊した学校の中には、再建作業の初期段階が始まっているところもあり、資金が確保されれば、今後数週間で作業は加速することが期待されます。約150棟の学校が再建され、900カ所の仮設の学習スペースが順次設置される予定です。
© UNICEF/UN0530200/Ergen |
ユニセフは本日、地震の影響を受けた地域において、教材の配布を開始しました。合計で約10万人の子どもたちが、今後数日から数週間にわたって徐々に教室に戻り、それぞれの学校キットを受け取ることになります。また、ハイチ政府と協力して、生徒や教師のメンタルヘルスのサポートと心理社会的支援、教師へのインセンティブの提供に取り組む予定です。
「ハイチが混乱状態にある中、被災した地域において教室に戻ることは、単に教育を再開すること以上の意味があります。学校は、子どもたちが友人とのつながりを取り戻し、トラウマを克服し、遊びを通して日常に戻る場所です。ハイチ南西部における初登校日は、被災した子どもたちの人生における新たな章の始まりであり、子どもたちとその親たちにとって、希望と喜びのしるしなのです」(マース)
ユニセフは今回の地震を受け、被災した学校の再建・修復、そして被災した子どもたちの緊急の教育ニーズに対応するために、総額2,550万米ドルの資金を必要としています。しかし、これまでに確保できた資金は、その20%に届きません。
地震や津波、洪水、台風やサイクロン、干ばつなどの自然災害に苦しむ子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「自然災害緊急募金」を受け付けております。ハイチの地震で被災した子どもたちを含む、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるために、ご協力をお願い申し上げます。
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