2022年7月25日ジュネーブ/ニューヨーク/ワシントン発
ユニセフ(国連児童基金)、国際移住機関(IOM)、ジョージタウン大学、および国連大学は、本日、気候変動の中で移動を続ける子どもたちを保護し、受け入れ、力を与えるための世界初の政策的枠組みを提供する新しいガイドラインを発表しました。
「気候変動の中で移動する子どものための指針(原題:The Guiding Principles for Children on the Move in the Context of Climate Change)」は、気候変動の悪影響により、国内および国境を越えて移動する子どもたち特有の、重層化した脆弱性に対処するための9つの原則を示しています。
現在、子どもに関する移住政策のほとんどは、気候や環境要因を考慮しておらず、また気候変動政策のほとんどは、子ども特有のニーズを見落としています。
多くの子ども気候の影響で避難
ガイドラインは、気候変動が、人々が移住を決断する背景にある既存の環境、社会、政治、経済、人口動態面の状況と相互に影響し合っていることを指摘しています。2020年だけでも、約1,000万人の子どもたちが、天候に起因するショックの余波で避難しています。気候変動の影響を受けるリスクの高い33カ国には、世界の子ども22億人のほぼ半分にあたる約10億人の子どもたちが暮らしており、今後数年でさらに数百万人の子どもたちが住む場所を追われる可能性があります。
気候変動・移住問題の若い活動家、学者、専門家、政策立案者、実務家、国連機関の協力により作成されたこの指針は、世界的に批准されている「子どもの権利条約」に基づき、既存の運用ガイドラインや 枠組みを参考にしてさらに充実したものとなっています。また、国や地方自治体、国際機関、市民社会団体に、子どもの権利を守るための政策を構築するための基盤を提供しています。
権利と幸福を保護するために
ユニセフ等は、政府、地方や地域の関係者、国際機関、市民社会団体に対し、気候変動という状況の中で移動する子どもたちを保護し、受け入れ、力を与えるための本指針を活用することを呼びかけています。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「海面上昇、ハリケーン、山火事、農作物の不作などにより、日々多くの子どもたちや家族が故郷を追われつつあります」と述べました。「避難を余儀なくされている子どもたちは、虐待、人身売買、搾取の危険にさらされています。また、教育や保健ケアを受けられなくなる可能性も高くなります。そして、児童婚や児童労働を強いられることも少なくありません。政府、市民社会、国際機関は、これらの原則に基づいた連携行動を通じて、移動する子どもたちの権利と幸福をより確実に保護することができるのです」