2024年2月6日ニューヨーク発
2月6日の「国際女性器切除根絶の日(International Day of Zero Tolerance for Female Genital Mutilation)」に際し、ユニセフ(国連児童基金)のキャサリン・ラッセル事務局長ほか、国連人口基金(UNFPA)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、UN Women、 世界保健機関(WHO)の各機関の長は、共同声明を発表しました。
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世界で2億人が被害
国際女性器切除根絶の日の今日、私たちはこの重大な人権侵害にさらされている女の子と女性への献身をあらためて表明します。切除を受けたすべてのサバイバーの声は、行動を起こすことを求めるものです。彼女たちが自分の人生を取り戻すために取るあらゆる選択は、この有害な慣習を絶つための国際的な運動につながっていきます。
現在、世界には女性器切除(FGM)を受けた女の子と女性が少なくとも2億人います。今年、この有害な慣習の被害に遭うリスクにさらされる女の子は440万人近くに上ります。つまり1日当たり1万2,000件以上の切除が行われることになります。
北京宣言および行動綱領に掲げられたコミットメント、国際人口開発会議25周年会議や「平等を目指す全ての世代(Generation Equality)」で合意されたコミットメント、そして、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、およびそれらの一般勧告を含むその他の規範的枠組み、さらにはSDGsのターゲット5.3に沿って、私たちは女性と女の子に対するこの有害な慣行を防止し、対応するためのコミットメントをあらためて表明します。
女性と女の子の権利の侵害
FGMは、女性と女の子の権利の侵害であり、彼女たちの心身の健康を危険にさらし、健康で満ち足りた生活を送る可能性を狭めるものです。FGMは、激しい痛みと出血を伴い、感染のリスクを増大させ、出産時に新生児の命を危険にさらすなど、後に他の合併症を引き起こすリスクを高めます。
それゆえ、女の子や女性を傷つける差別や慣行のない世界を追求するためには、最も重要な声、つまり被害を受けたサバイバーの声に注意を向けることが不可欠なのです。
私たちは、認識を高め、共同行動を促すためにサバイバーの声を広く届けなければなりません。また、この慣習の阻止と対応への取り組みにおいてサバイバーが積極的に役割を果たすようにすることで、彼女たちの力と自主性を後押ししなければなりません。
サバイバーたちは、自分が直面している問題や、このような行為をなくすために必要な手段について、直接的な知識を持っています。私たちがサバイバー主導の運動、特に草の根レベルの運動に投資し、彼らの取り組みを促進するためのリソースを提供することが極めて重要です。
SDGs達成のために
私たちはまた、包括的で文化的に配慮したサービスを提供し、利用できるようにしなければなりません。これには、サバイバーを支援するための保健医療や社会的・法的サービスの提供を強化することも含まれます。
FGM根絶のための国際共同プログラムの主導機関であるユニセフとUNFPA、およびOHCHR、UN Women、WHOをはじめとする国連諸機関は、コミュニティの活動家としてのサバイバーたちや指導者たちと連携し、彼女たちの声や視点がFGMの阻止と対応のためのプログラムに反映されるよう、確固たる姿勢で臨みます。実際、機運醸成への投資や女の子と女性の主体性の促進は、FGM根絶のための国連共同プログラムの中核をなすものです。
これまでの進展として、FGMは過去30年間減少傾向が続いており、FGM実施に関するデータがある31カ国において、現在15~19歳の女性で切除を受けたのは約3人に1人の割合です。1990年代は2人に1人の割合でした。
昨年の時点で、共同プログラムは1万1,000以上の団体を支援しており、そのうちの83%は、複数のグループの連合体やサバイバー主導の運動と連携し、政策や法律の改正を提唱し、社会規範やジェンダー規範の変革を支持する草の根団体でした。
しかし、2030年までにFGMを根絶するという共通の目標を達成するためには、さらに的を絞った、協調的かつ持続的な取り組みが急務です。サバイバーたちが主導し、皆が共に力を合わせれば、この有害な慣習を過去のものにすることができるのです。