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日本ユニセフ協会

プレスリリース

ガザ滞在のユニセフ広報官、取材受付中
25年ぶりにポリオ感染が確認されたガザ 集団予防接種等を視察予定

2024年8月16日エルサレム/カイロ/アンマン

ガザ地区では25年ぶりにポリオの感染例が確認されました。ユニセフ(国連児童基金)はパレスチナ・ガザ地区へ広報官を派遣し、報道関係者の皆さまに現地の状況をお伝えするインタビューをお受けしています。また本信では、ポリオワクチンの集団予防接種実施に関する情報もお伝えします。

ガザ滞在中のユニセフ広報官へのインタビューについて

8月23日(金)より8月28日(水)まで下記の時間帯

日本時間12:30~15:00(ガザ時間06:30~09:00)
日本時間23:00~翌04:00(ガザ時間17:00~22:00)

ガザに滞在※するユニセフ広報官、テス・イングラム(Tess Ingram, UNICEF Communication Manager)が、上記日時にてインタビューをお受けします。ご希望の方は、日本ユニセフ協会広報・アドボカシー推進室( jcuinfo@unicef.or.jp )へご連絡ください。インタビューは英語で受け付けています。

※イングラム広報官は8月22日~29日までガザに滞在し、各所を視察予定。主な視察分野は、ポリオワクチンの集団予防接種、妊産婦・新生児に関する保健、女の子への支援、教育、そして支援へのアクセスです。1月と4月に続き、今年3回目のガザ訪問となります。

* * *

また8月16日発のプレスリリースにおいてユニセフらは、伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型(cVDPV2)の感染が広がるのを防ぐため、2024年8月末から9月にかけて、ガザ地区全域で2回のポリオワクチン集団接種を実施する計画を以下の通り明らかにしました。

集団予防接種等を視察予定

ユニセフが支援する給水車から水を汲むため、順番を待つ男の子。(ガザ地区、2024年7月9日撮影)

© UNICEF/UNI613746/El Baba
ユニセフが支援する給水車から水を汲むため、順番を待つ男の子。(ガザ地区、2024年7月9日撮影)

ユニセフ等はすべての紛争当事者に対し、2回の予防接種が行えるよう、ガザ地区でそれぞれ7日間の人道的休戦期間を設けることを要請します。戦闘が一時中断すれば、子どもや家族が安全に保健施設にたどり着けるようになり、ポリオ予防接種を受けに保健施設まで来ることができない子どもの元へ地域保健スタッフが行けるようになります。人道的休戦が実現しない限り、予防接種を実施することはできません。

各回の予防接種において、パレスチナ保健省は、ユニセフなど各機関およびパートナーとの協力の下、10歳未満の子ども64万人以上に新規2型経口生ポリオワクチン(nOPV2)を2滴投与します。

ポリオウイルスは2024年7月、ハンユニスおよびデルバラハの環境サンプルから検出されました。心配なことに、ガザ地区ではその後、ポリオの一般的な症状である急性弛緩性麻痺(AFP)が疑われる子どもが3人報告されています。彼らの便サンプルは、ヨルダン国立ポリオ研究所に送られました。

CVDPV2の感染予防に使用されるnOPV2は、160万回分以上がガザ地区に届けられる予定です。ワクチンと低温物流設備はイスラエルのベングリオン空港を経由し、8月末までにガザ地区に到着することになっています。ワクチンと低温物流設備の輸送は各回で円滑に進められること、つまり、速やかに受け取り、通関され、そして究極的には予防接種に間に合うように搬送されることが極めて重要です。

保健・水・衛生設備が損なわれているガザ地区

危機下で食べ物がなく、衛生状態が悪くて感染症も蔓延するなかで、妊娠期を過ごし、4つ子を出産した母親。「爆撃が続く中、地面の上で寝ているので疲れ果てています」と話す。 (ガザ地区、2024年6月撮影)

© UNICEF/UNI601736/El Baba
危機下で食べ物がなく、衛生状態が悪くて感染症も蔓延するなかで、妊娠期を過ごし、4つ子を出産した母親。「爆撃が続く中、地面の上で寝ているので疲れ果てています」と話す。 (ガザ地区、2024年6月撮影)

ガザ地区全域で、予防接種対象の子どもたちにワクチンを投与するため、実施者とコミュニティ活動従事者たちを支援する詳細な計画が決定されました。ワクチン投与は、ガザ地区の病院、野戦病院、各自治体のプライマリ・ヘルスケアセンターを含む708のチームによって実施される予定です。移動チームや地域支援員を含む約2,700人の保健スタッフが、両回の集団接種の実施を支援します。また、ポリオ感染のリスクを軽減するための啓発活動も行われます。

ガザ地区の保健・水・衛生設備が著しく損なわれていることを考慮すると、ポリオのまん延を防ぎ、再流行のリスクを軽減するためには、各回で少なくとも95%の接種率を達成することが必要です。

予防接種活動を成功させるためには、十分な現金と燃料、および接種活動に関する情報を地域社会に届けるための機能する通信ネットワークも必要です。またポリオウイルスの監視体制と定期予防接種を強化・拡大するためのさらなる取り組みも進行中です。

ガザ地区では過去25年間、ポリオの感染は確認されていませんでした。この10カ月間、人道支援団体が警鐘を鳴らしてきたポリオの再流行は、ガザ地区と近隣諸国の子どもたちにとって、新たな脅威となっています。 停戦は、ガザ地区とこの地域の公衆衛生の安全を確保する唯一の方法です。

 

注記

ユニセフが支援する小児クリニックで栄養検査を受け、高エネルギービスケットを受け取る子ども。(ガザ地区、2024年6月撮影)

© UNICEF/UNI601750/El Baba
ユニセフが支援する小児クリニックで栄養検査を受け、高エネルギービスケットを受け取る子ども。(ガザ地区、2024年6月撮影)

・2024年7月16日に、廃水検査の結果、2024年6月23日にガザ地区のハンユニスおよびデルバラハのESサイトから採取された6検体からcVDPV2が検出されたことが確認されました。さらにシークエンシング分析の結果、これらのcVDPV2分離株は、最近では2023年にエジプトで検出されたポリオウイルス変異株に関連していることが確認されました。

・ガザ地区では、2023年10月に戦闘行為が激化する以前は、住民全体の予防接種率は高いレベルにありました。しかし、紛争の影響により、不活化ポリオワクチンの定期接種の2回目の接種率は、2022年の99%から2024年の第1四半期には90%未満に低下しており、子どもたちに対するポリオを含むワクチンで予防可能な病気のリスクが高まっています。

・定期予防接種の中断、保健システムの崩壊、絶え間ない人々の移動、栄養不良、深刻な被害を受けた水・衛生システムなどにより、子どもたちの免疫力が低下しているため、cVDPV2がガザ地区内外でまん延するリスクは高い状態が続いています。このような状況は、はしかなどのワクチンで予防可能な疾病や、子どもの下痢症、急性呼吸器感染症、A型肝炎、皮膚病などの感染拡大のリスクも高めています。

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