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お知らせ

カンボジア指定募金プロジェクトのご報告

日本全国の学校(園)を対象に実施しておりました「カンボジア指定募金事業」は、2018年末に受付を終了し、2019年末をもってプロジェクトを終えました。全国の学校から多くのご協力を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。ユニセフ・カンボジア事務所からのお礼の報告をご紹介いたします。

カンボジア
障害のある子どもたちへの支援
~インクルーシブな教育体制の普及を通じて~

画像 ©UNICEF Cambodia/2017/Antoine Raab コミュニティの公園で遊ぶ就学前の女の子

格差の広がり、取り残される障がいのある子どもたち

カンボジアは、この10年の間に国際市場に参入、多くの人びとの生活水準も向上しています。しかし、カンボジアの子どもたちの半数以上は、もっとも貧しい33%の家庭で育っています。多くは農村部の家庭であり、基本的な社会サービスも行き届いていません。子どもの労働に依存する貧しい家庭も多く、教育や食料を確保するために孤児院に入れられる子どもも多くいます。こうした状況が子どもたちへの虐待や搾取、ネグレクト、暴力の危険を高めています。

富の格差は拡大しており、医療や教育などの基本的な社会サービスへのアクセスや収入にもあらわれています。そして、国としての前進が、カンボジア全体の、特に障がいのある人びとなど社会的弱者の基本的なニーズを満たすことにはつながっていないのも現状です。障がいの原因は、出産時のトラブルや先天性のもの、母親の栄養不良が原因の病気、そして交通事故によるものなどがあり、さらにカンボジア特有の原因として、内戦時から残されている地雷の被害などもあります。

皆さまのご支援で・・・

カンボジアの北東部では、国内の他の地域と比較して子どもの権利が守られていない実態があります。ユニセフは、北東部を重点地域と位置づけ、子どもの生存と発達・栄養・水と衛生・幼少期教育の各チームが協働して、「統合型乳幼児期の子どもの発達(IECD)プログラム」を実施しました。

このプログラムでは、各地域がインクルーシブで地域に根付いた社会福祉サービスを導入、運営できるよう内務省とともにツールとガイドラインを導入、トレーニングを実施しました。また育児マニュアルや視覚教材の配布、幼稚園の設立の支援等も行いました。

支援の現場から-母から2人の娘への願い-

画像 ©UNICEF 家の前で写真を撮るネク・レンさんと子どもたち

カンボジアの北東部にある小さなプ・トゥル村に住むネク・レンさん(21)は2人の娘さんたちの将来に大きな希望を抱いています。

子どもたちが子犬と遊ぶようすを見ながら、ネク・レンさんは話します。「幼い時、私は教育を受けることができずにいたので、私の娘たちには、いい仕事に就けるように学校に行ってほしいと思います。彼女たちがほかの国で働くとしても構いません。ただ、私のような農家にはなってほしくなくて。」

ネク・レンさんは、8歳のときに学校をやめました。2人の娘たち- スレイプロイちゃん(4)とスレイプリィちゃん(2)-には、自分とは違った人生を歩んでほしいと願っています。ネク・レンさんは農業を営んでいますが、子どもたちの世話や家事の合間を縫って別の仕事もしています。夫のスラン・ノイさん(23)も同様に、農業と別の仕事を兼業しています。一家は、ネク・レンさんの両親、そして小学校6年生であるネク・レンさんの一番下の妹と一緒に暮らしています。
ネク・レンさんは、強い決意とともに、「将来は2人の娘を大学に送りたい」と話します。


画像 © UNICEF Cambodia/2019/Victoria Laroche Creux 子犬を抱くスレイプロイちゃん(4)と近所の女の子

スレイプロイちゃんは1年前から村の幼稚園に通っています。

「幼稚園に通う前、娘はちゃんとお話しすることができなかったのですが、通い始めてから、きちんとあいさつできるようになり、その日に何を学んだのかを教えてくれます。まだ読み書きはできませんが、最近は絵が描けるようになりました」とネク・レンさんは話します。

「下の娘は今2歳ですが、すでにお姉ちゃんと一緒に幼稚園に行っています。来年になったら正式に入園します」とネク・レンさんは続けました。

ユニセフ地域開発部門は数州でコミューン評議会(地区レベルの評議会)と緊密に連携して活動してきました。2014年にはそれらの地域で社会福祉サービスの実施がはじまり、プロジェクトの一環として、コミューン(地区)の意思決定者たちは社会福祉サービス実施マニュアルの使い方を学びました。村の意思決定者たちは、マップを活用して、課題を特定、データを収集し、地域のニーズを取り入れながら行政を企画し、地域の弱者を特定するスキルを身に付けました。

画像 © UNICEF Cambodia/2019/Victoria Laroche Creux セン・モロノムのコミューン長のヴァン・トレルさん

6年間、セン・モロノムのコミューン長を務めているヴァン・トレルさんは、「このコミューンには864世帯が暮らしており、そのうち約100世帯は、支援が必要な弱者と位置づけられています」と語ります。

「将来的には、コミューン内のすべての村長と、社会福祉サービス事業に関して考えを共有し、支援が必要な世帯をしっかり特定できるようにしていきたい」

このコミューンでは、お米や塩、しょうゆなどの食料だけでなく、教材や布団などの支援物資も必要な家庭に届けています。

ネク・レンさんの家族は、セン・モノロムのコミューンの中でも支援が必要な家庭と認定され、2018年には初めて食糧支援を受けました。

「私の収入は不安定で、稼ぎは30,000リエル($7.5)の日も$10の日もあります。夫は1日に30,000リエルの稼ぎがあるので、共働きの日は1日に60,000リエル($15)の手取りがありますが、私はまだ子どもたちと家にいることが多いです」とネク・レンさんは話します。

ネク・レンさんは、カウンセリングを通じて教育の大切さを学び、コミューンから教材等の支援物資を受け取ることもできたため、子どもたちの教育が大切であると実感しています。

「たとえお金がなく、どんなに厳しくとも、子どもたちが高校3年まで学校に通い続けられるよう、励ましていきたいと思います。」

ネク・レンさんは、モンドルキリ州の小さな村、プ・トゥル村の大きな誇りとなっています。


画像 © UNICEF Cambodia/2019/Victoria Laroche Creux スレイプリィちゃんの隣で子犬を抱きかかえるスレイプロイちゃん

「娘たちがどんな仕事に就いても構わないの。自分で決めることでもあるし。もう少し大きくなったら自分たちで決めるといいわ」と、ネク・レンさんは子どもたちの約束された未来を重い描きながら語ってくれました。

長きにわたり、たくさんの学校、園のご支援を賜りましたこと、本当にありがとうございました。これからもユニセフならびに日本ユニセフ協会へのご理解、ご支援いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

公益財団法人 日本ユニセフ協会