【2016年4月4日 東京発】
日本には、様々な事情から実親と暮らすことができず、児童養護施設などで生活する子どもたちが約4万人います。「子どもの権利条約」や国連の「子どもの代替的養護に関する指針」は、このような状況に置かれている子どもたちも、施設ではなく家庭的な環境で養育されることが望ましいとしていますが、日本は、他の先進国に比べ、施設で生活している子どもたちの割合が非常に高い状況です。
©日本ユニセフ協会 |
こうした状況を改善するため、国は、平成22年、児童養護施設等のケア単位の小規模化の推進や、里親やファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)の拡充などの家庭的養護の推進を内容とする「子ども・子育てビジョン」を閣議決定し、「里親」と暮らす子どもの割合を、平成26年までに10.4%(平成20年度値)から16%に向上させるとする数値目標を掲げました。また、厚生労働省は、翌23年に、今後10余年間で、実親と暮らすことの出来ない子どの3分の1が里親の元での家庭的な環境で養育される状況を創るとする目標を掲げています。
すべての子どもたちが家庭的な環境で養育される社会を実現するためには、養子縁組や里親委託等の推進はもちろん、家族分離の予防や家族の再構築を促すための実親への支援も必要です。また、これらの取り組みを広げるためには、官民の協力が不可欠です。こうした問題意識を共有した20の地方自治体と13の民間団体は、4月4日、「子どもの家庭養育推進官民協議会」(会長:鈴木英敬 三重県知事)を発足させ、日本ユニセフ協会も、発起団体として参加しました。
この日、東京都内で開かれた記者発表会には、塩崎厚生労働大臣からも「厚生労働省をあげて協議会の活動をサポートしたい」との力強いメッセージが寄せられ、挨拶に立った当協会の早水専務理事は、「子どもの権利条約」の趣旨に沿った本協議会の立ち上げを歓迎。東日本大震災の被災地への支援の中で、孤児・遺児となってしまった子どもたちや震災以前から同様の状況にあった子どもたちが、引き続き家庭的な環境で育つことができるよう、当協会も「里親研修会」や「里親子レスパイト(英語で「ひと休み」の意)交流キャンプ」等の養育者を対象にした支援に加え、専門家を含めた地域の方々を対象にした「里親子支援セミナー」等の開催を支援し、里親子を地域で見守り支えていくことの大切さを訴えたことを報告しました。
子どもの家庭養育推進官民協議会では今後、官民が協力し、参加団体間の情報共有、里親制度や養子縁組に関する普及・啓発、研修の実施、調査・研究、政策提言等を行っていく予定です。
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