【2016年4月24日 カトマンズ(ネパール)発】
ネパールを襲った大地震から1年。地震直後から支援活動を続けるユニセフ・ネパール事務所は、この1年の成果と今後の活動をまとめた報告書『Nepal Earthquake : One Year Later – Moving On』を発表しました。
被災地では、160万人の子どもたちが学校の新年度をスタートさせています。しかしその多くは、依然として仮設教室での授業を余儀なくされています。復旧と復興への努力は続けられていますが、子どもたちが日常と先行きの見える環境を取り戻すには、未だ多くの課題が残っています。
ユニセフ・ネパール事務所代表の穂積智夫は、こう話します。「昨年の大震災では、3万5,000もの教室が倒壊、あるいは、ひどく損壊してしまいました。その後、教育の空白を最小限にするためにも、また子どもたちを暴力や搾取、ネグレクトから守るためにも、一刻も早く学校を再開すべく大変な努力がなされてきました。そのおかげで、被災地域の学校は、最初の地震から1カ月後には仮設の教室で授業を再開することができました。私たちは今、子どもたちができるだけ早く、数年間使用できる仮設の教室もしくは恒久的に使用できる教室で、より安全に勉強ができるよう、一層の努力をしなければなりません」
© UNICEF/UN017133/Shrestha |
2015年の震災は、ネパール経済に大きな打撃を与えました。1年が経過した今、被災地の子どもたちやその家族たちは、まだ多くの支援を必要としています。それは家であり、安全な校舎であり、生活の改善につながる支援です。
震災後、避難所に身を寄せた18万8,900人の人々のうち、85%以上は避難キャンプを退出していますが、未だ2万6,272人がキャンプで生活を送っています。倒壊した70万戸の家屋の再建は始まったばかりですが、それらの建設は、今後数カ月で加速されなければなりません。子どもたちやその家族たちは、その間も、崩れた家のそばで避難生活を続けなければならないのです。避難施設の不安定な環境下で暮らしている子どもたちは、人身売買を含むさまざまな危険に晒されています。
2015年4月25日から2016年2月12日までの間に、合計で850人の子どもたちが、警察によって人身売買などのリスクから守られました。平均すると1カ月に89人というこの人数は、2014年7月から2015年7月までの1カ月平均である69人よりも多くなっています。
穂積代表はこれに関して、「数字が増えているということは、地震の結果子どもたちの危険が増大していると考えられますが、同時に、ネパール国内で警戒が高まっている証でもあります」と述べました。
震災後、ユニセフはネパール政府やパートナー団体とともに、保護者のいない子ども3万9,337人を見つけ出して登録しました。そのうち、1万3,317人は必要な緊急の支援を受けました。
© UNICEF/UNI199228/Karki |
さらにユニセフは、以下の支援を行いました。
© UNICEF/UNI185344/Karki |
また、今後数カ月間でユニセフは以下の支援を予定しています。
「人道支援および復興支援として多くの努力がなされた結果、教育は継続され、病気の蔓延や深刻な栄養不良は回避されました。しかし、この国は完全な復興に向けて長く険しい道の途上にあります。ユニセフは、国連機関や開発支援パートナー等とともに、また、政府や市民社会と緊密に連携しながら、被災した子どもたちだけでなく、今回の震災から得た教訓をこの国全体に還元し、ネパールが将来の災害に対してよりしっかりとした備えができるよう支援を続けていきます」(穂積代表)
「ネパール大地震緊急募金」は2017年10月31日をもって受付を終了いたしました。これまでに18億795万2,422円もの浄財を全国の皆さまからお寄せいただきました。皆さまのご協力に感謝申しあげます。
◇ 自然災害緊急募金のご案内 ◇
ユニセフは、世界各地で発生しているさまざまな自然災害の影響を受ける子どもたちのために、緊急・復興支援活動を行っています。日本ユニセフ協会では、ユニセフのこうした活動を迅速に支援するため、自然災害緊急募金を受け付けています。
自然災害緊急募金
郵便局(ゆうちょ銀行) 振替口座:00190-5-31000 口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会 *通信欄に「自然災害」と明記願います。 *窓口での振り込みの場合は、送金手数料が免除されます。 *公益財団法人 日本ユニセフ協会への寄付金には、特定公益増進法人への寄付として、所得税、相続税、法人税の税制上の優遇措置があります。また一部の自治体では、個人住民税の寄付金控除の対象となります。 |
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