【2018年3月11日 アフガニスタン発】
紛争の影響をうけたり、貧困に苦しんでいる子どもたちにとって、教育を受けることは容易なことではありません。内戦が続くアフガニスタンで暮らす、ロババさん(16歳)、ファティマさん(13歳)、ザーラさん(11歳)の3人姉妹にとっても同じです。一家の暮らしは貧しく、生計が兄のアリさん(19歳)の肩にのしかかる状況の中で、教育を受けることは夢のまた夢でした。
©UNICEF Afghanistan/2017/Sheida |
一家が暮らしていたのは、アフガニスタン西部、ゴール州のLa’l wa Sar Jangal地域。村では、治安が急速に悪化し、学校は閉鎖に追い込まれました。兄のアリさんは、妹たちのため、より安全で家賃が賄えそうな家と仕事を探しに自宅を出ました。父親は目が不自由で、母親は認知機能に障がいがあるため、一家の暮らしは兄ひとりに頼らざるを得なかったのです。
月日が経ち、自宅から120kmほど離れたバーミヤン州のアコンダン村で、アリさんはついに、パン屋の仕事を見つけることができ、一家をここに連れて来て定住することに決めました。
「僕は教育を受けていないので、どこへ行っても、学歴が必要のない職にしか就けません」とアリさんは言います。「そのために辛く大変な思いをしているので、妹たちには、同じような思いをしてほしくないのです。僕が働くことで、妹たちを学校に通わせられますから」
アコンダン村では、男の子も女の子も、保健ケアと教育を受けることができます。こうした環境は、暴力や政治不安のある近隣地域や州で暮らしている、基本的なサービスや教育にアクセスできない家族にとって、とても魅力的です。
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アコンダン村は2016年に、ユニセフが支援する「ゴールデン・ビレッジ」プログラムに参画して以来、状況がはるかに改善されたという経緯があります。当時、アコンダン村の人々は、「ゴールデン・ビレッジ」認証を得るために、現状の課題の洗い出しと将来を見据えた計画策定という、労力を要する過程を経て、以下の5つの目標を達成することを、公式に約束しました。
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「兄は私のヒーローです。私たちを養うために、休む間もなく懸命に働いて苦労しているのに、『妹たちのために僕がいるのだから、勉強をがんばれ』と、いつも柔らかい笑顔で言ってくれます」と話すロババさんですが、以前暮らしていた場所で経験した危険な状況は、忘れることができません。
「仕事と家を手に入れたよ、と兄から電話で聞いた当時、私たちが暮らしていたLal Wa Sarjungleの自宅の周りでは、衝突が激化していました。近所の人たちはみんな、走って地下室に行き、身をひそめていました。私は、『ここから逃げてどこか別のところに行かなければ、私たちにとってこの戦いが終わることはない』と思いました。私たちの人生を良い方向に変えるため、教育が受けられる別の場所に」。
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姉と同じく、13歳のファティマさんも、学校に通えることをとても嬉しく思っています。経済的な事情で、学校に入学することはできない、とずっと思っていたのですから。
「ここに来る前、私たちはじゅうたんを編んで、家計を助けていました。それは居場所が変わってもずっと同じだと思っていました。でも兄が、ここには女の子が学校に通うためのプログラムがあるんだよ、と言いました。そして、『ゴールデン・ビレッジ』のボランティアが来て、私たちが学校に通えるようにしてくれたのです」
「ゴールデン・ビレッジ」プログラムのスタッフと、アコンダン村のボランティアたちは、3人の姉妹全員が教育を受けられるよう、惜しみなく手を差し伸べました。姉妹たちは、教育のおかげで、よりよい未来への夢を抱くことができます。そしていつか、兄がひとりで背負っている負担を和らげてあげることもできるでしょう。子どもたちのよりよい未来を目指す取り組みは、ひとつの村から次の村へと広がっています。
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