2021年11月2日ジュネーブ発
本日(2日)、ユニセフ(国連児童基金)が発表した新たな分析によると、各国が定めた気候変動対応計画の3分の2が、子どもたちのニーズや優先事項に応えていないことが明らかになりました。
気候変動対応計画、2/3が子どもに配慮なし
ユニセフは、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に向けて更新された、国が決定する貢献(NDCs)について調査しました。これは、パリ協定に署名した国が、それぞれ目標達成のためにとるべき行動をまとめたものです
103カ国の計画のうち、ユニセフが子どもに配慮しているとみなしているのは、わずか35、つまり約3分の1です。
子どもの権利や世代間の正義や公平性に意味のある形で言及しているのは、5つに1つしかありません。
計画の策定に子どもが参加したと回答したのは、わずか12%でした。
各国は、子どもたちに配慮し、気候変動対応計画に参加させることについて正しいことを言っていますが、その計画は実体を伴っていません。子どもや若者は、エネルギー、リーダーシップ、アイデアを持っているのにも関わらず、指導者たちは彼らの要求に、口先だけの対応を続けています。
気候ショックに直面する子どもたち
気候危機は子どもの権利の危機です。
ユニセフが2021年8月に発表した子どもの気候危機リスク指数(CCRI)によると、世界中の子どもたち22億人のうち99%、つまり事実上すべての子どもたちが、熱波、サイクロン、洪水、干ばつ、ベクター媒介性疾患、大気汚染、鉛中毒など、少なくとも1つの環境ショックに晒されていることが明らかになりました。
約10億人の子どもたちが、気候変動の脅威に対して「極めてリスクが高い」と分類された国々に暮らしています。彼らは、健康や教育、生存までも脅かす、いくつもの複合的な気候ショックに直面しています。
言葉を行動に
子どもの利益をすべての決定の中心に据えた上で、気候危機に対応するため、ユニセフが各国政府に求めている3つの行動は下記の通りです。
気候変動に対する適応力とレジリエンスへの投資を増やす
地球温暖化の責任が最も少ない地域に住む子どもたちが、気候変動の影響を最も大きく受けることになります。気候変動による影響をなくすには数十年かかると言われており、CO2排出量を削減するための緩和策を講じたところで、彼らにとっては手遅れとなるでしょう。子どもたちが直面しているリスクを軽減するためには、彼らを支える社会サービス(水、健康、教育)のレジリエンスを構築することが重要です。ユニセフは、先進国に対し、2009年に約束した年間1,000億ドルの気候変動対策資金では、気候変動による多大な影響に対応するには不十分であるという事実を考慮し、それを上回る資金提供を求めています。
温室効果ガスの排出を削減する
適応力に関してできることは限られており、COP26においては、指導者たちがCO2排出量をより早く、より大幅に削減する約束をすることが何よりも重要です。ユニセフは、各国に対し、温暖化を1.5度以下に抑えるために、2030年までに排出量を少なくとも45%(2010年比)削減するよう求めています。
すべての気候変動に関する交渉と意思決定に若者の参加を得る
本日の分析で明らかになったように、子どもや若者は、持続可能な解決策を考えるにあたって、最も配慮されなければならないにも関わらず、政策や気候変動に関する議論において、彼らの意見は十分に反映されていません。これでは、彼らが自分たちの将来にとっての重要な決定に影響を与えることができず、これから受け継いでいく世界を主導する力も得ることができません。
国際社会は、COP26における残りの議論を利用して、言葉を行動に移さなければなりません。今この瞬間も影響を受けている子どもたちのために、より安全なコミュニティを作り、世界中の人々のために、気候変動による最悪の被害を防ぐための計画に合意しなければなりません。